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 ペンギンのラテアート③

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毎夜。
密やかに行われるようになったこのことを、私は誰にも言えないでいる。




「ンゥ……はっ、……っ、ん、ん」


どうして眠っているというのにこんなにも舌の動きが巧みなのだ。
どうして眠っているというのにこんなにも抱きしめる力が強いのだ。
どうして眠っているというのに体をまさぐる手の動きが艶めかしいのだ。

「ハッ、ぁ……ッぅ、ンン」

褐色の逞しい腕を枕にして横たわり、離れるつもりもないのに強く頭を固定されクチュクチュと舌が絡まる。
長すぎる脚は容易く私の体を組み敷いて動きを封じ、自由な片手は絶えず私の体をなぞっていく。

腕を、肩を、背中を、首を、そして胸を……


「アッ、……レナッ……んんっ……ひぅ」

キスが絶えることがない。
例え唇を合わせるよりも舌を絡める方が時間を要していても、キスをここまで長時間していれば当然痺れてしまう。
だけど眠っているレナード様にはそんなのお構いなしだ。
むしろ痺れている唇を舌先で舐めて労わってくるときさえある。

「ハゥ、う……ッン、……んん!」

すると厚い胸板に潰されていた私の胸を労わるように揉まれ始めた。


もう何度熱いキスをされ、何度体を弄られただろう。
何度体に熱を持ち、何度その熱に燻られ、何度この熱に翻弄されてきただろう。



「アッ、ひゃぅ……ン、ぅうっ、……レナッ、っん」

胸の形が変わるほどの強さで揉まれていく。
だけど痛くない。それどころか服越しに押し潰される乳首のせいで快感を感じてしまう。

「っんナ……ぉ、さまっ……ッハ、ンぅ」
「…は、ぁ」


レナード様の熱い吐息が漏れたあと徐々に胸を揉む手の力が弱まり、今日の淫靡な安眠治療が終わった。








共に眠るようになって早1週間。
毎夜、お風呂上りの私の髪を甲斐甲斐しく乾かしたレナード様が合図のように言う。


『店主、今日も俺を抱きしめてくれないか…?』
――――と。


そして私の寝室へと移動してからレナード様を抱きしめて、そのまま一緒に横になり、レナード様がスッと眠ってから少しするとこの行為が始まる。
激しすぎるキスの合間に胸を揉み、腰や背中を弄ってくる。しばらくすると満足したのかなんなのかレナード様の手つきが止まる。そして明け方近くに何も知らないレナード様が目を覚まし、私を起こさないよう慎重にベッドから抜け出して豪勢な朝食作りへと取り掛かる。

本当は起きているのではと何度も疑ったが、やはり意識はないらしい。寝ぐせだらけの状態でダイニングへ行くといつも通り顔を洗ってきなとエロ爽やかに言うし、朝食後に満腹となって戻ってきた眠気のせいでボケーっとしながら歯を磨く私の後ろで甲斐甲斐しく寝ぐせを直してくれる。
まるで母親のよう……いや、母親でもここまでしないだろう。

レナード様を好きだと自覚したが、自堕落な部分を初めから見せているため変に着飾ろうと思っておらず、密かに行われている情交の余韻など微塵もない日々を過ごしている。





つまり、私たちの生活は真夜中に行われていること以外何の変化もない。


しかもそれすら知っているのは私だけなのだ。


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