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竜の国
例え話(3)
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竜は時に縛られず、自由に空を飛び回り好きな場所へ向かえる。竜の速さなら、短い時間で遠くに出かけられて、いろんなものを見る事ができる。長生きもできるため、人間の短い寿命の中ではできない事にも挑戦できる。
それに竜は群れずに1匹で生きる生き物だ。人目を気にしてしまうリーシャからして、それはとても魅力的に映った。
けれど、なれたらなれたで、失うものも多い。リーシャが竜になりたいと答えられない1番の理由は友人たちの存在だった。
「ごめん、やっぱわかんないや。自由に空を飛べたり、長生きできるからいろんなことに挑戦できたりするのはいいなと思うけど、長生き過ぎるのも、きっとつらいんじゃないかなって思っちゃう。シルバーとかアメリアとか、仲良くしてくれる人たちが死んでいなくなっちゃった世界を生きるのって寂しいでしょ?」
「そう、か……やっぱそうだよな。一応、兄貴たちの意見も聞いていいか?」
ノアはいつもと変わらない表情をしていたけれど、リーシャの目には纏う雰囲気が悲し気に見えた。
「リーシャの考えを抜きに答えるなら、俺はリーシャに俺たちと同じ種になって欲しいと思う」
「ぼっ、僕も僕も! そしたらずっとねぇさんと一緒にいられるから! 僕らだってねぇさんがいない世界で生きるのは嫌だもん!」
リーシャはハッとした。
自分がつらいのではと思った状況に、この兄弟たちはいずれ直面しなければならない。
彼らは人間の世界に踏み込み過ぎた。親しくしている多くの存在は、みんな彼らを置いて逝く。そして何よりリーシャ自身も、置いて逝く側の存在だ。
この兄弟たちに後を追って死んでほしくないと思っていたけれど、それはノアたちにとっては残酷な事でもあるのだと気がついた。
そう思うと、置いて逝かれるのがつらいから竜にはなりたくないとは、もう言えなかった。
「そうだね。それなら生まれ変わるなら竜になりたいかな。3人には私の後を追わずに待ってもらってさ。その間は少し寂しい思いさせちゃうかもしれないけど、そうなれたら今度は何百年も4人で一緒にいられるよね。あ、でも竜に生まれ変わっちゃったら、今の私の記憶はなくなっちゃうか。でもさ、なんでいきなりこんな話をしたの? これがルシアの気になってた事なの?」
これは仮の話だ。
そんな話がルシアの魔道具作りの邪魔になっていた理由とは到底思えなかった。それとも、仮の話ではないとでもいうのだろうか。
「あのな、竜王にさ、リーシャを竜にしたらどうかって言われたんだ」
「竜に? 私が? そんな事できるの?」
はっきりと提示された仮だった話に、リーシャは目を丸くした。
それに竜は群れずに1匹で生きる生き物だ。人目を気にしてしまうリーシャからして、それはとても魅力的に映った。
けれど、なれたらなれたで、失うものも多い。リーシャが竜になりたいと答えられない1番の理由は友人たちの存在だった。
「ごめん、やっぱわかんないや。自由に空を飛べたり、長生きできるからいろんなことに挑戦できたりするのはいいなと思うけど、長生き過ぎるのも、きっとつらいんじゃないかなって思っちゃう。シルバーとかアメリアとか、仲良くしてくれる人たちが死んでいなくなっちゃった世界を生きるのって寂しいでしょ?」
「そう、か……やっぱそうだよな。一応、兄貴たちの意見も聞いていいか?」
ノアはいつもと変わらない表情をしていたけれど、リーシャの目には纏う雰囲気が悲し気に見えた。
「リーシャの考えを抜きに答えるなら、俺はリーシャに俺たちと同じ種になって欲しいと思う」
「ぼっ、僕も僕も! そしたらずっとねぇさんと一緒にいられるから! 僕らだってねぇさんがいない世界で生きるのは嫌だもん!」
リーシャはハッとした。
自分がつらいのではと思った状況に、この兄弟たちはいずれ直面しなければならない。
彼らは人間の世界に踏み込み過ぎた。親しくしている多くの存在は、みんな彼らを置いて逝く。そして何よりリーシャ自身も、置いて逝く側の存在だ。
この兄弟たちに後を追って死んでほしくないと思っていたけれど、それはノアたちにとっては残酷な事でもあるのだと気がついた。
そう思うと、置いて逝かれるのがつらいから竜にはなりたくないとは、もう言えなかった。
「そうだね。それなら生まれ変わるなら竜になりたいかな。3人には私の後を追わずに待ってもらってさ。その間は少し寂しい思いさせちゃうかもしれないけど、そうなれたら今度は何百年も4人で一緒にいられるよね。あ、でも竜に生まれ変わっちゃったら、今の私の記憶はなくなっちゃうか。でもさ、なんでいきなりこんな話をしたの? これがルシアの気になってた事なの?」
これは仮の話だ。
そんな話がルシアの魔道具作りの邪魔になっていた理由とは到底思えなかった。それとも、仮の話ではないとでもいうのだろうか。
「あのな、竜王にさ、リーシャを竜にしたらどうかって言われたんだ」
「竜に? 私が? そんな事できるの?」
はっきりと提示された仮だった話に、リーシャは目を丸くした。
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