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撃退任務
真の名(1)
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何かに光が遮られた直後、爆音と強い衝撃がリーシャたちを襲った。衝撃はなかなか止まず、焼かれるような熱さが襲い掛かってくる。
リーシャは恐怖で強く目を瞑った。
ようやく周りが静まり返ったので目を開くと、辺りに光は無く真っ暗闇。リーシャは一瞬自身が死んでしまったのかと思った。
けれどそうではなかった。
「おい、リーシャ! 何が起こったんだ⁉」
暗闇の中、フェンリルの大きな声が近くから聞こえてきた。他の人間が身じろぎする気配もした。
「わ、私もよくわからないの……いきなり声が聞こえてきて、その通りにしたらこうなってた」
「声? 誰の?」
「誰のって……」
思い返せばあの場で、あのような指示を出せる人間がこの場にいるわけがない。
上方からわずかな光が降りそそぎ始めた。何かが左右へと裂け始めその隙間から青空が見えている。
光が届く範囲は次第に広がり、周囲全体が見えるようになるとやっと何がリーシャたちを覆っていたのかがわかった。
「これは、あばらの、骨?」
何かの生物の肋骨のようなものが地面から生えていた。どうやらこの骨がリーシャたちの周囲を隙間なく覆い、灼熱の炎からリーシャたち守ってくれたようだ。
骨を操れそうな存在など、リーシャは1人、いや1匹しか知らない。つまり声の主も彼だったのだろう。
「シャノウさんが……助けてくれたの?」
リーシャは返事があるはずもない指輪に向かって呟いた。
召喚してもいないのに、シャノウが外部に干渉できたという事は由々しき事態だ。使用者が発動する意思もないのに勝手に発動する魔道具など普通なら考えられない。
けれど以前、シャノウが指輪の中で外にいるリーシャとフェンリルの会話を聞いていたという出来事があった。故に指輪の中から勝手にリーシャへ干渉し、魔力を使用させ、シャノウの意志で魔法だけ外部に向けて発動させることができたとしてもおかしくはないのかもしれない。
リーシャはそびえ立つ骨の間から抜け出した。
どうやら火竜は立ち去った後のようだ。
振り向いて骨の内側の地面を見た。地面は火竜の攻撃を受ける前のまま草が生い茂っている。
骨に囲われていた場所から先は焼け焦げた地面が果てしなく遠くまで続いていた。そこにシャノウに守られた人間たち以外の姿はなかった。
リーシャは悔しくて歯を噛みしめた。
「ああ、やはり。あなたこそが我が家の次期当主になるべき方、だったのですね」
背後からこの場に似つかわしくない、興奮を抑えきれないような声が聞こえてきた。
その声にリーシャがぞっとしていると、フェンリルが彼との間に立ちふさがった。
「シリウス・ネクロノーム。それ以上、憶測だけでものを言う事は許さない」
仮にも一国の王子であるフェンリルを前にしても、シリウスは畏まる様子など一切みせない。恍惚とした表情をしていた。
「憶測? 今彼女が使った魔法、いえ、彼女が発動できた魔道具こそが証拠ですよ。あなた様もお気づきなのでしょう。フェンリル王子」
「……」
リーシャを守ろうとするフェンリルの表情が険しくなった。
リーシャはこれ以上秘密にしていた事を隠しきる事はできそうにないと諦め、目を伏せた。
シリウスはなおもまだ推測を述べ続けた。
リーシャは恐怖で強く目を瞑った。
ようやく周りが静まり返ったので目を開くと、辺りに光は無く真っ暗闇。リーシャは一瞬自身が死んでしまったのかと思った。
けれどそうではなかった。
「おい、リーシャ! 何が起こったんだ⁉」
暗闇の中、フェンリルの大きな声が近くから聞こえてきた。他の人間が身じろぎする気配もした。
「わ、私もよくわからないの……いきなり声が聞こえてきて、その通りにしたらこうなってた」
「声? 誰の?」
「誰のって……」
思い返せばあの場で、あのような指示を出せる人間がこの場にいるわけがない。
上方からわずかな光が降りそそぎ始めた。何かが左右へと裂け始めその隙間から青空が見えている。
光が届く範囲は次第に広がり、周囲全体が見えるようになるとやっと何がリーシャたちを覆っていたのかがわかった。
「これは、あばらの、骨?」
何かの生物の肋骨のようなものが地面から生えていた。どうやらこの骨がリーシャたちの周囲を隙間なく覆い、灼熱の炎からリーシャたち守ってくれたようだ。
骨を操れそうな存在など、リーシャは1人、いや1匹しか知らない。つまり声の主も彼だったのだろう。
「シャノウさんが……助けてくれたの?」
リーシャは返事があるはずもない指輪に向かって呟いた。
召喚してもいないのに、シャノウが外部に干渉できたという事は由々しき事態だ。使用者が発動する意思もないのに勝手に発動する魔道具など普通なら考えられない。
けれど以前、シャノウが指輪の中で外にいるリーシャとフェンリルの会話を聞いていたという出来事があった。故に指輪の中から勝手にリーシャへ干渉し、魔力を使用させ、シャノウの意志で魔法だけ外部に向けて発動させることができたとしてもおかしくはないのかもしれない。
リーシャはそびえ立つ骨の間から抜け出した。
どうやら火竜は立ち去った後のようだ。
振り向いて骨の内側の地面を見た。地面は火竜の攻撃を受ける前のまま草が生い茂っている。
骨に囲われていた場所から先は焼け焦げた地面が果てしなく遠くまで続いていた。そこにシャノウに守られた人間たち以外の姿はなかった。
リーシャは悔しくて歯を噛みしめた。
「ああ、やはり。あなたこそが我が家の次期当主になるべき方、だったのですね」
背後からこの場に似つかわしくない、興奮を抑えきれないような声が聞こえてきた。
その声にリーシャがぞっとしていると、フェンリルが彼との間に立ちふさがった。
「シリウス・ネクロノーム。それ以上、憶測だけでものを言う事は許さない」
仮にも一国の王子であるフェンリルを前にしても、シリウスは畏まる様子など一切みせない。恍惚とした表情をしていた。
「憶測? 今彼女が使った魔法、いえ、彼女が発動できた魔道具こそが証拠ですよ。あなた様もお気づきなのでしょう。フェンリル王子」
「……」
リーシャを守ろうとするフェンリルの表情が険しくなった。
リーシャはこれ以上秘密にしていた事を隠しきる事はできそうにないと諦め、目を伏せた。
シリウスはなおもまだ推測を述べ続けた。
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