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竜の国
ひとやすみ(1)
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リーシャたちは王都から見て西の方へと翼を進めていた。
ファイドラスの話では、竜の国までは休みなく飛び続ければおおよそ1日半かかるだろうとのことだ。すでに王都クレドニアムを発って1日と少し経過している。
ルシアにとって1日を超える長時間、休息なしで飛び続けるのは初めての体験だ。疲れの色が強くなるにつれ飛ぶ速度も次第に遅くなり、今ではフラフラと上下運動を繰り返すようになっていた。
「ルシア、大丈夫?」
「んー……わりぃ……もう、限界かも……」
覗き込んだルシアの瞳は半分閉じていて、今にも夢の世界へと旅立ちそうになっている。
体制を直したリーシャは、真顔で呟いた。
「まずい……このままだと墜落する……」
「えっ! にぃ、さん具合が悪いの⁉ 大丈夫⁉」
「多分疲れて眠たくなってるだけだとは思うけど……うーん……こうなったら、ファイさぁぁぁん!」
ファイドラスはルシアのはるか先の空を飛んでいた。足には氷漬けになった水竜を縛ったロープの先が握られている。
実はリーシャは出発直後に水竜を放置していたことを思い出し、1度王都へと引き返していた。あんな旅立ちをした後に再び王都に顔を出す羽目になったのは少々恥ずかしくもあった。
リーシャが風の魔法を利用して名を叫ぶと、ファイドラスは大きく旋回して引き返してきた。そしてルシアの横に並ぶと、速度を緩め並走する。
「いつの間にこんなに遅れだしたんだ……それで? どうかしたのか?」
「すみません。あの、ルシアが限界みたいで」
「限界?」
ファイドラスの視線がルシアの顔へと向けられた。
「はぁぁぁぁ……これくらいで。なんと情けない……お前は身体能力に特化した種だろうに、何故私の方がまだ体力が残っているのだ。お前、本当は別の種の竜なのではないか?」
「んんー? あー……」
寝ぼけ眼のルシアにはファイドラスの嫌味は一切通じてはいなかった。それ以前に何を言われているのか頭にも入っていないだろう。
「まあいい。ひとまず降りて休息をとるとしよう。こんな有様では目的地に付いた途端にただのでかい的に成り果ててしまう」
「すみません」
ファイドラスは呆れ気味で溜め息をつくと、一足先に地上へと降下していった。
「ルシア、休憩するから地面に下りてくれる? ゆっくりでいいから」
「んあーいよー」
情けない返事をするとルシアはノロノロと高度を下げていった。
地面に着き、ルシアが伏せるとリーシャたちはすぐに背から降りた。途端にルシアからは寝息が漏れ始めた。
ファイドラスの話では、竜の国までは休みなく飛び続ければおおよそ1日半かかるだろうとのことだ。すでに王都クレドニアムを発って1日と少し経過している。
ルシアにとって1日を超える長時間、休息なしで飛び続けるのは初めての体験だ。疲れの色が強くなるにつれ飛ぶ速度も次第に遅くなり、今ではフラフラと上下運動を繰り返すようになっていた。
「ルシア、大丈夫?」
「んー……わりぃ……もう、限界かも……」
覗き込んだルシアの瞳は半分閉じていて、今にも夢の世界へと旅立ちそうになっている。
体制を直したリーシャは、真顔で呟いた。
「まずい……このままだと墜落する……」
「えっ! にぃ、さん具合が悪いの⁉ 大丈夫⁉」
「多分疲れて眠たくなってるだけだとは思うけど……うーん……こうなったら、ファイさぁぁぁん!」
ファイドラスはルシアのはるか先の空を飛んでいた。足には氷漬けになった水竜を縛ったロープの先が握られている。
実はリーシャは出発直後に水竜を放置していたことを思い出し、1度王都へと引き返していた。あんな旅立ちをした後に再び王都に顔を出す羽目になったのは少々恥ずかしくもあった。
リーシャが風の魔法を利用して名を叫ぶと、ファイドラスは大きく旋回して引き返してきた。そしてルシアの横に並ぶと、速度を緩め並走する。
「いつの間にこんなに遅れだしたんだ……それで? どうかしたのか?」
「すみません。あの、ルシアが限界みたいで」
「限界?」
ファイドラスの視線がルシアの顔へと向けられた。
「はぁぁぁぁ……これくらいで。なんと情けない……お前は身体能力に特化した種だろうに、何故私の方がまだ体力が残っているのだ。お前、本当は別の種の竜なのではないか?」
「んんー? あー……」
寝ぼけ眼のルシアにはファイドラスの嫌味は一切通じてはいなかった。それ以前に何を言われているのか頭にも入っていないだろう。
「まあいい。ひとまず降りて休息をとるとしよう。こんな有様では目的地に付いた途端にただのでかい的に成り果ててしまう」
「すみません」
ファイドラスは呆れ気味で溜め息をつくと、一足先に地上へと降下していった。
「ルシア、休憩するから地面に下りてくれる? ゆっくりでいいから」
「んあーいよー」
情けない返事をするとルシアはノロノロと高度を下げていった。
地面に着き、ルシアが伏せるとリーシャたちはすぐに背から降りた。途端にルシアからは寝息が漏れ始めた。
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