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「アァッ!……ッヒ!んあっ……!」





 乱れに乱れているが互いに服を着たまま、私だけショーツを脱がされてリュカに後ろから抱きしめられながら名器となった秘部に指を入れられ、かき混ぜられていた。

 リュカによって大きく開かれた脚は、絶え間ない快感のせいで力み、爪先がグッと丸まってしまう。



「ッ、あぁっ……リュ、リュカぁ……ッぁ、そこっ、ンッ……だめぇっ……!」

「ここ?」

「ヒうッ!」



 逃げることなどできない快楽のせいで後ろ手にリュカの服を掴むと、宥めるように反対の手が頭を撫でた。





 ――あれから、リュカはずっと私のナカをかき混ぜている。

 キスも胸への愛撫さえせず、ただひたすら私を快楽に浸し続け、発情ソレが枯渇するのを待っている。

 体も思考も快楽に支配されていく中、ほんの僅かに残っている理性が、この状況を悲しんでいる。





 リュカは今、私の疼きを鎮める作・業・をしているだけなのだ。





 だからキスもしてくれないまま、私の顔を見ないよう後ろから抱きしめ、必要最低限の脱衣だけ済ませて作業に耽っているのだ。





 悲しい。

 恥ずかしい。

 気持ちいい。

 哀しい。





 こんなつもりじゃなかったと言いたいのに、刻々と動きが巧みになっていく指遣いのせいで嬌声しか上げられない。

 ただただ大好きな人が与える悲しい快感に身を震わせていると、突如秘部に強烈なものを感じた。



「――ッッ!?」



 突然のわけのわからない衝撃に声と言う声が出ない。

 だけどその苛烈なまでの快感は私を襲い続け、一気に高みへと登らされる。



 先程頭を撫でてくれた手が、今度は花芯を撫でている。



 自分で触ったことのないその神経が集中している箇所は、薬のせいなのかリュカの愛撫のせいなのかさらに血液が集まり、熱く敏感になっている。

 いっそのことイッてしまいたいのに、そこに到達することが怖い。無意識にリュカに動きを止めてもらいたくて、私のリュカの腕をペチペチと弱弱しく叩くと、今度はそれを咎めるように強く手首を掴まれた。



「ッッ゛!?……っは、ァアッ……ぉ、奥ぅ……ッ!」



 それまで入口辺りをかき混ぜていたリュカの指が、慄くほどナカへと入りこみお腹側を撫でてくる。それをされると意図せずグチュグチュとした音が鳴ると共に、私を絶頂へと押し上げていく。



「やっ……ハッ、ぁ、だめっ……リュカっ、ゃっ……なんか、きちゃ……!」

「うん。いいよ、イッて」

「ンアッ!……ぅっ…ッハ、ァッ……~~~~っ゛っ゛っ゛!!!」



 かき混ぜる動きを速め、そして花芯を僅かに強く摘ままれたとき、体中が痙攣しながら生まれて初めての絶頂を迎えた。

 嵐のような快楽が徐々におさまっていくが、余韻が濃い。

 脱力したままでいると、ナカに埋め込まれたリュカの指が少しずつ引き抜かれているのがわかった。



「んぅ……っ」



 それさえも快楽を拾い、思わず声を上げてしまう。そしてようやく指と秘部を繋ぐ銀糸を余韻に残して離れていった。

 先ほどまで感じていた強烈な渇望は、完全に消え失せたわけではないが落ち着きを見せている。

 

 ――リュカの顔が見たい。

 でも息が整わず、体に力が入らなくて動けない。なによりリュカが今どんな表情をしているのかを確認することが怖くて、振り向けない。





 この行為を始める前に言ったリュカの言葉が今更頭に響く。

 確かに言っていた。――――「こんなことはしたくない」と。

 

 リュカは、こういうこと好きじゃないのかな。

 それなのに私を鎮めてくれたのかな。

 これで終わりなのは悲しい。でも、こんな気持ちのまま、体を繋げるの……?



 だけど薬を飲んでこうなる状況を作り出したのは私だ。しかも1人だけイッて、リュカには何もできていないというのに、今更「やめて」など、言えるはずもない。



 ――――……だけど……。







 するとリュカが手元に置いておいた布で私の濡れた秘部を丁寧に拭き、たくしあげられたスカートを元に戻してショーツを履かせてきた。



「リュカ……?」

「エルン先生も人が悪いよな。ラーラに変なもの飲ませるなんて」

「……え?」

「急にびっくりしたでしょ? 後で俺から先生に文句言っとくから」

「え、ち、ちが……」

「体とか足、つらくなってない? ほんと、ごめんね。無理矢理しちゃって。待ってて、今あったかいお茶淹れてくるから」

「違うの!」



 色々な誤解を解くべく、勢いよく後ろを振り返ると、勢いが良すぎて少しバランスを崩してしまった。

 そのとき、私の手はふにっとした柔らかいものに触れた。



「……っ」

「ん?」



 なんだか不思議な感触に、その柔らかいものを揉む手が止まらない。

 だがその動きは少しだけ強く掴まれたことによって制されてしまった。

 ゆっくりと顔を起こすと、至近距離にあるリュカの顔が赤く……いや、青く染まっている。



「あ……」

「え、あ、あの、も、もしかして今のって、リュカのおちんち……」





 …………あれ?



 男の人って興奮するとココが大きく、そして硬くなるんじゃなかったっけ?

 実物を見たことも触ったこともないけれど、今確かに触れたリュカのソレに、一切の硬さがない。

 今の今まで性行為と言っても過言ではないことをしていた。それはリュカにとって作業だったとしても、私の1番恥ずかしい部分に触れていた。





 だというのに、リュカは一切勃っていない。





 男の人の体はよくわからない。

 でも勃っていないということは、興奮していないということは、それはつまり……――





「や、やっぱり、嫌……だった……?」




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