59 / 122
21 快眠機能付きの愛玩人形です
しおりを挟むどうもこんにちは。
好きな人から「一緒にいることがつらい」と言われたアンナです。
ちなみにその人、そんなことを言った前の晩も私の唇を奪いに奪って胸をこれでもかと揉んできた人です。最近はパンツの上から敏感な部分を指先でいじくってくる人です。
どうもこんにちは。
快眠機能付きの愛玩人形のアンナです。
終了ですわ。
私の恋、終了ですわ。
散々私の体を物理的にいいように使ってきたのに眠れるようになったらポイですわ。はぁ、そうですか。
元々ダメ人間気味だったのに散々人を甘やかしてさらにダメ人間にしてくれやがって。はぁ、そうですか、そうですか。
モテる男はやることがちがいますわ。
あーーー腹立つけどまだ全然好きだわ。
むしろ自分がいかにレナード様のことを好きかわからされたって感じだわ。
そして絶賛家出中です。
私の家なのに家主の私が家出中ですよ。なんなんでしょうね、これ。
いや、それを言ったらこの状況がなんなんでしょうねって感じなんですけども。
「アンナ様、お茶のおかわりはいかがでしょう」
「え、あ、は、はいっ!いただくでありますです!」
そんな家出中の私が今いる場所は今まで生きてきて絶対に来ることのないであろう公園かと思うほどの庭園。
意味のわからない彫刻がある噴水やら、誰が見るのかわからないが花々が素晴らしく咲き誇ったこのお庭を持つのは、つい先日初めてお会いしたソフィー・ベルテン様。
そう。過眠で悩み、夢の中で殿方と赤ちゃんプレイを楽しみ、私と『ヌルムキ』について熱く語ったあのソフィー様のお屋敷に私は滞在しているのだ。
レナード様の唇に噛みついてから逃げ込んだ先は、幼い頃から知っている兄の学生時代からの友人が働いているお店。
そしてその友人は久々に会ったが相も変わらず中性的な容姿で美しかった。
アッシュゴールドの髪は腰まで長く、それをゆるく片方に集めて髪紐で結んでいる様はどこか艶めかしい。濃いめの灰色の瞳も神秘的でこの男の妖艶さを醸しだしている。
隣街にあるこの店だが街外れにあるから私の住む街からちょっと歩けば行ける距離なため仕事が行き詰ったときなどたまに来る。
それは友人に会いに来ているというよりここの雰囲気が嫌なことを忘れさせてくれるからだ。
だがまだお店はオープン前で開店準備中をしているため友人と私しかいない。
「今度は何?ディランとケンカでもしたの?そんな大荷物持ってきちゃって…」
「ちがうし……とにかくつらいことがあったの!」
「じゃあ何?男?」
「う」
「え、ほんとに?男っ気ゼロのアンナに?」
「うるさいヴィクター、ヴィクターうるさい」
「店で本名を呼ぶな」
カウンターに顎をのせてだらしなく座っているとフワリとコーヒーの香りが漂った。酒場であるこの店に似合わないその香りに顔をあげるとすぐに目の前にホットコーヒーが差し出された。
「良い香り…ヴィクターが淹れたの?」
「当たり前だろ。実家の喫茶店継ぐつもりだからコーヒー淹れんのをずっと勉強してたんだよ。それ飲んだらとっとと帰れ。あと本名を言うな」
「ありがたく飲むけど帰らない」
「あ~~~めんどくさ」
「いいじゃん!もうすぐお店開くでしょ!?普通に客としてお酒飲む!とにかく今日は絶対帰らない!」
「あ~もう勝手にしろ!」
「あれ?財布あったかな?」
「おいおい…ツケなんかつけてやらないからな」
何をいれたかまったくわからない鞄を開けてゴソゴソと中身を探っていると季節外れの服が多いことから自分がどんなに混乱していたのかがわかる。
そして底のほうで目的の財布を見つけたときにその隣にあるものにはたと気づいた。
「これ……レナード様の洗いたてパンツだ……」
あのときずっと握りしめていた洗濯物は、レナード様愛用のシンプルな黒のパンツだったのだ。
1
お気に入りに追加
1,176
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる