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15 どうしようもなく、つらい

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「次に哺乳瓶ですね。中身もきちんと赤ん坊用のミルクを用意するんです。母乳でもいいけどわたしは哺乳瓶のほうがいいと思うんです。あ、でも夢の中ではきちんと母乳も出るんですよ!あとはおしめを替えてあげるのもいいですよ。あ、そうそう。大切なことを忘れてました。相手に言葉を話させるのは絶対NGです。バブーとか赤ちゃん言葉だけ」
「え……っと、なるほど…?」

呆気にとられた相槌を打つしかない私をよそにソフィー様は朗々と話し続ける。
もはや声量も通常のものとなって後ろにいる侍女さんと護衛さんにも聞かれているがお構いなしだ。

「膝枕をしてあげたり、抱っこをしてあげるのがいいんですよ。あ、抱っこといえど相手は成人男性、況してや通常の男性よりも筋骨隆々な御方ですから抱き上げることはできないのですが、まあ抱っこという形であればなんでもいいのです。とにかく甘やかしてあげればいいんですよ♡」
「な、なるほどぉ……」

1mmも理解などしていないというのに一体私は何について「なるほど」とほざいているのだろうか…。
だがそれしか紡ぐ言葉がなかった。
ソフィー様は今、私には到底理解できない領域のことを話しておられる。…ということだけはわかる。

だってそれ、まごうことなき赤ちゃんプレイ…



――――…赤ちゃんプレイ……?



日常生活においてこんなに赤ちゃんプレイについて触れることがあるだろうか。
しかもどちらもそれを夢で見ていて……。

「屈強な殿方が赤ちゃんの恰好をして甘えてくるなんて素晴らしいと思いませんか!?くだんの御方は騎士様でおられるのですが、そのような御方が自分の膝の上でバブバブ言っている様は……あぁ、なんと……なんとお可愛らしいことでしょう」

きっとソフィー様の脳内にはその光景が浮かんでいるのだろう。
恍惚とした美人というのはなかなかに迫力がある。

“騎士”か…。
ますます思い浮かべている人がソフィー様によって赤ちゃんプレイされている説が濃厚になってくる。


「あの……過眠となったのって最近と言ってましたけど、具体的にいつからなんですか……?」
「いつからだったかしら…。ある日突然こんなことになってしまって…」
「ある日突然…」
「えっと確か…3ヶ月ほど前ほどだったような…。その騎士様にお会いしてすぐだった気がします」

レナード様と暮らし始めたのは1ヶ月前。その際に不眠症となって2ヶ月と言っていた。

でもおまじないという不確かなもので夢が繋がり、不眠や過眠になったりするのだろうか。そんなこと可能なのだろうか?



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