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ネクロノーム家

後日談(3)

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 リーシャが手を放すとルシアは痛そうに唇を押さえた。

「なぁ、リーシャ。1つ頼みがあるんだけどさ」

 ルシアが少し照れくさそうに頬を掻いていた。ころころと表情を変えてせわしない。
 また変な事を言いだすのだろうなとリーシャはなんとなく察していた。

「何?」
「あのさ、今日だけでいいから、その、俺らの部屋で一緒に寝てくれねぇか?」
「えっ……」
「エリアルがここ最近ずっとぐずってたってのもあんだけどさ、恥ずかしい話、正直俺もリーシャの事が気になりすぎてあんま寝れてないから。近くにいてくれた方が安心できるし、リーシャが嫌じゃなければ、なんだけど」

 ルシアは視線を彷徨わせた。
 思った通り、変な事を言いだしたとは思った。ただ、たしかにルシアの目の下にクマが出来ている。眠れていないというのは本当なのだろう。

(遅くまで魔道具の練習してるときでもあんなクマ作ったことなかったのに。きっと、すごく心配してくれたんだろうな……それで安心してくれるなら、それでも。それに私もこのまま一人になるのは……)

 いつもなら即拒否をするリーシャが全く反応を示さなかったため、不機嫌になったと思ったのだろう。ルシアはばつが悪そうな表情をした。

「あーっと、悪い。今のは聞かなかったことにしてくれ。答えなんか聞くまでも……」

 リーシャは慌ててルシアの手を掴んだ。

「あの……いいよ。今日は私も1人は寂しい、から」
「だよな。いいわけな……? いいのか?」
「うん……」
「マジか! やった!」

 感極まったルシアは思い切りリーシャを抱きしめた。
 こんな戯れなど日ごろからの事なのに、この日はいつもにもまして胸の鼓動が大きくなったように感じた。ルシアにバレるのではないかと思うと、さらに増したような気がする。
 そんな中、ルシアの肩越しにノア口角がわずかに上がっているのが見えた。そこでリーシャは直感した。

(あ、バレたわ。これ……)

 おそらく表情にまで出てしまっていたのだろう。
 その感は当たっていたようで、数日おきにノアにあれこれと言い包められ、彼らの部屋で睡眠をとる羽目になったのだった。
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