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竜の国
竜の家族と3兄弟(2)
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「さて、話を戻そうか。彼らが他の竜と異なる感覚を持つ原因について話していたね?」
「……はい」
リーシャは委縮したまま、問いに首を縦に振りながら答えた。すると、竜王は先ほどの牽制を払拭させるかのようにより柔らかな声で続けた。
「私たち竜はね、1カ月もあれば1人で生きるために必要な体の機能は十分に成長するんだ。だから普通はそれ以上の期間、子供を手元に置いておく親はいない。手放さないといけないって直感で分かるらしいから。私は雄だからよくはわからないけど、きっと母と子それぞれの本能が、執着心を生まれさせないようにそうさせているのかもね。私たちにとって強いつながりは死を早める事にもつながるから」
「1カ月……ってことは……」
「うん。君が彼らを手元に置きすぎたのが大きな原因だろうね。それに突然の環境の変化に戸惑って身を寄せ合っているうちに、必要以上に互いへの執着が生まれてしまった。そんなところだろう」
「そうですか……」
どういう生き物なのか知りもせず、簡単に手を差し伸べたのが間違いだったのだとリーシャは後悔した。
1ヶ月で巣立つほど竜の成長は著しいのならば、あのまま放置したところでノアたちが死ぬ可能性は低かったのかもしれない。むしろ手を差し伸べ、自分との繋がりを作らせてしまい、彼らの命を縮めてしまったといえるだろう。
心に生まれた後悔の欠片は、リーシャをノアへ向けさせる。
リーシャの中に生まれた、その信じたくない思いに気がついたようだ。ノアはリーシャの答えを求める視線に気がつき、一瞬言いにくそうな表情を見せた。
「間違ってはいないだろうな。2人を弟と認識するようになったのはお前と出会ってかなり経ってからだ。リーシャに見つかった時、初めはこいつらを守るべきなのかわからなかった。だが、共に親に守られていた存在だ。放ってはおけなかった。それに2人とも元々あの性格と頭だ。放っておいたらすぐに死ぬのではないかとも思っていたからな」
ノアは竜王の言葉を肯定する言葉を言いはしたけれど、ノアなりにリーシャをフォローしようとしたようだ。
結果流れ弾がルシアとエリアルに直撃してしまった事にリーシャは苦笑した。
「じゃあさ、今は? 2人の事、どう思ってる?」
リーシャの問いにノアは指を口元に当て、真剣に考え始めた。
「そうだな……手放せない存在。何を代償にしても守らなければならない存在。といったところだ。長い時間目の届かないところに置いておくと落ち着かない」
ノアの回答にリーシャはやっぱりそうなのかと、困ったように笑った。ノアは弟2人にもリーシャに向ける執着と同じくらいの執着を持っているようだ。ルシアとエリアルも同じなのだろう。
弟2人の思いもきちんと言葉として知っておきたかったリーシャは、彼らにも尋ねてみることにした。
「……はい」
リーシャは委縮したまま、問いに首を縦に振りながら答えた。すると、竜王は先ほどの牽制を払拭させるかのようにより柔らかな声で続けた。
「私たち竜はね、1カ月もあれば1人で生きるために必要な体の機能は十分に成長するんだ。だから普通はそれ以上の期間、子供を手元に置いておく親はいない。手放さないといけないって直感で分かるらしいから。私は雄だからよくはわからないけど、きっと母と子それぞれの本能が、執着心を生まれさせないようにそうさせているのかもね。私たちにとって強いつながりは死を早める事にもつながるから」
「1カ月……ってことは……」
「うん。君が彼らを手元に置きすぎたのが大きな原因だろうね。それに突然の環境の変化に戸惑って身を寄せ合っているうちに、必要以上に互いへの執着が生まれてしまった。そんなところだろう」
「そうですか……」
どういう生き物なのか知りもせず、簡単に手を差し伸べたのが間違いだったのだとリーシャは後悔した。
1ヶ月で巣立つほど竜の成長は著しいのならば、あのまま放置したところでノアたちが死ぬ可能性は低かったのかもしれない。むしろ手を差し伸べ、自分との繋がりを作らせてしまい、彼らの命を縮めてしまったといえるだろう。
心に生まれた後悔の欠片は、リーシャをノアへ向けさせる。
リーシャの中に生まれた、その信じたくない思いに気がついたようだ。ノアはリーシャの答えを求める視線に気がつき、一瞬言いにくそうな表情を見せた。
「間違ってはいないだろうな。2人を弟と認識するようになったのはお前と出会ってかなり経ってからだ。リーシャに見つかった時、初めはこいつらを守るべきなのかわからなかった。だが、共に親に守られていた存在だ。放ってはおけなかった。それに2人とも元々あの性格と頭だ。放っておいたらすぐに死ぬのではないかとも思っていたからな」
ノアは竜王の言葉を肯定する言葉を言いはしたけれど、ノアなりにリーシャをフォローしようとしたようだ。
結果流れ弾がルシアとエリアルに直撃してしまった事にリーシャは苦笑した。
「じゃあさ、今は? 2人の事、どう思ってる?」
リーシャの問いにノアは指を口元に当て、真剣に考え始めた。
「そうだな……手放せない存在。何を代償にしても守らなければならない存在。といったところだ。長い時間目の届かないところに置いておくと落ち着かない」
ノアの回答にリーシャはやっぱりそうなのかと、困ったように笑った。ノアは弟2人にもリーシャに向ける執着と同じくらいの執着を持っているようだ。ルシアとエリアルも同じなのだろう。
弟2人の思いもきちんと言葉として知っておきたかったリーシャは、彼らにも尋ねてみることにした。
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