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かたくなマッチョ!②
しおりを挟む「とにかく何時に終わるかなんてわかりませんからね!お昼過ぎから新規のお客様との打ち合わせがありますもん!」
「店主こそなんでそんなにかたくなに断るんだ?」
「自衛のためです!」
これ以上レナード様を好きにならないように自分を守りたいためだ。
だがそんなことレナード様がわかるはずもなく、戸惑いと少しの寂しさを感じさせる表情を向けてきた。
「俺は、店主に何かしてしまっただろうか…?すまない、俺の至らないところなどありすぎてどこに怒っているのかわからないから教えてほしい」
「え!あ、いや、違くて…!レナード様は何も悪くなんかなくて……!」
「だが、弁当も送り迎えもいらないのだろう?教えてくれ、俺のどこがあなたの気に障ったんだ?今日の朝食があまり美味くなかったか?掃除が至らなかったか?……それともあの治療が嫌になったのか?」
「そ、そんなことないです!ご飯はいつもめちゃくちゃ美味しいし、レナード様のおかげで家は綺麗だし、治療だって嫌なんかじゃ………えっと、そうじゃなくて……」
「せめて弁当だけでも作らせてくれないか?頼む。お願いだ」
「~~~~っ、わ、わかりました!お弁当作ってください!!」
折れてしまったのはしょうがない。
だって私は好きな人であるレナード様に弱いのだ……。
豪勢なお弁当を持たされてから逃げるようにして家を出た。
今日は枕や睡眠グッズを卸している雑貨屋へと行く用事がある。レナード様に言った通り、13時から枕の新規オーダーの打ち合わせが入っているためだ。
予約時間よりかなり早く目的地である雑貨屋に着き、雑貨屋の店主であり私の家の大家さんでもある昔から付き合いのオリバーさんと売上状況や宣伝方法などについて話した後、まだ時間に余裕があるため別室を借りてレナード様が作ってくれたお弁当を食べることにした。
「あれ?アンナちゃんが弁当を持ってくるなんて珍しいね。うまそうな弁当じゃないか。料理ができるようになったのかい?」
「いえ、これは作ってもらったんです。料理は相変わらず苦手ですよ」
「もしかして料理上手の彼氏でもできたのか?男っ気ゼロのアンナちゃんにもようやくか…。いやぁ娘のように思っていたアンナちゃんにねぇ。なんだかおじさん、嬉しくて泣けてきちゃったよ」
「いやいや違います。彼氏じゃないです」
わざとらしく流してなどいない涙を拭う仕草をするオリバーさんの言葉を即刻否定した。
その辺りの話は今かなり敏感だから正直放っておいてほしい。
「なんだ違うのか。じゃあ彼氏の1人や2人や4人や5人いないのかい?」
「あいにく0人です」
「っかあー!せっかくの美人がもったいねー!」
「いいんです!というかそんなに彼氏いらないでしょ!」
お弁当を平らげ、オリバーさんの小言から逃れるよう立ち上がったとき、カランカランとドアベルが鳴った。
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