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03 洞窟と剣と宝石と
晴天の霹靂
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「キース! 頑張れ! ファイト!」
「キー! キー!」
話し合いの結果、小金貨5枚に銀貨32枚までは減らせたのだけど、それ以上はクルルさんが妥協してくれなかった。
小さく見えても職人は職人、半端なものは作れないらしい。
装備の方は「確かに色々盛りすぎたの」と本人も思っていたらしく、だいぶ妥協してくれた。
外注部品を減らしたのでかなり安くなった上に納品日も早くなり、「これならさっさと作れるの」と言って2日後にくれた。
でも武器の方はほとんど妥協してくれなくて、一部の合金の配合をちょこっと変えただけだ。
刃の輝きが鈍るらしく、それだけでもすごい渋っていた。
それだけで小金貨2枚も減ったけど。
「キー!」
「ありがとキース! コート・エレメント・アクア!」
その日から、わたしは坑道に毎日通っていた。
天井の宝石はかなり高く売れるけど、ちょっとしか掘れないし、最近は別の場所だ。
ここはスポナーが多い場所だからあんまり人が来ないらしいのだけど、それだけに効率もいい。
キースに手伝ってもらって、このあたりの鉱石を根こそぎ掘り出せば、1金貨くらい稼げるかもしれない。
ということで、わたしは日々早朝からツルハシを借りて坑道に閉じこもっていた。
ツルハシにコートして、広い範囲を一気に掘り、鉱石を掘り出す。
洞窟内はとても静かだった。
鍾乳石に滴る水の音まで聞こえるくらいに静かで、まるで石が呼吸してるみたいな音がする。
そう、洞窟はとても静かだ。
しかし時折、どこからともなく魔物が出てきた。
「キー!」
キースが警戒し、距離を離し、わたしが追撃し、仕留める。
高原の魔物とは違い、スライムやドロドロの人形など、柔らかくて湿度が高そうな敵が多い。
コムギ村にもスライムはいたのだけど、ここのスライムはサイズもやる気も全然違う。
ただ無様に殴られているわけではなく、普通に反撃してくる。
「てりゃぁああ!」
今日は武器の納品日。頑張って稼がないといけない。
わたしはスポナーを回りながら、せっせと鉱石を掘り出していた。
「キー、キー」
「うん、分かった!」
キースもわたしの必死さを理解しているのか、飛び回って教えてくれる。
わたしたちは大きな宝石の塊とか、金属の塊とか、何日も鉱脈を探しては掘っているうちに、だんだん下へ下へと向かい始めた。
クルルさんに納品してもらった装備は、だいぶ性能は下がってしまったが、環境適応や防水機能など、便利な機能は普通に残っていた。
なので周囲が高温になってきても、普通に活動できる。
「なんか、魔物が多くなってきたね」
「キー」
この辺りになると、露出している鉱石も増え始める。
同時に、スポナーもなしに魔物が現れるようになった。
キースも飛び回るのをやめて、わたしの頭の上に乗って警戒に専念し始めた。
どこまでも続く坑道は、ふとすると目眩がするくらいに暗くて狭い。
だんだん頭痛もしてきたし。
わたしは閉所恐怖症じゃないみたいだけど、それでも独りでこんなところを歩くのはかなり怖いと思う。
たかが小さいもふもふコウモリだとしても、やっぱり仲間って頼もしいんだな。
「キー、キー」
「え、何?」
「キー……」
「あ、疲れたの? 分かった、じゃあ戻ろ。わたしも頭痛いし」
わたしはキースを抱っこして、来た道を引き返すことにした。
「ねえキース。武器が手に入ったら、次の街に行く?」
「キー?」
「わたし、海の街に行ってみたいんだ。観光地だって言われてたし。キースも行くでしょ?」
「キー! キー!」
「うん、ありがと」
