不眠騎士様、私の胸の中で(エッチな)悦い夢を【R18】

冬見 六花

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13 かたくなマッチョ!

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恋心など、消そうと思って消せるものではないものの最たるものではないだろうか。

「はいじゃあもう恋やめま~す」と言って気持ちをシャットアウトできたら、それはきっと初めから大して好きではなかったんじゃないかと思ってしまう。

てなわけで私は今でもバッチリくっきりレナード様のことが好きなわけだが、この恋の不毛さも十二分に理解している。
この気持ちを鎮めようとは思っているが、無理に行動せずともレナード様がここを出て行って時間薬が作用すると信じて特段普段と変わらない生活を送ることにした。


だが今の自分の気持ちが時間が経過しただけでどうにかできるものではないのかもしれないと早々に察し始めた。








―――と、いうことで私は仕事に逃げることにした。




「レナード様、私今日仕事で出かけてくるのでお昼はいらないです」

朝食後の占い雑誌を読む時間。隣に座って新聞を読もうとしているレナード様に話しかけた。
いつも店にこもって昼食の時間となったらレナード様が上から呼びにきてくれるのだが、今日はその時間にあえて予定を入れてレナード様と過ごす時間を少しでも減らそうという作戦を試みる。

「そうか。どこに行くんだ?送っていく。弁当も作るから何時に出るのか教えてくれ」
「え、いや、よく行く場所だしお昼だから送らなくても大丈夫ですよ。それにお弁当も大丈夫です!中心街に行くから適当に済ませます」
「店主の“適当にすませる”は“食べない”ってことだろ。それに自分の昼食分も含めて作るから平気だ。それで?終わりの時間は?迎えに行く」
「いやいや、だからいいですって」
「どうしてそんなかたくなに断るんだ」
「レナード様こそどうしてそんなにかたくななんですか!かたくなマッチョ!」
「それは店主なりの罵倒か?むしろ褒められてる気がするんだが」
「褒めても貶してもいません!事実を述べたんです!」
「じゃあ褒められたととっておこう。俺は筋肉をもっとつけたいからな」

まとまって眠れるようになりクマもなくなって健康体となったレナード様はここ最近筋トレを始めた。そのおかげで元々逞しかったのにさらに逞しくなった。本人的にはまだまだなようだが、筋肉フェチ新参者の私からすれば十二分な体だと思うし、むしろかっこよさも増してまた好きになってしまって困っている。



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