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竜の国
交換条件(2)
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「君たちの周りの事には出来る限り私も目を光らせるようにはしておくよ。それにファイの事は、今は無理でもいずれは呼び戻すつもりなんだ」
「ファイさんを? どうやって?」
「今若い子たちは気が立っているから、落ち着いたころを見計らって、原因の子たちに白状させるつもりだよ。今下手に刺激して、余計ないざこざを増やしたくはないから、人間との事に決着がついたらになるだろうけど」
「そうなんですね。私、ファイさんの事は良い竜だと思ってるので、早く呼び戻してあげられるようになって欲しいです」
「ああ、ほんとにね」
リーシャはある事が頭を過ぎったけれど、あえてそれを話題には出さなかった。
既に主犯の火竜1匹はファイドラスの牙にかかって死んでいる。もしかするとファイドラスは残りの竜の命も狙っていて、あまり悠長に構えていては犠牲が増えるかもしれない。
そう思うけれど、これからどう対処するかは竜たちが判断すべき領分で、竜王も思い至っていてあえて見てみぬふりをしているかもしれない。だから、人間の自分が口出ししない方が良い。リーシャはそう判断したのだ。
それに竜王に告げ口をして、ファイドラスを敵に回すような事は避けたいからというのもあった。
今ここで可能性の話をせず、万が一犠牲になる竜が増えたとしても、リーシャがこの時そんな打算を働かせていたなど、竜王が知る由もない。竜同士のいざこざに巻き込まれるのはごめんだった。ノアが何も言わないのも、おそらくリーシャと同じことを考えているのだろう。
そんな不安要素を残しつつも、ようやく竜の国への滞在に関する話はついたのだ。
リーシャは本題ではない、叶えてもらえる可能性の低い願い事もこの機に竜王に願い出てみようと思い、拳にギュッと気合いをのせた。
「あの、もう1つお願いしたいことがあるんですけど」
「なんだい?」
「出来れば、なんですけど、シャノウさんが解放されたら人間と戦おうとしている竜たちの事を止めてはいただけませんか?」
「……」
リーシャの従兄、マークレン・ネクロノームの提案だ。
沈黙は竜王の拒否なのかもしれない。それでも竜王の口から直接否定の言葉を述べられたわけではないため、リーシャは続けた。
「この大陸にある国同士で話し合って、竜の方から襲ってこない限りは手出しをしてはいけないと決まりました。こんなところに追いやられた竜たちにとっては虫のいい話と思われるかもしれませんけど、できれば検討していただけたらと……」
緊張で視線が下がるリーシャを竜王はじっと見つめた後、ため息交じりに告げてきた。
「それは私ではどうにもならないし、介入する気は無いよ」
「そう、ですよね……」
当然の返答だ。いくらリーシャと親しくしてくれているとはいえ、竜王も人間全般の事は憎んでいる。リーシャのそんな願いと若い竜たちの希望を天秤にかければどちらに傾くかは目に見えている。
「ファイさんを? どうやって?」
「今若い子たちは気が立っているから、落ち着いたころを見計らって、原因の子たちに白状させるつもりだよ。今下手に刺激して、余計ないざこざを増やしたくはないから、人間との事に決着がついたらになるだろうけど」
「そうなんですね。私、ファイさんの事は良い竜だと思ってるので、早く呼び戻してあげられるようになって欲しいです」
「ああ、ほんとにね」
リーシャはある事が頭を過ぎったけれど、あえてそれを話題には出さなかった。
既に主犯の火竜1匹はファイドラスの牙にかかって死んでいる。もしかするとファイドラスは残りの竜の命も狙っていて、あまり悠長に構えていては犠牲が増えるかもしれない。
そう思うけれど、これからどう対処するかは竜たちが判断すべき領分で、竜王も思い至っていてあえて見てみぬふりをしているかもしれない。だから、人間の自分が口出ししない方が良い。リーシャはそう判断したのだ。
それに竜王に告げ口をして、ファイドラスを敵に回すような事は避けたいからというのもあった。
今ここで可能性の話をせず、万が一犠牲になる竜が増えたとしても、リーシャがこの時そんな打算を働かせていたなど、竜王が知る由もない。竜同士のいざこざに巻き込まれるのはごめんだった。ノアが何も言わないのも、おそらくリーシャと同じことを考えているのだろう。
そんな不安要素を残しつつも、ようやく竜の国への滞在に関する話はついたのだ。
リーシャは本題ではない、叶えてもらえる可能性の低い願い事もこの機に竜王に願い出てみようと思い、拳にギュッと気合いをのせた。
「あの、もう1つお願いしたいことがあるんですけど」
「なんだい?」
「出来れば、なんですけど、シャノウさんが解放されたら人間と戦おうとしている竜たちの事を止めてはいただけませんか?」
「……」
リーシャの従兄、マークレン・ネクロノームの提案だ。
沈黙は竜王の拒否なのかもしれない。それでも竜王の口から直接否定の言葉を述べられたわけではないため、リーシャは続けた。
「この大陸にある国同士で話し合って、竜の方から襲ってこない限りは手出しをしてはいけないと決まりました。こんなところに追いやられた竜たちにとっては虫のいい話と思われるかもしれませんけど、できれば検討していただけたらと……」
緊張で視線が下がるリーシャを竜王はじっと見つめた後、ため息交じりに告げてきた。
「それは私ではどうにもならないし、介入する気は無いよ」
「そう、ですよね……」
当然の返答だ。いくらリーシャと親しくしてくれているとはいえ、竜王も人間全般の事は憎んでいる。リーシャのそんな願いと若い竜たちの希望を天秤にかければどちらに傾くかは目に見えている。
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