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20 もっと足掻けよ ‐レナードside‐
しおりを挟む「ディラン……なんで……」
「ジャンが呼びに来たんだよ。めちゃめちゃ焦ってて何言ってっかいまいちわかんなかったけどお前がアンナにひでぇこと言ったっつーのは聞いた。そんでお前が今めちゃくちゃ落ち込んでるっつーのを把握したって感じ」
「…っ」
「ジャンにはお前のことは任せろっつったから帰らせたけど構わねぇよな?」
ディランは俺の返答を聞かず、肩を軽く叩いてきてから家の中へと入っていった。
彼女との2人の空間に男が…とヤカグの本能が顔を出したが、ディランが彼女の兄だという事実と自分にそんなことを言う資格はないという理性が言葉を噤ませた。
我が物顔で1人掛けのソファに座ったディランをドアのすぐそばに見つめていると、「お前も座れよ」と顎で言ってきた。
「俺は…」
「いいから座れって。それとも何?アンナを探しに行く気か?やめとけやめとけ。喧嘩した直後はお互い頭に血上ってっから冷却期間が必要なんだよ」
「喧嘩なんてそんなかわいいものじゃない。俺は彼女に本当にひどいことを…。やっぱり俺がここを出るから彼女には家にいてもらわないと…!」
「いいからまず座れって。でかい図体が立ってるってだけでなんか居心地わりぃんだよ」
焦る俺をディランがめんどくさげにいなし、いつも彼女と並んで座るソファにゆっくりと居心地悪く座った。
ディランはそのはす向かいにある1人掛けのソファに悠々と座っている。
腰掛けたはいいが、どうにも胸にくすぶり続ける焦燥感が消えてくれない。
玄関に続くドアを数秒に一度見ては、今すぐ彼女が帰って来てくれないだろうかと考えドアが開かないことに落胆する。
そんな俺の様子を見てディランがおもしろそうにニヤリと笑った。
「レナードをそんな風にするなんてアンナの奴やるじゃん」
「お前は妹が心配じゃないのか」
「アンナのことなら心配すんな。大方行く目星はついてんだ」
「それはどこだ!?すぐに迎えに…」
「いいって。別にあいつも子供じゃねぇんだから。それに今のお前がアンナと会ったところで何話すわけ?」
「…だが」
「アンナはたぶん俺のダチんとこいるだろうから心配すんな」
「お前の友人…?ということは男か!?だ、だめだ!あんな可愛いの頂点にいるような彼女を男の傍にいさせるだなんて…!」
「お、お前あいつの兄貴である俺によくそんなこっぱずかしいこと言えるな…。とりあえず落ち着けって」
男…
彼女が男の元にいる…
嫉妬で頭がどうにかなってしまいそうだ…
あの可愛い彼女が…
俺の彼女が……――――
「お前、そんなんなってんのにアンナから離れようって思ってんだろ」
「っ」
狂いそうな嫉妬はそのままに、ディランのほうに目を向けた。いや、睨んだという表現が正しいだろう。事実ディランからからかうような「お~こわっ」という言葉が返ってきた。
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