この子とは、この世界が滅びるまで一緒にいられたらいいな。
そんなことを思った。
「あのさーキース、わたし、内緒の話してもいい?」
「キー?」
「この世界ってね、もうすぐ滅びるんだよ」
「キー!?」
キースは、ウサギみたいな耳をピコっと動かして驚いた。
耳、あんまり動くの見なかったけど動かせるんだな……
「あはは、びっくりだよね。わたしもびっくり。すごく平和な世界で、きれいな場所もいっぱいあるのにね。うっ……」
「キー……」
「ちょっと頭が痛いの。大丈夫……」
「キー?」
「天使さん? みたいなのに聞いたの。ま、嘘かもしれないけどね。あの天使胡散臭かったし」
「キー、キー」
「ねえキース。この世界が滅びるまでさ、一緒に旅しない? 色んな景色みて、楽しいことして、冒険して。どう?」
「キー!」
「パパとママのところに戻りたかったりするの?」
「キー? キーキー!」
「あはは、そっかぁ。わたしもいないよ、パパとママ!」
キーキー鳴くコウモリと会話するとか、他の人がみたらびっくりしそう。
でも、坑道の中は広くて深くて、誰もいない。
誰もいない場所は好きだけど、こんなところで世界の終わりを迎えるのはちょっと怖いから嫌だな。
外の灯りが見え始めた。
なんか、やたらと暗い。日が落ちてしまったようだ。
やばいなぁ……またクルルさんの工房に間に合わなかった。
「ねえ、キースのせいで間に合わなかったってことにしてもいい?」
「キー!?」
そういうわけでわたしは明日の言い訳を考えながら、鉱石の回収場所に向かう。
でも、そこで妙なことに気が付いた。
やたらと周囲が騒がしい。大人たちが走り回っている。
「あの、どうかしたんですか?」
担当のお姉さんも、どこか落ち着きがない。わたしが尋ねると、すぐに教えてくれた。
「男の子が一人、いなくなってしまったようです。坑道に入って行ったのを見た人がいるんですが……」
「もしかして、わたしのことですか?」
コムギ村でアリスメードさんに探されていたことを思い出し、わたしはそう聞いてみた。
「いいえ。スズネさんと同じくらいの年齢だったそうですが、動物は連れていなかったそうです。スズネさん、いつもその子と一緒ですよね?」
お姉さんはキースを指してそう言った。確かに、わたしがキースと別で出かけることは全くない。
「それに、その子は男の子だそうなので、スズネさんとは違うと思いますよ」
「そうなんですかぁ……」
「スズネさんはちょっとした有名人ですしね。スズネさんなら、すぐに分かりますよ」
「え?」
「嫌がらずに魔物の駆除までしてくれて、本当にありがたいですよ」
お姉さんはわたしから受け取った鉱石を全部機械の中に入れて、リストを持って帰ってきた。
「今回も大収穫ですね。どの辺りに行ってるんですか? やっぱり、秘密?」
「別に、秘密じゃないですよ。スポナーを探しながら、キースが見つけてくれるのを掘ってるだけです。報酬、たくさんですか?」
「魔力量の高い宝石ばかりですから。買い取り分はなしですか? では、用意するので少しお待ちくださいね」
お姉さんは奥に引っ込む。お金を用意してくれるのだろう。
わたしはその場に立ってお姉さんを待つことにした。
「あっ、スズネ! スズネなの! スズネー!」
聞き覚えのある声がした。振り返ると、ランタンを掲げたクルルさんが走ってくる。
さらに、何か紙に包まれた長い棒みたいなものを持っている。
「クルルさん? えっ、な、なんで? すみません本当に、今日はその……うっかりしてたんです」
工房に行かなかったことを責められる前に、わたしは先だって言い訳する。
しかしクルルさんは「それはいいの」と言った。
「それより、テウォンを探すの! 昼に坑道に入ったのに、まだ出てこないの!」
「え、テウォン?」
「そうなの、今みんなで探してるの! お願いなのスズネ!」
