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ネクロノーム家
末っ子の意地(1)
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「待って、エリアル! そんな話勝手に決めないでよ!」
リーシャは慌てて2人の後を追って飛び出した。どう考えてもエリアルがシリウスに勝てるとは思えない。このままでは間違いなくエリアルたち3兄弟と引き離されてしまう。
ノアたち3兄弟の温もりを知った今、こんな形で別れさせられてはまともな生活を送れる気がしなかった。きっと抜け殻のように何も手につかなくなるのではないだろうか。
そう思うほどに彼らとの絆は強くなっていた。
エリアルはリーシャの制止する声で足を止め、振り向いた。緊張はしているようだけれど、そこに戦いに向ける不安は感じられなかった。
「ごめんね、ねぇちゃん。たぶんこうでもしないとあの人諦めてくれないだろうから。その腕のやつも、今のねぇちゃんじゃ外せないんでしょ?」
「そうだけど……けど、万が一勝てたとしても、あの人が約束守ってくれるとは……」
不安気に呟くと、エリアルはリーシャの両肩をがっしりと掴んだ。
「大丈夫! 僕が何とかして外させてみせるから、ね?」
リーシャが顔を上げると、エリアルと視線が絡んだ。
どこからそのような自信がきているのだろう。わずかに見上げる先には自信にあふれた顔があった。
「それにさ、万が一なんて言わないで! 僕にはとっておきの魔法があるんだ!」
「とっておき……?」
「そう、とっておき! だから絶対に勝って、またねぇちゃんのところに戻ってくるよ。待っててね」
エリアルは返事を待たず、首をかしげるリーシャの肩から手を放した。子供のような顔で笑うと、額にキスを落とした。そして迷いのない足取りで、余裕な態度で佇むシリウスの前へと歩み出た。
「では、始めましょうか」
「約束は守ってよ?」
「ええ、あなたが私に勝てれば、ですけど。先手はお譲りしましょう。どうぞ、いつでもいらしてください」
「むう。そんなこと言うなら遠慮なくいかせてもらうもん!」
挑発に乗って考えなしに先手を取ったのかと思いきや、案外エリアルは冷静だった。
即座に攻撃を仕掛けはせず、まずは自身に身体強化の魔法を施した。魔法勝負になるとはいえ、魔法の威力を比べる勝負ではない以上、身体能力の高さは影響するだろう。
シリウスはククッと笑った。
「意外と冷静なのですね」
そうつぶやいたシリウスに向けて、エリアルは高速で火の玉を飛ばした。
シリウスは襲い来る炎を次々と交わしていく。いつの間にかシリウスも身体強化は終えていたようだ。
攻撃はせず防戦一方のように見えるけれど、魔法を追っている視線と目つきからして、シリウスはエリアルの実力を計っているのだろう。そのすましたように見える顔が、リーシャの気持ちを逆なでてくる。
それを知らないシリウスは涼し気に口を開いた。
「この程度では私には勝てませんよ?」
「うるさいなぁ。余裕ぶってるのも今のうちなんだからね!」
エリアルは大きく息を吸い込むと炎の息吹を繰り出した。火竜の繰り出す息吹に引けを取らない威力だ。
けれどシリウスは水の障壁で、いとも簡単に息吹を散らしてしまった。
「まだまだ!」
エリアルが手を横に振ると石の礫が現れ、シリウスへと襲い掛かった。
シリウスは迎え撃たずに、その場から飛び退いた。
と、同時にエリアルが地面を力づよく踏み込み、地面から先の鋭い岩が宙を舞うシリウスに襲い掛かった。
リーシャは慌てて2人の後を追って飛び出した。どう考えてもエリアルがシリウスに勝てるとは思えない。このままでは間違いなくエリアルたち3兄弟と引き離されてしまう。
ノアたち3兄弟の温もりを知った今、こんな形で別れさせられてはまともな生活を送れる気がしなかった。きっと抜け殻のように何も手につかなくなるのではないだろうか。
そう思うほどに彼らとの絆は強くなっていた。
エリアルはリーシャの制止する声で足を止め、振り向いた。緊張はしているようだけれど、そこに戦いに向ける不安は感じられなかった。
「ごめんね、ねぇちゃん。たぶんこうでもしないとあの人諦めてくれないだろうから。その腕のやつも、今のねぇちゃんじゃ外せないんでしょ?」
「そうだけど……けど、万が一勝てたとしても、あの人が約束守ってくれるとは……」
不安気に呟くと、エリアルはリーシャの両肩をがっしりと掴んだ。
「大丈夫! 僕が何とかして外させてみせるから、ね?」
リーシャが顔を上げると、エリアルと視線が絡んだ。
どこからそのような自信がきているのだろう。わずかに見上げる先には自信にあふれた顔があった。
「それにさ、万が一なんて言わないで! 僕にはとっておきの魔法があるんだ!」
「とっておき……?」
「そう、とっておき! だから絶対に勝って、またねぇちゃんのところに戻ってくるよ。待っててね」
エリアルは返事を待たず、首をかしげるリーシャの肩から手を放した。子供のような顔で笑うと、額にキスを落とした。そして迷いのない足取りで、余裕な態度で佇むシリウスの前へと歩み出た。
「では、始めましょうか」
「約束は守ってよ?」
「ええ、あなたが私に勝てれば、ですけど。先手はお譲りしましょう。どうぞ、いつでもいらしてください」
「むう。そんなこと言うなら遠慮なくいかせてもらうもん!」
挑発に乗って考えなしに先手を取ったのかと思いきや、案外エリアルは冷静だった。
即座に攻撃を仕掛けはせず、まずは自身に身体強化の魔法を施した。魔法勝負になるとはいえ、魔法の威力を比べる勝負ではない以上、身体能力の高さは影響するだろう。
シリウスはククッと笑った。
「意外と冷静なのですね」
そうつぶやいたシリウスに向けて、エリアルは高速で火の玉を飛ばした。
シリウスは襲い来る炎を次々と交わしていく。いつの間にかシリウスも身体強化は終えていたようだ。
攻撃はせず防戦一方のように見えるけれど、魔法を追っている視線と目つきからして、シリウスはエリアルの実力を計っているのだろう。そのすましたように見える顔が、リーシャの気持ちを逆なでてくる。
それを知らないシリウスは涼し気に口を開いた。
「この程度では私には勝てませんよ?」
「うるさいなぁ。余裕ぶってるのも今のうちなんだからね!」
エリアルは大きく息を吸い込むと炎の息吹を繰り出した。火竜の繰り出す息吹に引けを取らない威力だ。
けれどシリウスは水の障壁で、いとも簡単に息吹を散らしてしまった。
「まだまだ!」
エリアルが手を横に振ると石の礫が現れ、シリウスへと襲い掛かった。
シリウスは迎え撃たずに、その場から飛び退いた。
と、同時にエリアルが地面を力づよく踏み込み、地面から先の鋭い岩が宙を舞うシリウスに襲い掛かった。
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