不眠騎士様、私の胸の中で(エッチな)悦い夢を【R18】

冬見 六花

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 ダメだあああああ!!!!②

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続き部屋となっている寝室へと入ると、カーテンを閉めてベッドランプが灯っているだけで部屋全体は見渡せるが昼間なのに夜の雰囲気を漂わせていた。

すでに護衛さんとキーラさんが壁際に並んで立っていた。
2人共シャーリー様の思惑を事前に聞いているらしく、気まずげな様子でこちらを見ない。

部屋の中央に置かれてある若い女性が眠るには大きすぎるベッドの中央がこんもりと盛り上がっている。あそこにソフィー様が眠っているのだろうということがわかった。

「ゴールディング様、こちらに」
「…えぇ」
「アンナちゃんはそこで待っていてね」
「は、はい…」

ピリつくような緊張感のなか、シャーリー様だけが通常運転だ。
私は入口近くの壁沿いで両手を握りしめながら立ち、ベッドにゆっくりと近づくレナード様の後ろ姿を見つめていた。

先程はまともに姿を見ることができなかったが、改めて彼の広い肩幅を後ろから見ただけで胸が締め付けられた。
首筋から見える褐色の肌も、それを僅かに隠す黒髪も、長すぎる脚も、太い腕も、それを見ただけで恋しくて、苦しい。



―――……好き。



今、改めてはっきりと自分の中にその思いが浮かび上がった。






後ろ姿を見ただけでこんなにも愛しいと思える人から「つらい」と言われて、そしてその人が他の女性にキスをする姿を見る。


胸が痛い。
比喩じゃない。本当に痛くて苦しいのだ。

泣いてしまいそう。
いや、もう泣いているかもしれない。
視界がじわりと滲んでいる。



レナード様。
レナード様レナード様レナード様。




私にたくさんの甘い快感と、苦しい虚しさを与えたその唇を、ソフィー様に差し出すの…?






滲む視界の中にいるレナード様が、焦れるほどゆっくりとソフィー様に近づいていく。



わかってる。
頭ではちゃんとわかっている。
これは治療。
レナード様とソフィー様のためになるかもしれない。

わかってるのに。
頭ではわかっているのに。


――――……痛い。


こんなにも胸が痛い。



だって何も治らなかったら?
2人はただ、キスをしただけ。


眠る顔も綺麗なソフィー様が、レナード様のリィタだったらきっと私を視界にすらいれてくれなくなる。




「ゴールディング様。お願いします」
「…っ」


横たわるソフィー様をレナード様が見下ろしている。
私からはその後ろ姿だけで表情が見えない。


レナード様は今、どんな表情をしているのだろう。

綺麗で可愛いソフィー様を見て、何を思っているのだろう。
ソフィー様が一目見てわかるというリィタだったとしたら、きっと今、心を奪われて………――――











      やだ。







やだ。

やだよ、レナード様。



私を蕩けさせたキスを、
私を疼かせた愛撫を、
私に浴びせた吐息を、
私を溶かした熱を、

これからソフィー様にするなんて、私以外の他の人にするなんて………やだよ。


レナード様と一緒にいられなくなるなんて、絶対に嫌……――――







パチン、と何かが弾け、考えるよりも体が動いた。






「っダメ「――――ダメだあああああ!!!!」





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