不眠騎士様、私の胸の中で(エッチな)悦い夢を【R18】

冬見 六花

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 枕屋「みどりの羊」②

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――――枕屋「みどりの羊」


それが私が1人で営んでいるお店の名前だ。
枕のフルオーダーと使い続けて草臥れた枕のメンテナンスが主な仕事だ。それ以外に快眠グッズとしてお茶やお香、ナイトウェアなんかも作っていて、それらは雑貨屋へ卸している。
だからここは一応“店”と言っているが基本的には開店しておらず、“工房”に近い。新規オーダーの予約はグッズを卸している雑貨屋から受けていて、メンテナンスは定期的に行うため受け渡しの際に次回の予約を取っている。

仕事は忙しいということはなく、かといって暇ではない。自宅兼工房で私1人で暮らしていくには十分な稼ぎはあるし、時間に縛られないこの仕事をとても気に入っている。





「だから私は睡眠に関するプロなどではないんです。あくまで枕作りを主としていますので。なのにこのバカ兄貴は昔から何度訂正しても睡眠屋、睡眠屋って…」
「そういうことだったのか。いや俺も詳細を聞いていないままこうして押しかけてしまった。すまない」

レナード様が謝る必要などないのになんだか申し訳ない…。
だが元凶である人物が悪気も反省もなく口を挟んできた。

「でもアンナ、こいつが不眠症なのはほんとだよ。見ろよこのクマ。かわいそうだと思わね?」
「そりゃあ、もちろんそうだけど」
「そんでさ、レナードは不眠症のせいで今休職中なんだよ。療養ってことでな」
「え!」
「こいつ元々仕事ばっかで全然休まなかったしな。だけど全然不眠症治んないつって俺に相談してきたわけよ。どう?この頼られる兄の存在」
「じゃあなんで今日騎士服を?」

兄の最後の言葉を無視してレナード様に聞いた。

「妹に会いに行くとだけディランに告げられて、いくら兄の紹介といえど得体も知れない男が突如やってくるのだから少しでもこちらの身分証明になればと思ったんだ。…だが考えてみたら仰々しかったな、そのせいで驚かせてしまって申し訳ない」

繰り返しになるがレナード様が謝る必要などない。
なんなら気遣いの鬼すぎて恐縮してしまう。
あとさっき驚いたのはレナード様が騎士服だったからでなく好みのイケメンだったからだ。

兄のディランはこんな人間だが人を見る目は確かだ。
だから兄がレナード様をここに連れてきた時点でこの人が信用に足りる人間だと私に示している。

――――だけど一緒に住むとなったら別の話だ。

「とりあえず、俺は一度失礼する。枕のオーダーは気になるから後日詳細を聞いてオーダーを頼みたいんだが」
「あ、それくらいなら別に今からでも…」
「何言ってんだ、レナード。だからお前はここに住むんだっつったろ」

いやに兄がしつこい。
頑是ない子供のようで、こうなったら絶対に自分の考えを曲げない人だ。

「だから、私には不眠症を治すなんて無理なんだってば!」
「いいや、アンナといればレナードは治る」
「何を根拠にそんな…」
「――――勘だよ。男の、な」
「キメ顔うざ」
「やっぱ妹が辛辣!」




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