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竜の国
お気に入りの場所(2)
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山の上の土地にあるというのに竜の国は広い。よくこんな場所を見つけたものだとリーシャは感心していた。
広さもそうなのだけれど、改めて見渡してみると高低差が激しい所や、森や岩場、砂漠のような地形までもある。この空間に世界が凝縮されたような、不思議な空間だ。
妹竜の背中の上でそんな地形を見下ろしていると、飛行高度が徐々に下がり始めた。目的地が近いようだ。
目の前に広がる地形は平原。その中には大きな湖が形成されていた。澄み渡った水は深い水底を透かしだしている。畔にはちらほらと竜が集まり、寝そべったり、湖に入り水浴びをしたりしている姿がある。
妹竜は湖の畔に着地すると、上に乗っている者が降り易いように伏せて背を低くした。その背中からノアを筆頭に飛び降りていく。ただ妹竜は全員が降りても起き上がろうとはせず、そのままの体勢でじっと湖を眺めていた。
リーシャは妹竜の顔に手を伸ばした。
「連れて来てくれてありがとうございます」
リーシャが妹竜に感謝を述べると、その言葉をノアがすぐさま竜の言葉に訳してくれたようだ。
妹竜は視線を1度だけリーシャに向けると、湖へと戻し、何かを告げる。
「グルルルル」
「こいつはこうして、じっとここを眺めるのが好きらしい」
湖の輝きが反射する妹竜の目は、どこかうっとりしているように見えた。
「そういえば、この前も採掘場の跡地に行ってたし、もしかして妹さんはキラキラしてるものが好きなんですか?」
ノアがリーシャの言葉を訳すと、妹竜は言葉を返した。
「大好き、見ているだけで幸せになれるから、だそうだ。ねぐらに光る石をかなりの数置いているみたいだ」
「今度見せてもらってもいいですか?」
「…………見せてくれるそうだ」
「やった!」
つい昨日までねぐらに入れてさえもらえていなかったのに、大切にしているであろう鉱石を見せてもらえるのは、関係がかなり進展したと言っていいだろう。それもこれも竜王が妹竜に事情を話してくれたおかげだ。
嬉しくて妹竜に笑いかけていると、彼女越しに別の竜たちがリーシャの事を見ているのに気がついた。視線が合うと彼らは何も見なかったように視線を逸らし、離れていく。気づけば先ほどまで周りにいたはずの竜たちは、かなり遠くへ行ってしまい、そこで自由にくつろいでいる。
周りにいる竜たちのほとんどが人間を嫌っている。こうなる事は想像できていた。むしろ襲ってこないだけマシなのだ。
そうわかっていても、分かり合える可能性のある存在だと知ってしまった今、姿を見ただけで遠巻きにされてしまうのは悲しかった。
妹竜もそんな周りの様子に気がつき、リーシャの曇る顔に視線を落とすと「グルル」と何かを告げた。
広さもそうなのだけれど、改めて見渡してみると高低差が激しい所や、森や岩場、砂漠のような地形までもある。この空間に世界が凝縮されたような、不思議な空間だ。
妹竜の背中の上でそんな地形を見下ろしていると、飛行高度が徐々に下がり始めた。目的地が近いようだ。
目の前に広がる地形は平原。その中には大きな湖が形成されていた。澄み渡った水は深い水底を透かしだしている。畔にはちらほらと竜が集まり、寝そべったり、湖に入り水浴びをしたりしている姿がある。
妹竜は湖の畔に着地すると、上に乗っている者が降り易いように伏せて背を低くした。その背中からノアを筆頭に飛び降りていく。ただ妹竜は全員が降りても起き上がろうとはせず、そのままの体勢でじっと湖を眺めていた。
リーシャは妹竜の顔に手を伸ばした。
「連れて来てくれてありがとうございます」
リーシャが妹竜に感謝を述べると、その言葉をノアがすぐさま竜の言葉に訳してくれたようだ。
妹竜は視線を1度だけリーシャに向けると、湖へと戻し、何かを告げる。
「グルルルル」
「こいつはこうして、じっとここを眺めるのが好きらしい」
湖の輝きが反射する妹竜の目は、どこかうっとりしているように見えた。
「そういえば、この前も採掘場の跡地に行ってたし、もしかして妹さんはキラキラしてるものが好きなんですか?」
ノアがリーシャの言葉を訳すと、妹竜は言葉を返した。
「大好き、見ているだけで幸せになれるから、だそうだ。ねぐらに光る石をかなりの数置いているみたいだ」
「今度見せてもらってもいいですか?」
「…………見せてくれるそうだ」
「やった!」
つい昨日までねぐらに入れてさえもらえていなかったのに、大切にしているであろう鉱石を見せてもらえるのは、関係がかなり進展したと言っていいだろう。それもこれも竜王が妹竜に事情を話してくれたおかげだ。
嬉しくて妹竜に笑いかけていると、彼女越しに別の竜たちがリーシャの事を見ているのに気がついた。視線が合うと彼らは何も見なかったように視線を逸らし、離れていく。気づけば先ほどまで周りにいたはずの竜たちは、かなり遠くへ行ってしまい、そこで自由にくつろいでいる。
周りにいる竜たちのほとんどが人間を嫌っている。こうなる事は想像できていた。むしろ襲ってこないだけマシなのだ。
そうわかっていても、分かり合える可能性のある存在だと知ってしまった今、姿を見ただけで遠巻きにされてしまうのは悲しかった。
妹竜もそんな周りの様子に気がつき、リーシャの曇る顔に視線を落とすと「グルル」と何かを告げた。
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