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ネクロノーム家
光の有無(1)
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それぞれが頭を悩ませていると、ハンナがぼそりと呟いた。
「闇の反対と言われて思い浮かべるのは光、ですかね」
光と闇は対の関係にはある。けれど、優劣としての関係があるかどうかは不明だ。ただ、暗闇を消せるモノはと問われて挙げるモノとしては、最有力候補と言えるのではないだろうか。
リーシャはハンナが口にしたその意見に同意だった。マークレンも同意見のようで頷いていた。
「光の魔法か……実在するならありえなくはないかもしれないね。けれど闇に優勢なのが本当に光だとすると、それこそ解放は不可能と言えてしまう。根拠がないから光の魔力が存在しないとは断定できないけど、逆に魔力を持つ人も魔物も確認されていないから、存在するとも言い切れない」
「そうですよね。やっぱりそう簡単にはいきませんよね」
ハンナは片手を頬にあて、悩まし気にふぅと小さく息を吐いた。そして再び3人は頭を悩ませ始めた。
リーシャはふと何かが引っ掛かかったような気がした。以前どこかで今と同じような話をしたような気がしたのだ。
(前に誰かと光の魔法の話をしたことがあったような……誰とだっけ……?)
リーシャは近い記憶から探り始めた。そしてそれらしい記憶に辿り着いた時、目を見開いた。
「そういえば……」
「先生、どうかされました?」
「ごめん、ちょっと待って」
リーシャは目を伏せ、より鮮明に思い出そうと記憶を探る。
ルシアが魔道具工房の見学をしに行っていた時の事。工房を取り仕切っているディフェルド・ストロネシアと謎の魔力刻印について話をしていた時の事を思い出していた。
次の瞬間、記憶の片隅に追いやられていた情報が脳裏で再生されたような感覚がした。
(あの時だ! たしかストロネシアさんが文献で見たって言ってた‼)
リーシャは2人の方へ視線を上げた。
「もしかしたら、光の魔法ってあるかもしれないです」
「本当かい⁉」
リーシャの言葉にマークレンは好奇心に駆られたような目をした。魔法の研究にはあまり興味はないようだけれど、こういう姿を見るとやはり彼は自分の従兄なのだと感じる。
「はい。魔道具技師をやっている知り合いが、前に光属性の魔法のような痕跡が見つかったと文献にあったと言ってました」
「それはどの文献かわかるかい?」
「いえ、そこまでは……」
「そうか……その文献、少なくともうちの書庫には入ってない物だろうね。あれば私自身が目にしているか、誰かから教えられているだろうから……となるとあるのは王都の図書館、しかも閲覧が限定されているエリアの文献だろうね」
「探るのは難しそうですね……」
「そうだね。うーん、そういう事ならとりあえず光の魔法という説はいったん置いておくしかないかな……」
「……えっ」
せっかく進みかけていた話を置いておこうと言われ、リーシャの口から思わず声が漏れた。
マークレンはリーシャの反応に答えるように続けた。
「闇の反対と言われて思い浮かべるのは光、ですかね」
光と闇は対の関係にはある。けれど、優劣としての関係があるかどうかは不明だ。ただ、暗闇を消せるモノはと問われて挙げるモノとしては、最有力候補と言えるのではないだろうか。
リーシャはハンナが口にしたその意見に同意だった。マークレンも同意見のようで頷いていた。
「光の魔法か……実在するならありえなくはないかもしれないね。けれど闇に優勢なのが本当に光だとすると、それこそ解放は不可能と言えてしまう。根拠がないから光の魔力が存在しないとは断定できないけど、逆に魔力を持つ人も魔物も確認されていないから、存在するとも言い切れない」
「そうですよね。やっぱりそう簡単にはいきませんよね」
ハンナは片手を頬にあて、悩まし気にふぅと小さく息を吐いた。そして再び3人は頭を悩ませ始めた。
リーシャはふと何かが引っ掛かかったような気がした。以前どこかで今と同じような話をしたような気がしたのだ。
(前に誰かと光の魔法の話をしたことがあったような……誰とだっけ……?)
リーシャは近い記憶から探り始めた。そしてそれらしい記憶に辿り着いた時、目を見開いた。
「そういえば……」
「先生、どうかされました?」
「ごめん、ちょっと待って」
リーシャは目を伏せ、より鮮明に思い出そうと記憶を探る。
ルシアが魔道具工房の見学をしに行っていた時の事。工房を取り仕切っているディフェルド・ストロネシアと謎の魔力刻印について話をしていた時の事を思い出していた。
次の瞬間、記憶の片隅に追いやられていた情報が脳裏で再生されたような感覚がした。
(あの時だ! たしかストロネシアさんが文献で見たって言ってた‼)
リーシャは2人の方へ視線を上げた。
「もしかしたら、光の魔法ってあるかもしれないです」
「本当かい⁉」
リーシャの言葉にマークレンは好奇心に駆られたような目をした。魔法の研究にはあまり興味はないようだけれど、こういう姿を見るとやはり彼は自分の従兄なのだと感じる。
「はい。魔道具技師をやっている知り合いが、前に光属性の魔法のような痕跡が見つかったと文献にあったと言ってました」
「それはどの文献かわかるかい?」
「いえ、そこまでは……」
「そうか……その文献、少なくともうちの書庫には入ってない物だろうね。あれば私自身が目にしているか、誰かから教えられているだろうから……となるとあるのは王都の図書館、しかも閲覧が限定されているエリアの文献だろうね」
「探るのは難しそうですね……」
「そうだね。うーん、そういう事ならとりあえず光の魔法という説はいったん置いておくしかないかな……」
「……えっ」
せっかく進みかけていた話を置いておこうと言われ、リーシャの口から思わず声が漏れた。
マークレンはリーシャの反応に答えるように続けた。
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