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理解できないこと②
しおりを挟むレナード様との関係の変化は大いにしたいけどそれが進展じゃないのは怖い。だけどこのまま何もしないと何もない関係のまま終わってしまう。
まあ正確に言えば何もない関係ではないのだが、それはレナード様は知らないことだ。
レナード様との仲を進展させて、ああいった行為はきちんとお互い意識ある状態で行いたい。
……でも、デートかぁ。
考えてみたらレナード様と一緒に食材の買い物すらしたことがない。
私は基本工房にこもっているからそういったものはレナード様がしてくれる。本当になにからなにまで家のことをしてくれているのだ。
レナード様とデート、したいなぁ…。
レナード様と一緒にお出かけ…。
誘っちゃおうかなぁ…。
ん?でもデートってどこに行けばいいんだろ。
そう思って再び雑誌に視線を戻すと思わず「あ!」と声が漏れ出た。
「どうかしたのか?」
私の声を聞いてレナード様が新聞から目を離し顔を向けた。
「レナード様!朝ごはん、結構余ってましたよね!?」
「あぁ。昼食にするつもりだが、それがどうかしたのか?」
「それ、お弁当にしましょう!」
「弁当?」
「はい!お弁当にできなさそうなのは夕食にしましょ!」
「構わないが、どこか出かける予定が?」
「はい!私と、レナード様が!」
ソファから立ち上がってぽかんとしているレナード様を見下ろした。
「ピクニック!行きましょ!」
今日のラッキーアイテムは『お弁当』
窓から差し込んでいる日差しが心地よい今日にはピッタリのアイテムだ。
朝食の残りを具にしたサンドイッチをメインにしたお弁当を持って、やってきたのは隣町にある広い公園だ。
突発的なお出かけだからそこまで遠くにはいけないし、かといって近所じゃ味気ない。
ということでちょうどいいこの公園へとやってきた。
レナード様には「ピクニック」と伝えたが私にとっては「デート」であるため、お弁当準備をお任せしている間にきちんとオシャレと化粧をしてきた。
いつも適当に一つ結びしている青みがかったアイスシルバーの長い髪をゆるく巻いて、動きやすいけどデザインが可愛いワンピースを着てみた。
メイクもオシャレするのも好きだけど、普段からするほどマメではない。思えばきちんとした格好をレナード様に見せるのは初めてだ。
だけどレナード様はあまり反応をしてくれなかった。
悲しい…。
「ここにシート敷きましょう」
「あぁ、そうだな。ちょうど木陰になってていい場所だ」
お弁当以外にもシートやブランケット、あとは私特製の外用クッションを持ってきていて2人でいそいそと準備をする。
周りにも同じように軽いピクニックをしている人たちが多くいるのも気兼ねなくて心地いい。
一通り準備を終えて2人で腰を落ち着けた。―――が、次の瞬間にはレナード様のハイスペオカン力が発揮される。まずは私の肩にブランケットをかけ、持ってきていた水筒から温かいハーブティーが私の前に差し出された。そしてそれを当然のように受け取ってフーフーと息を吹きかけて舐めるように飲んだ。
「この公園にはよく来るのか?」
フーフーしている間に肩からずり下がったブランケットをかけ直してくれながらレナード様が聞いた。
「この公園じゃなくて近くの図書館にたまに行くんです。知ってます?結構有名な図書館なんですよ。大きくて庭には迷路があるんです」
「あぁ、行ったことはないが有名な図書館があることは知っている。家にもたくさん本があるし、店主は読書が好きなのだな」
「前から好きでしたけど最近は特に好きですね!好きな作家さんがいるんです!」
「へぇ。どんな本なんだ?よければ俺にも読ませてほしい」
「えっ!あ、あ~~…っと、そ、その本は女性向きと言いましょうか……」
「男が読んでも楽しめないものなのか?」
「え、ぃ、いやぁ…むしろ楽しめるかもしれない……い、いや、どうでしょう…」
「?」
まさか私が特濃エッチな小説を愛読していることなど、私にエッチなことをしてくるレナード様に言えるわけもなく、戸惑っている顔を隠すように少し冷めたお茶を一気に流し込んだ。
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