クルルさんは、手に持っていた棒をわたしに渡した。
そして包み紙を解いた。それは剣だった。
「テウォンを……ククルの友達を、探してほしいの!」
「キー! キー!」
話し合いの結果、小金貨5枚に銀貨32枚までは減らせたのだけど、それ以上はクルルさんが妥協してくれなかった。
小さく見えても職人は職人、半端なものは作れないらしい。
装備の方は「確かに色々盛りすぎたの」と本人も思っていたらしく、だいぶ妥協してくれた。
外注部品を減らしたのでかなり安くなった上に納品日も早くなり、「これならさっさと作れるの」と言って2日後にくれた。
でも武器の方はほとんど妥協してくれなくて、一部の合金の配合をちょこっと変えただけだ。
刃の輝きが鈍るらしく、それだけでもすごい渋っていた。
それだけで小金貨2枚も減ったけど。
「キー!」
「ありがとキース! コート・エレメント・アクア!」
その日から、わたしは坑道に毎日通っていた。
天井の宝石はかなり高く売れるけど、ちょっとしか掘れないし、最近は別の場所だ。
ここはスポナーが多い場所だからあんまり人が来ないらしいのだけど、それだけに効率もいい。
キースに手伝ってもらって、このあたりの鉱石を根こそぎ掘り出せば、1金貨くらい稼げるかもしれない。
ということで、わたしは日々早朝からツルハシを借りて坑道に閉じこもっていた。
ツルハシにコートして、広い範囲を一気に掘り、鉱石を掘り出す。
洞窟内はとても静かだった。
鍾乳石に滴る水の音まで聞こえるくらいに静かで、まるで石が呼吸してるみたいな音がする。
そう、洞窟はとても静かだ。
しかし時折、どこからともなく魔物が出てきた。
「キー!」
キースが警戒し、距離を離し、わたしが追撃し、仕留める。
高原の魔物とは違い、スライムやドロドロの人形など、柔らかくて湿度が高そうな敵が多い。
コムギ村にもスライムはいたのだけど、ここのスライムはサイズもやる気も全然違う。
ただ無様に殴られているわけではなく、普通に反撃してくる。
「てりゃぁああ!」
今日は武器の納品日。頑張って稼がないといけない。
わたしはスポナーを回りながら、せっせと鉱石を掘り出していた。
「キー、キー」
「うん、分かった!」
キースもわたしの必死さを理解しているのか、飛び回って教えてくれる。
わたしたちは大きな宝石の塊とか、金属の塊とか、何日も鉱脈を探しては掘っているうちに、だんだん下へ下へと向かい始めた。
クルルさんに納品してもらった装備は、だいぶ性能は下がってしまったが、環境適応や防水機能など、便利な機能は普通に残っていた。
なので周囲が高温になってきても、普通に活動できる。
「なんか、魔物が多くなってきたね」
「キー」
この辺りになると、露出している鉱石も増え始める。
同時に、スポナーもなしに魔物が現れるようになった。
キースも飛び回るのをやめて、わたしの頭の上に乗って警戒に専念し始めた。
どこまでも続く坑道は、ふとすると目眩がするくらいに暗くて狭い。
だんだん頭痛もしてきたし。
わたしは閉所恐怖症じゃないみたいだけど、それでも独りでこんなところを歩くのはかなり怖いと思う。
たかが小さいもふもふコウモリだとしても、やっぱり仲間って頼もしいんだな。
「キー、キー」
「え、何?」
「キー……」
「あ、疲れたの? 分かった、じゃあ戻ろ。わたしも頭痛いし」
わたしはキースを抱っこして、来た道を引き返すことにした。
「ねえキース。武器が手に入ったら、次の街に行く?」
「キー?」
「わたし、海の街に行ってみたいんだ。観光地だって言われてたし。キースも行くでしょ?」
「キー! キー!」
「うん、ありがと」
この子とは、この世界が滅びるまで一緒にいられたらいいな。
そんなことを思った。
「あのさーキース、わたし、内緒の話してもいい?」
「キー?」
「この世界ってね、もうすぐ滅びるんだよ」
