上 下
65 / 122

23 善は急げ

しおりを挟む




応接間へと通され緊張した状況のまま、私はレナード様とソフィー様の夢がリンクしているという仮説を説明した。
もちろん赤ちゃんプレイのことは伏せた状態で、あくまでそれに気づいたのは2人の過眠と不眠の時期が揃いすぎている点を強調した。
いくら占い師とはいえこんな不思議現象を簡単に信じてもらえるとは思えないが、シャーリー様は呆れることも嘲笑することもなく黙って最後まで聞いてくれた。
ソフィー様の「おまじない」のことについても最後に付け加えるとシャーリー様の顔つきが変わったように思えた。

ちなみに周囲に人はおらず、応接間には私達2人しかいない。キーラさんはソフィー様のお世話をしに行っている。


「夢が繋がっているなんて信じられないと思いますが…」
「信じるわ」
「え?」

あっさりと信じてくれたことに驚くと、シャーリー様は色気たっぷりなため息を吐いた。

「誰にでも言っている話じゃないから他の人には話さないでほしいことなんだけど、あたしの雑誌を読むくらい占いが好きで、今のことを話してくれたアンナちゃんだから話すわね」
「?」
「アンナちゃんはさっき、あたしに魔法や超能力があるのかって驚いていたわよね?」
「はい…。いろいろ言い当てられたので」
「さっきも言ったけどそれは不思議な力でもなんでもないの。そしてあたしの占いも統計学でわりだしているものだからそれも不思議な力でもないからすごいことなんてないのよ。強いて言うなら勘は鋭いほうってくらいね」

不思議な力ではないのかもしれないが、それにしたって観察しただけでいろいろ言い当てたり、雑誌でもズバズバと当たっているのは十二分にすごいと思うのだが…。
だがここは変に口を挟むべきではないと思って黙ってシャーリー様を見つめたままでいる。



「不思議な力があるとしたら、それはソフィーのほうなのよ」



シャーリー様が伏し目がちに言った。

「不思議な力…」
「えぇ。自分の言葉や思いに力が宿ってそれが本当に起きてしまうのよ。…まあいつも起こるわけではないし、あの子に自覚はないけれど」
「言葉や思いに力が宿る…」

私はその言葉を聞いて、頭の中でパチパチとパズルがはまっていくような思いに駆られた。
その私の脳内がわかっているようにシャーリー様が私を見て申し訳なさそうに微笑んだ。




しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...