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ネクロノーム家
見え始めた可能性(2)
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「親しくないとしても、これで可能性は見えてきたね。その竜王という竜に協力を仰いでみたらどうだろう」
「そうですね。シャノウさんを助け出すためだと言えば、協力はしてくれるかもしれません。でも、大丈夫でしょうか……竜王様も人間に恨みを持っているみたいなので。技師の人とうまく協力できるかどうか……それに、そもそもどうやったら会えるかわからなくて……」
「まあ、全ての人間と仲良くしてもらおうってわけじゃないんだ。そこは相性の良さそうな技師に協力してもらって試行錯誤するしかないね。会えるかどうかは……この件の関係者で、どうにかしてその竜の国を探してもらえるよう手配しよう。今まで私たち人間に知られずに竜たちが暮らしていた地だから、かなり時間は必要になりそうだけど」
「そうですね」
「じゃあ……」
さらに話を進める段階になって、突然マークレンが口を閉じた。
「どうしたんですか?」
「いやね、シリウスが帰ってきたみたいだから」
「え?」
廊下からコツン、コツンとゆっくりと歩く足音が近づいてきている。兄弟だからわかるのか、それだけの情報なのに、マークレンはシリウスだと確信しているようだ。
足音は逸れることなく、聞こえ続ける。
「こっちに向かって来ているね。この話はここでいったん終了かな。弟に協力してもらえれば良い案をくれるだろうけど、君はあの子に教えたくはないんだろう?」
「あっ、はい。嫌です」
「だよね」
あまりにもリーシャがきっぱりと言い切ったためマークレンは苦笑した。
その後すぐに書庫の扉は外側から開かれた。現れたのはマークレンの言った通りシリウスだった。
「帰ったよ、リーシャ。おや、兄さんと……ハンナも来ていたのですか。久しぶりですね。元気でしたか、ハンナ?」
「ええ、お久しぶりです、シリウス様」
元婚約者同士にもかかわらず、ハンナとシリウスは何気ない態度で挨拶を交わした。元々仲が良く、互いに婚約していたという感覚が薄かったのかもしれない。元の仲の良い従姉弟としての関係に戻っただけのようだ。
「今は学校からこっちに帰って来ているのでしたね」
「ええ、そうなのです。そうしたら、先生がこちらの別邸にいらっしゃっているとお聞きしたので、飛んできました」
「ああ、そうでしたね。リーシャはハンナの恩師でもあったのですね」
「ええ。それに、仲も良いんですよ。ねっ、先生?」
突然話を振られ、さらには腕にしがみつかれたため、リーシャは驚いた。ハンナはこんな事をするタイプではないため何か意図があるのかも知れない。
とりあえず、しがみつかれるのが嫌というわけではないため、そのまま話を合わせた方が良さそうだ。
「うん。私、ハンナの事は一番信頼してるよ」
「まあ先生ったら。そう言っていただけて嬉しいですわ。あっ! そうでした、先生。私、先生にお伺いしたいことがありましたの」
「え? なに?」
リーシャは首を傾げた。
ハンナはリーシャに会うためにこの別邸までわざわざ足を運んでくれたのだから、聞きたい事があるというのは全く不思議ではない。けれど妙に大げさな言い方に、リーシャは少しの違和感を持った。
するとハンナはマークレンとシリウスの事をちらりと見ると、言いにくそうに口を開いた。
「ここでは、ちょっと……殿方が2人もいらっしゃいますし、よろしければ先生のお部屋でお話を聞いていただけませんか?」
「いいけど……」
「では早く行きましょう、先生。マークレン兄様、シリウス様、私たちはこれで失礼いたしますね」
「そうですね。シャノウさんを助け出すためだと言えば、協力はしてくれるかもしれません。でも、大丈夫でしょうか……竜王様も人間に恨みを持っているみたいなので。技師の人とうまく協力できるかどうか……それに、そもそもどうやったら会えるかわからなくて……」
「まあ、全ての人間と仲良くしてもらおうってわけじゃないんだ。そこは相性の良さそうな技師に協力してもらって試行錯誤するしかないね。会えるかどうかは……この件の関係者で、どうにかしてその竜の国を探してもらえるよう手配しよう。今まで私たち人間に知られずに竜たちが暮らしていた地だから、かなり時間は必要になりそうだけど」
「そうですね」
「じゃあ……」
さらに話を進める段階になって、突然マークレンが口を閉じた。
「どうしたんですか?」
「いやね、シリウスが帰ってきたみたいだから」
「え?」
廊下からコツン、コツンとゆっくりと歩く足音が近づいてきている。兄弟だからわかるのか、それだけの情報なのに、マークレンはシリウスだと確信しているようだ。
足音は逸れることなく、聞こえ続ける。
「こっちに向かって来ているね。この話はここでいったん終了かな。弟に協力してもらえれば良い案をくれるだろうけど、君はあの子に教えたくはないんだろう?」
「あっ、はい。嫌です」
「だよね」
あまりにもリーシャがきっぱりと言い切ったためマークレンは苦笑した。
その後すぐに書庫の扉は外側から開かれた。現れたのはマークレンの言った通りシリウスだった。
「帰ったよ、リーシャ。おや、兄さんと……ハンナも来ていたのですか。久しぶりですね。元気でしたか、ハンナ?」
「ええ、お久しぶりです、シリウス様」
元婚約者同士にもかかわらず、ハンナとシリウスは何気ない態度で挨拶を交わした。元々仲が良く、互いに婚約していたという感覚が薄かったのかもしれない。元の仲の良い従姉弟としての関係に戻っただけのようだ。
「今は学校からこっちに帰って来ているのでしたね」
「ええ、そうなのです。そうしたら、先生がこちらの別邸にいらっしゃっているとお聞きしたので、飛んできました」
「ああ、そうでしたね。リーシャはハンナの恩師でもあったのですね」
「ええ。それに、仲も良いんですよ。ねっ、先生?」
突然話を振られ、さらには腕にしがみつかれたため、リーシャは驚いた。ハンナはこんな事をするタイプではないため何か意図があるのかも知れない。
とりあえず、しがみつかれるのが嫌というわけではないため、そのまま話を合わせた方が良さそうだ。
「うん。私、ハンナの事は一番信頼してるよ」
「まあ先生ったら。そう言っていただけて嬉しいですわ。あっ! そうでした、先生。私、先生にお伺いしたいことがありましたの」
「え? なに?」
リーシャは首を傾げた。
ハンナはリーシャに会うためにこの別邸までわざわざ足を運んでくれたのだから、聞きたい事があるというのは全く不思議ではない。けれど妙に大げさな言い方に、リーシャは少しの違和感を持った。
するとハンナはマークレンとシリウスの事をちらりと見ると、言いにくそうに口を開いた。
「ここでは、ちょっと……殿方が2人もいらっしゃいますし、よろしければ先生のお部屋でお話を聞いていただけませんか?」
「いいけど……」
「では早く行きましょう、先生。マークレン兄様、シリウス様、私たちはこれで失礼いたしますね」
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