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バターライスのオムライス②
しおりを挟む家に帰った途端、美味しそうな香りに心が弾み、リビングへ行くともはや見慣れた褐色屈強騎士様の茶色いエプロン姿を見て今度は心が和んだ。
レナード様が私の姿を見て優しい笑みを浮かべて「おかえり」と言ってくれて「ただいま」と返すとまた優しい笑みが返ってくる。
ダイニングテーブルを覗いてみると、まろやかなひし形の黄色いものが2つと緑豊かなサラダが置かれていた。
「オムライスだ!」
「さぁ、冷めないうちに食べよう」
「はい!いただきまーす!…あれ?」
真ん中にスプーンを差すと、予想していたケチャップライスではなくてバターライスだったことに驚いた。
「どうかしたか?」
「いえ、バターライスのオムライスなんて初めて食べるから驚いちゃって」
「そうなのか。気に入ってくれたらいいのだが」
レナード様が作ってくれたもので美味しくなかったものなどこれまでなかった。
だけど私としてはオムライスはケチャップライス派だ。バターライスのオムライスがあることは知っているがどうにも心惹かれず食べてこなかったのだ。
とはいえこうして作ったということはレナード様はバターライス派なのだろう。それを否定するつもりはない。
違う人間なのだから好みが違うのは当然だ。きっと美味しいのだろうけどここでレナード様と初めて意見が割れそうだな。
そう思って卵と一緒にパクリと口に含んだ瞬間、―――目を見開いた。
「んんん~~~♡♡♡」
お、お、おおおおおお美味しすぎる!!!
これはすごい!これはやばい!
濃厚なバターの風味に少し多めにかけられたブラックペッパーが効いていて大人のオムライスに仕上がっている。ベーコンの塩味が旨味をより醸しだし、それを吸った玉ねぎとバターライスが味に深みを生んでいる。
これは美味しい!!
オムライス絶対ケチャップライス派だった私があっさりとバターライス派に鞍替えしてしまった!いや違う。恐らく他のバターライスオムライスではダメだ。レナード様のバターライスオムライスが私の中で至高となってしまった!
「こ、これ美味しすぎます!!めちゃめちゃ美味しい!これ大好きです!!」
感動そのままに伝えると、レナード様が楽しそうに声をあげて笑った。
「そんなに喜んでくれて嬉しいよ。ほら、どんどん食べて?」
「はいっ!どんどん食べます!」
「サラダも食べてくれ。ドレッシングを手作りしてみたんだ」
「ん~~♡ サラダも美味しい~~!」
レナード様が取り分けてくれたサラダもこれまた絶品だ。
元々あまり食に興味がなく、1日飲み物だけで過ごすなんてざらだった私が毎日毎日こんな美味しいものを食べているこの状況は間違いなく私のほうがストレスがなくなり癒されてしまっている。
こころなしか髪もツヤが出てきたり肌の調子もいい。強いて言うなら多少太ってしまったがこれはむしろ健康体になったと言っていいだろう。
レナード様は好きでやっているとは言ってくれているが、完全に私が甘えてしまっている。
なにより私は知ってしまった。
誰かと一緒にご飯を食べることがこんなにも心地いいのだと知ってしまった。
――――褐色の肌に包まれたライムグリーンの瞳が、私を優しく見つめながら食事をすることの心地よさを、知ってしまった。
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