不眠騎士様、私の胸の中で(エッチな)悦い夢を【R18】

冬見 六花

文字の大きさ
上 下
56 / 122

 もっと足掻けよ ‐レナードside‐②

しおりを挟む

「言っとくけどジャンがチクったわけじゃねぇぞ。俺がそうだろうなって思っただけだから」
「…なんで」
「だってお前ずっと言ってただろ。リィタに会っても俺は一緒にならないって。そんでジャンがさっき慌ててお前が仕事辞めるとかこの街出ていくとか騒いでたから。こんなん誰だって予想つくだろ」
「…」
「どうせ俺はヤカグの男だから~とか、俺はアンナを幸せにできない~とか、んなくだらねぇこと考えてんだろ。アンナが俺のダチんとこいるってだけでそんなぶちぎれてんのによ」
「…っ、お前はヤカグの男を知らないから、そんな悠長なことが言えるんだ」
「知ってるわけねぇだろ。俺ヤカグ人じゃねぇもん」

ディランのまっすぐすぎる言葉をいつもは清々しいと思っているのに、今は神経を逆撫でされているようでとても不快だった。

「お前がいなくなった後のアンナのこと、想像してみろよ。お前のことなんて綺麗さっぱり忘れて男作って結婚するアンナを。お前結婚するってことは何するか知ってんのか?男にあいつの体触られ…」
「――――やめてくれっ!!!」
「こんなことで腹立ててんならお前はとっくに手遅れなんだよ」
「っ」


自分でもわかっていることを、いざこうして強く指摘されるとどうしてこんなにも苛立ってしまうのだろう。
そしてどうしてこんなにも情けなさに拍車がかかるのだろう。

彼女を探しに行きたいと思う気持ちは変わらないけれど、会ったところで何を話せばいいのかわからないのも事実だ。
その不甲斐なさが皮肉にも外に飛び出さない理性を保ってくれている。


「お前さ、ちょっとアンナを甘く見てんじゃねぇの?」
「……は?」
「アンナは誰かに幸せにしてもらいたいなんか思ってねぇよ。むしろ逆だ。だからお前がアンナの幸不幸を勝手に決めんなよ。図々しい奴だな」
「…っ、その図々しい奴をここに住まわせたのはディランだろ!俺は……、俺は一目見たときにはわからなかった!お前がここに連れてきた日、あのまま帰っていれば、別れていれば……一緒に住まなければ、彼女のことをリィタだなんて思わなかった……!ヤカグの血を感じないまま生きていけたんだ!」
「じゃあお前はアンナと出会いたくなかったって言うのかよ」
「ちがっ………そういうことじゃ……」



彼女と、出会いたかったし、出会いたくなかった。


リィタとは出会いたくなかった。
でも、彼女に出会いたくなかったなんて絶対に思わない。


でも、ずっと怖かった。
彼女の笑顔を見つめる幸福を味わってすぐ、この笑顔をいつか自分が壊したらと思って怖くなった。
幸福と恐怖が入り混じる毎日だった。

ずっとこうしていられたら、
彼女も俺をずっと好きでいてくれたら、

そんな都合が良すぎる考えが頭をよぎると、すぐに母の言葉が聞こえてくる。


『悍ましい執着心を内に持つお前を愛する者なんて、この世に1人だっていやしない』―――…と。










「め、めんどくせぇ~………」




しおりを挟む
🌟マシュマロ🌟ご質問・ご感想お待ちしてます(*'ω'*)
感想 79

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

義兄の執愛

真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。 教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。 悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...