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ネクロノーム家
末っ子の意地(2)
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エリアルはこれまで見てきたリーシャの戦いを元に戦っている。雷を纏った水の柱、風によるシリウスの行動の妨害。相手の動きをしっかりと見極められていて、魔法を使うタイミングも完璧だと言っても良いだろう。
けれど、相手はリーシャと同格ともいえるような魔法の使い手だ。
魔力量に魔法の威力、発動までの速さはリーシャの方が上だけれども、魔力の調節加減といった繊細な扱いはシリウスの方が上だろう。
シリウスの魔法技術は発動までのタイムラグを感じさせないほど鮮やかなものだった。さらにはエリアルが放つ荒削りな魔法の弱点を瞬時に見極め、圧縮させた魔法で突いてことごとく粉砕していく。
そんな2人の戦いを見ていたルシアの額から汗が流れた。
「なあ、リーシャ」
「なに?」
「もしかしてなんだけどさ、あのヤローが使ってる魔道具って、1つだけ、なのか?」
「……うん、だぶんそう。あんなに違う属性の、しかもいろんな魔法を使ってるってことはそういう事だと思う」
「まじかよ……エリアルのやつ、大丈夫か?」
魔道具についての知識を得たルシアとリーシャは、シリウスの想像以上の魔法センスに息を呑んだ。
2人以外には会話の意味も、シリウスの他より優れている能力もよくわかっていないようだった。ただ、魔法の発動が早く、強い魔法が使える。それくらいの認識だろう。
わからず蚊帳の外になっていたノアは、不機嫌そうに何の事だというような表情をした。
「おい、ルシア。あの雄には何か優れた能力でもあるのか? 俺たちにもわかるように話せ」
「わかった。あのな、本来魔道具ってのはさ、1つの魔道具につき1種類の魔法しか発動できないんだ。複数の魔法を使いたいなら、その分魔道具もたくさん持ってないとなんねえ。けど、例外の魔道具が1つだけあるんだ。ただしそれは、扱いが難しい」
「……それをあいつは使いこなしている、と言いたいのか?」
「そう。魔法って魔力の流れによってどんな魔法が発動するのか決まるんだけどさ、人間はそれが自分でできないから魔力を魔道具に刻まれてる魔力刻印に流すことで魔力の流れを作ってんだよ。だから魔道具ごとに発動する魔法が違うんだ。けど、アイツは魔力刻印は使わずに自分で魔力を操作して流れを作れるから、具現化させるとこだけ魔道具に頼ってるみたいなんだ。高位な魔法ほど流れが複雑になるから、大体の人間は威力の弱い、低位の魔法用に使ってんだけど、アイツはかなり複雑な魔法もその魔道具で発動させてんだよ」
シルバーは頭の上にはてなマークを浮かべていたけれど、ノアとフェンリルはシリウスが見せている能力の高さを理解したようだった。
「だが、だからといってそれでエリアルが負ける事にはつながらないだろう? 何が心配なんだ?」
「うーんとさ、それはそうなんだけど……魔法使い同士の戦いって威力だけじゃなく、使える魔法の種類も影響するんだよ。ああいう事ができるってことは、習得してる魔法も多いだろうし……それになーんか嫌な感じもしてさ。気のせいならいいんだけど」
「……そうか」
ルシアとノアは、エリアルとシリウスの戦いに視線を戻した。今のところエリアルが優勢のように見える。
ただリーシャもルシアはと同様に、妙な胸騒ぎがしていた。
けれど、相手はリーシャと同格ともいえるような魔法の使い手だ。
魔力量に魔法の威力、発動までの速さはリーシャの方が上だけれども、魔力の調節加減といった繊細な扱いはシリウスの方が上だろう。
シリウスの魔法技術は発動までのタイムラグを感じさせないほど鮮やかなものだった。さらにはエリアルが放つ荒削りな魔法の弱点を瞬時に見極め、圧縮させた魔法で突いてことごとく粉砕していく。
そんな2人の戦いを見ていたルシアの額から汗が流れた。
「なあ、リーシャ」
「なに?」
「もしかしてなんだけどさ、あのヤローが使ってる魔道具って、1つだけ、なのか?」
「……うん、だぶんそう。あんなに違う属性の、しかもいろんな魔法を使ってるってことはそういう事だと思う」
「まじかよ……エリアルのやつ、大丈夫か?」
魔道具についての知識を得たルシアとリーシャは、シリウスの想像以上の魔法センスに息を呑んだ。
2人以外には会話の意味も、シリウスの他より優れている能力もよくわかっていないようだった。ただ、魔法の発動が早く、強い魔法が使える。それくらいの認識だろう。
わからず蚊帳の外になっていたノアは、不機嫌そうに何の事だというような表情をした。
「おい、ルシア。あの雄には何か優れた能力でもあるのか? 俺たちにもわかるように話せ」
「わかった。あのな、本来魔道具ってのはさ、1つの魔道具につき1種類の魔法しか発動できないんだ。複数の魔法を使いたいなら、その分魔道具もたくさん持ってないとなんねえ。けど、例外の魔道具が1つだけあるんだ。ただしそれは、扱いが難しい」
「……それをあいつは使いこなしている、と言いたいのか?」
「そう。魔法って魔力の流れによってどんな魔法が発動するのか決まるんだけどさ、人間はそれが自分でできないから魔力を魔道具に刻まれてる魔力刻印に流すことで魔力の流れを作ってんだよ。だから魔道具ごとに発動する魔法が違うんだ。けど、アイツは魔力刻印は使わずに自分で魔力を操作して流れを作れるから、具現化させるとこだけ魔道具に頼ってるみたいなんだ。高位な魔法ほど流れが複雑になるから、大体の人間は威力の弱い、低位の魔法用に使ってんだけど、アイツはかなり複雑な魔法もその魔道具で発動させてんだよ」
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「だが、だからといってそれでエリアルが負ける事にはつながらないだろう? 何が心配なんだ?」
「うーんとさ、それはそうなんだけど……魔法使い同士の戦いって威力だけじゃなく、使える魔法の種類も影響するんだよ。ああいう事ができるってことは、習得してる魔法も多いだろうし……それになーんか嫌な感じもしてさ。気のせいならいいんだけど」
「……そうか」
ルシアとノアは、エリアルとシリウスの戦いに視線を戻した。今のところエリアルが優勢のように見える。
ただリーシャもルシアはと同様に、妙な胸騒ぎがしていた。
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