不眠騎士様、私の胸の中で(エッチな)悦い夢を【R18】

冬見 六花

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8 おやすみなさい

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気持ちを認めてしまうととても楽になった。
そして愛しさがさらに自分の中で膨れ上がっているのがわかる。その溢れて止まらない気持ちを小出しにすべく、レナード様をさらに抱きしめてずっと頭を撫でていく。


しばらくそうしていると、レナード様が私を抱きしめ直してから少し気まずそうにつぶやいた。

「店主…」
「…ん?どうかしました?」
「その、俺の力は強すぎたりしていないだろうか…?」
「えと、ちょうどいいと…思います…」
「そ、そうか……。じゃあ、もう少しだけ……このままでいても、いいか…?」
「ぅぐっ」


この人、わざとなのかと思うほど私の性癖を突いてくる……!

崇高な騎士様で、褐色イケメンマッチョで、しかも自分の好きな人が、眉を少し下げながらおずおずと窺う様は艶めかしいのになんとも可愛らしい.
胸に顔を埋めたまま目線だけを上げてくるレナード様に、今感じている胸の苦しみが伝わってしまうのではないかと思うほどキュンキュンしてしまう。

「もう、終わりにしないと、ダメか…?」
「~~~~っ」

どうやらレナード様は抱きしめられることを思った以上に気に入ってくれたらしい。
その暴力的とも言える可愛さに言葉を失っていると、レナード様はそれを肯定と受け取ってしまったらしく僅かに腕の力を緩めた。
反射的に追い縋るように再びレナード様の頭をギュッと胸に埋めた。

「よ、よかったら……このまま、一緒に横になりませんか!?」
「っ!」

私の提案に驚いたのか僅かに体を離したレナード様が熱い息を吐きながら私をまた優しく抱きしめた。

「そ…、れは………いや、店主は、いいのか…?」
「ぃ、いいですよ…。私が言ってることだし…。あ、でもこのベッドだと狭いから…」
「いい…!ここで、…このベッドで、いい…から、やめないでほしい……」

ゴクッと思わず生唾を飲んでしまった。

やめようと言おうとしたわけじゃない。
ただ広いベッドがある私の部屋に移動しようと提案しようかと思っただけだ。だけどレナード様は焦ったように私を繋ぎとめた。

熱に浮かされているように私を見つめたままのレナード様がもどかし気に布団を剥いだあと、優しく私をベッドに誘いゴロンと横になった。腰に腕が回ったままだったために私も横になりポスンと枕に頭が横向きで沈んだ。
先程と同じ体勢になるようになのか、レナード様が布団を掛けながら長躯を屈めた。私の胸をその美麗な顔で潰すようにすり寄ってきたからその頭をまた抱き寄せた。

「あ、頭は……どうします?また、撫でますか……?」

小さくそう言うと、衣擦れの音と共に腰を抱く腕の力が強まった。
横になってもやはり目線が低いままだから甘えん坊の子供のようで可愛い。だけどなんとも艶冶に思うのはレナード様が持つ天性の色気によるものなのだろうか。

「あぁ。撫でて、ほしい…」

そう言って胸に頬擦りしながらスゥゥと胸元から少し大きめの吸引音が聞こえた。
匂いを嗅がれているのかと思ったが、恐らく顔を埋めていたから呼吸が辛くなったのだろうと勝手に推測した。そう思わないと羞恥で死ねる。

許可を得たからまた頭を撫でる。
時折胸元から「ハアァ…」と熱すぎる吐息を感じるがやっぱり苦しいのだろうか?

「苦しいですか…?強く抱きしめすぎかな…?」
「っ、平気だ…。このままで、いてくれ…」


平気と言いながら、その声はひどく苦しそうだった。

その声と、忘れることなどできない先程の絶望した表情を思い、そしてそれを必死に打ち消していく。
今気づいた自分の想いも何もかもをおさえこみ、この治療と称した抱擁に集中しようと意識を向けた。



「眠くなったらいつでも寝ていいですからね。怖い夢を見ても、私が傍にいますからね」
「それは、すごく心強いな」
「そうでしょ?だから安心して眠ってくださいね」
「……あぁ…ありがとう……」

レナード様の声が急に微睡んだ。
ドキドキするけれど布団とレナード様の高い体温に包まれていることがひどく心地よく、一瞬の微睡みを感じた後、私もすぐに眠りについてしまった……――――





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