上 下
7 / 122

4 んんん???

しおりを挟む





脳内が無事に生還を果たしたため、ゴホンと咳払いをして空気を一度リセットした。
その間、レナード様は恥ずかしそうに目線を外している。
大変可愛らしい。褐色マッチョの照れ顔から得られる栄養素が全身に行き渡っているのがわかる。

「すまない……ちょっと、この茶のおかげか眠くなってしまって」
「えっ!テーブルにおでこぶつけるぐらいってことはウトウトレベルじゃなくてがっつり眠いってことですか!?だってそのくらいじゃないとテーブルにおでこぶつけませんよね!?」
「言わないでくれ…」

あまりに恥ずかしいのか言葉が尻つぼみとなって大きい体を縮こませるレナード様がやっぱり可愛いし、おかしくて「プッ」と噴き出してしまってそのまま大笑いした。
そして私が笑っている間、レナード様は羞恥心でなのか何も言わず身を縮こませるだけだった。


ひとしきり笑い終わりさっぱりとした気持ちとなってからレナード様に顔を向けた。

「よし!じゃあ寝ましょう!今すぐ寝ましょう!まだ夕方だけど眠いうちに寝たほうがいいですよ。こっちにどうぞ!」

急いで立ち上がってレナード様の腕を掴み立ち上がらせようと引っ張ると、寝着越しによく鍛えられているとわかる筋肉に僅かに心臓が跳ねた。筋力が落ちたと言っていたけど一体以前はどれほどの筋肉美だったのかやはり気になるところだ。
私の弱すぎる力に従うように立ち上がって、戸惑いながらもレナード様はついてきた。
が、寝室を前にして足を止めた。

「え、待ってくれ…、ここはあなたの寝室では…?」
「そうですよ?だって寝るんだから寝室に行かなきゃ」
「いや、それはダメだろ!」
「あぁ!大丈夫ですよ!ご安心ください!シーツは洗ったばっかなので綺麗ですよ」
「いや、そうじゃなくて!……くそ、ディランに似てるな」
「失礼な!全然似てませんよ!」
「別の部屋はないのか…?」
「一応客室はあるんですけど全然使っていないからベッドも埃を被っちゃって寝れる状態じゃないんです」
「いや、しかし…」
「私はどこでも寝れるタイプなので今日1日くらいソファで寝ても何の問題もありませんから気にしないでください」
「じゃあ俺がソファで…」
「一応不眠の治療ってことで泊めてるんですからそれはダメです!とにかくどうぞ!初めて来た場所だから熟睡はできないかもしれないけど、眠いうちに少しだけでも寝ちゃいましょ!ね?」

いまだに逞しい腕にしがみついて背が高いレナード様を見上げながら伝えると、観念したように大きく息を吐いた。

「っ、…わ、わかった…。きっと魘されてうるさいかもしれない。だがすぐ起きると思うから少しだけ我慢してほしい」
「わかりました。私のことは気にしなくていいですからね!じゃあ、おやすみなさい」
「……あぁ、おやすみ」


静かに部屋を出てドアを閉めた。
壁が厚いとは言えないからあまりうるさくしていたら物音でレナード様がきちんと眠れないかもしれない。
ご飯を買いに行ったり工房に戻って仕事してもいいけど魘されるって言ってたし、もしそうなったらすぐ対応できるようにしておきたい。

大人しく本でも読んでいよう。
大好きな作家さんの新刊をまた読み返そうかな。……あぁ、でも特濃エッチな甘々恋愛小説であるあの本を人がいる場で読むのは憚られる…。違う本を読んでおこう…。
夕食の時間が近づいたら一度様子を見に行こうかなかな。

そう思ってリビングで寛ぐことにした。









――――だが異変はすぐに起きた。













しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...