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23 善は急げ
しおりを挟む応接間へと通され緊張した状況のまま、私はレナード様とソフィー様の夢がリンクしているという仮説を説明した。
もちろん赤ちゃんプレイのことは伏せた状態で、あくまでそれに気づいたのは2人の過眠と不眠の時期が揃いすぎている点を強調した。
いくら占い師とはいえこんな不思議現象を簡単に信じてもらえるとは思えないが、シャーリー様は呆れることも嘲笑することもなく黙って最後まで聞いてくれた。
ソフィー様の「おまじない」のことについても最後に付け加えるとシャーリー様の顔つきが変わったように思えた。
ちなみに周囲に人はおらず、応接間には私達2人しかいない。キーラさんはソフィー様のお世話をしに行っている。
「夢が繋がっているなんて信じられないと思いますが…」
「信じるわ」
「え?」
あっさりと信じてくれたことに驚くと、シャーリー様は色気たっぷりなため息を吐いた。
「誰にでも言っている話じゃないから他の人には話さないでほしいことなんだけど、あたしの雑誌を読むくらい占いが好きで、今のことを話してくれたアンナちゃんだから話すわね」
「?」
「アンナちゃんはさっき、あたしに魔法や超能力があるのかって驚いていたわよね?」
「はい…。いろいろ言い当てられたので」
「さっきも言ったけどそれは不思議な力でもなんでもないの。そしてあたしの占いも統計学でわりだしているものだからそれも不思議な力でもないからすごいことなんてないのよ。強いて言うなら勘は鋭いほうってくらいね」
不思議な力ではないのかもしれないが、それにしたって観察しただけでいろいろ言い当てたり、雑誌でもズバズバと当たっているのは十二分にすごいと思うのだが…。
だがここは変に口を挟むべきではないと思って黙ってシャーリー様を見つめたままでいる。
「不思議な力があるとしたら、それはソフィーのほうなのよ」
シャーリー様が伏し目がちに言った。
「不思議な力…」
「えぇ。自分の言葉や思いに力が宿ってそれが本当に起きてしまうのよ。…まあいつも起こるわけではないし、あの子に自覚はないけれど」
「言葉や思いに力が宿る…」
私はその言葉を聞いて、頭の中でパチパチとパズルがはまっていくような思いに駆られた。
その私の脳内がわかっているようにシャーリー様が私を見て申し訳なさそうに微笑んだ。
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