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おやすみなさい②
しおりを挟む「……ンムッ、っ」
感じたことのない心地いい息苦しさとくぐもった自分の声が聞こえ、まだ眠気が重いなか意識が浮上した。
クチ……、チュ……クチッ…
微かに粘着質な水音がする。
そしてそれがなんだかとても淫靡に聞こえるのは気のせいだろうか。
口内に感じる違和感がさらに意識を浮き上がらせる。
―――何かを、舐めている……?
だけどすぐに何かが違うと感じた。
熱い。
口の中がとても熱い。
ん…?私、うつ伏せになってる……?
あれ?このベッドはこんなマットレスだっただろうか?しかもベッドの上に寝ている感じがしない。固くて、熱くて……ん?これ人の体じゃないだろうか。頭と腰が固定されていて動けない。
そして口内。
舌を動かそうと思っていないのに動いている。なにかを“舐めている”のではなくて“舐められている”のだとふと気づいた。
クチュ…、クチ…
「――――っ!?……ゥンンッ、…ム、んん」
覚醒した頭で目を見開くと暗闇の中、褐色の美麗な顔が視界に飛び来んできた。
何がどうしてこうなったのか、眠っているレナード様に私が覆いかぶさって、というより体の上に寝かせられ頭と体を固定されて唇を重ね、舌を絡め合っているのだ。
「レナッ、んん!……フッ、んぅ…!」
何も言うな、とでもいうように頭を押さえつけられ激しいキスが絶えず襲う。
舌が絡まる度に自分の中から熱が生まれることがわかり、その熱に覆われてしまいそうでそのことに初めて恐怖した。
そしてその恐怖に気付いたとき、“この行為”には恐怖していないことにも気が付いた。
「レッ…んっ、……ナァ、ん…さまっ……ふっ、ン!」
どうにかして名前を呼ぶが、すべて飲み込むようにレナード様の舌が絡めとっていく。
なにがどうしてこうなってしまったのだ!?
レナード様は見た目は確かにエロを凝縮したような人だけど中身はとにかく紳士的で母性溢れる御方だったはず。
それなのに寝込みを襲うなんてそんなこと…。
「―――~~~っ!?」
混乱する頭のまま舌を強制的に絡ませていると、引っ込みそうな舌を追いかけるようにした後、強く舌を吸引された。
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