「キー!?」
キースは、ウサギみたいな耳をピコっと動かして驚いた。
耳、あんまり動くの見なかったけど動かせるんだな……
「あはは、びっくりだよね。わたしもびっくり。すごく平和な世界で、きれいな場所もいっぱいあるのにね。うっ……」
「キー……」
「ちょっと頭が痛いの。大丈夫……」
「キー?」
「天使さん? みたいなのに聞いたの。ま、嘘かもしれないけどね。あの天使胡散臭かったし」
「キー、キー」
「ねえキース。この世界が滅びるまでさ、一緒に旅しない? 色んな景色みて、楽しいことして、冒険して。どう?」
「キー!」
「パパとママのところに戻りたかったりするの?」
「キー? キーキー!」
「あはは、そっかぁ。わたしもいないよ、パパとママ!」
キーキー鳴くコウモリと会話するとか、他の人がみたらびっくりしそう。
でも、坑道の中は広くて深くて、誰もいない。
誰もいない場所は好きだけど、こんなところで世界の終わりを迎えるのはちょっと怖いから嫌だな。
外の灯りが見え始めた。
なんか、やたらと暗い。日が落ちてしまったようだ。
やばいなぁ……またクルルさんの工房に間に合わなかった。
「ねえ、キースのせいで間に合わなかったってことにしてもいい?」
「キー!?」
そういうわけでわたしは明日の言い訳を考えながら、鉱石の回収場所に向かう。
でも、そこで妙なことに気が付いた。
やたらと周囲が騒がしい。大人たちが走り回っている。
「あの、どうかしたんですか?」
担当のお姉さんも、どこか落ち着きがない。わたしが尋ねると、すぐに教えてくれた。
「男の子が一人、いなくなってしまったようです。坑道に入って行ったのを見た人がいるんですが……」
「もしかして、わたしのことですか?」
コムギ村でアリスメードさんに探されていたことを思い出し、わたしはそう聞いてみた。
「いいえ。スズネさんと同じくらいの年齢だったそうですが、動物は連れていなかったそうです。スズネさん、いつもその子と一緒ですよね?」
お姉さんはキースを指してそう言った。確かに、わたしがキースと別で出かけることは全くない。
「それに、その子は男の子だそうなので、スズネさんとは違うと思いますよ」
「そうなんですかぁ……」
「スズネさんはちょっとした有名人ですしね。スズネさんなら、すぐに分かりますよ」
「え?」
「嫌がらずに魔物の駆除までしてくれて、本当にありがたいですよ」
お姉さんはわたしから受け取った鉱石を全部機械の中に入れて、リストを持って帰ってきた。
「今回も大収穫ですね。どの辺りに行ってるんですか? やっぱり、秘密?」
「別に、秘密じゃないですよ。スポナーを探しながら、キースが見つけてくれるのを掘ってるだけです。報酬、たくさんですか?」
「魔力量の高い宝石ばかりですから。買い取り分はなしですか? では、用意するので少しお待ちくださいね」
お姉さんは奥に引っ込む。お金を用意してくれるのだろう。
わたしはその場に立ってお姉さんを待つことにした。
「あっ、スズネ! スズネなの! スズネー!」
聞き覚えのある声がした。振り返ると、ランタンを掲げたクルルさんが走ってくる。
さらに、何か紙に包まれた長い棒みたいなものを持っている。
「クルルさん? えっ、な、なんで? すみません本当に、今日はその……うっかりしてたんです」
工房に行かなかったことを責められる前に、わたしは先だって言い訳する。
しかしクルルさんは「それはいいの」と言った。
「それより、テウォンを探すの! 昼に坑道に入ったのに、まだ出てこないの!」
「え、テウォン?」
「そうなの、今みんなで探してるの! お願いなのスズネ!」
クルルさんは、手に持っていた棒をわたしに渡した。
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