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#2 部屋の中
23 不穏、しかし為す術はなく
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日中は普通。会話もできる。
おかしくなるのは、彼が眠ってからだ。
眠ると突然飛び起きて、妙な会話を始める。
それはずっと続いていた。
私は彼のいない昼間に眠ればいいと気づいたから問題ない。
問題があるのは彼の方だ。
日中の彼がスナック菓子に「味がしない」とブツブツ言いながら大量の調味料をかけているのを見たころから、私はさすがに本格的に彼が心配になってきた。
しかしもう、彼は子供のおもちゃみたいに壊れていた。
「先輩なんて死ねばいいのに、生まれて来なければ良かったのに。生きることは罪です。死ぬことだけが贖罪です」
彼はぼんやりと虚空を見つめている。
「どうして死ねないんですか? どうして先輩が生きてるんですか? 先輩なんか生きる価値ないのに、死ななきゃいけないのに。地獄以外に、先輩の居場所なんてないんですよ」
やはり何かがおかしい。
何か、何か良くないことが彼に起きているのだと思う。
しかし私にはどうすることもできなかった。
私は日中の彼に、「何かあった時に誰かに相談するための手段が欲しい」と言って、彼の部屋にある電話の使い方を教えてもらった。
彼は快く教えてくれたけれど、「俺に相談してくれよ、毎日お前の側にいるんだからさ」と言った。
私は何も言えなかった。
おかしくなるのは、彼が眠ってからだ。
眠ると突然飛び起きて、妙な会話を始める。
それはずっと続いていた。
私は彼のいない昼間に眠ればいいと気づいたから問題ない。
問題があるのは彼の方だ。
日中の彼がスナック菓子に「味がしない」とブツブツ言いながら大量の調味料をかけているのを見たころから、私はさすがに本格的に彼が心配になってきた。
しかしもう、彼は子供のおもちゃみたいに壊れていた。
「先輩なんて死ねばいいのに、生まれて来なければ良かったのに。生きることは罪です。死ぬことだけが贖罪です」
彼はぼんやりと虚空を見つめている。
「どうして死ねないんですか? どうして先輩が生きてるんですか? 先輩なんか生きる価値ないのに、死ななきゃいけないのに。地獄以外に、先輩の居場所なんてないんですよ」
やはり何かがおかしい。
何か、何か良くないことが彼に起きているのだと思う。
しかし私にはどうすることもできなかった。
私は日中の彼に、「何かあった時に誰かに相談するための手段が欲しい」と言って、彼の部屋にある電話の使い方を教えてもらった。
彼は快く教えてくれたけれど、「俺に相談してくれよ、毎日お前の側にいるんだからさ」と言った。
私は何も言えなかった。
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