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始まりの予兆
竜の被害(3)
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(あれ? じゃあなんで私はこの話聞かされてるの……?)
リーシャは王家に仕えているわけでもない、ただの国民だ。部外者に何故わざわざこんな情報を与えたのかという疑問が浮かんだ。
「そんな重要事項、何で私たちに聞かせるんでしょうか?」
リーシャが首をかしげていると、フェンリルが地図越しに机をトントンと叩いた。先ほどまでのお気楽な様子から打って変わった、気難しそうな顔をしている。
「お前、これ見てどう思う?」
「どうって……なんで私に聞くんで……聞くの?」
「簡単な事だろう。リーシャ、お前が誰よりも竜との接点を持ち、竜の事を理解しているからだ。ノアたちと生活を共にし、野生の竜とも接触し、会話までしている」
「それはそうだけど。フェンリルが知りたがってるような答えなんて私にはからないよ?」
「別に完璧な答えなんざ求めてねぇよ。ただ、俺たち王族は国を守るために現状を打開する方法を探らないとならない。が、悲しいことに何が起きてるのか全く分からない。だから何らかの情報を持っている可能性のあるリーシャ、お前に恥を忍んで頭を下げるんだ……頼む」
フェンリルは突然立ち上がると、本当に深々と頭を下げた。
あまりに突然の、予想外のその行動にリーシャも慌てて立ち上がった。
「フェンリル! 私なんかに頭下げたらダメだよ! 頭を上げて、協力するから」
「ありがとう」
上げられたフェンリルの笑顔は曇っていた。まるで自分のふがいなさに耐えているような表情だ。
いつも軽い人間のように振る舞ってはいるけれど、国のために恥を忍んで真剣に頭を下げるフェンリルに、リーシャは報いたいと思った。
ただ、それに報えるほどの物を自分が持っているのかという疑問はある。
そんな心配をしていると、突然フェンリルが眉を下げて弱々しく笑い始めた。
「つーかお前、今自分の事を私なんかっつったけど、城の中ではわりとお前、重要人物扱いになってるからな」
「えぇ⁉」
思いもよらない事実にリーシャは目を丸くした。
「そりゃそうだろ。お前だけでどんだけの戦力抱えてると思ってんだ。非常識レベルの魔法を使うお前が、竜を3匹も連れてんだぜ? 危険人物とか言われて暗殺されてもおかしくないくらいだぞ」
「うそ……」
リーシャの顔から血の気が引いた。まさかそこまで大ごとになっているとは全く思っていなかったのだ。
横で今の話を聞き、リーシャの危機だと感じ取ったノアとエリアルは咄嗟に身構えた。今にもフェンリルたちに襲い掛かりそうなまでの殺気を放っている。
2人のあまりの気迫にフェンリルも焦ったようだ。ノアたちのリーシャへの異常な執着をよく知っているからこそ、余計に危機を感じたのだろう。
フェンリルは慌ててノアを諭そうとしていた。
「待てって! そんなことはしねぇし、させねぇよ! 竜に対抗できる戦力をみすみす殺させるわけないだろう。お前らが何かしでかしてるわけでもねぇんだ」
ノアは一瞬疑わしそうな目を向けた。けれど最終的にはフェンリルの言葉を信用したしらしく、ソファへ座り直した。
「それならいい。リーシャに何かしようものなら覚悟しておけ」
「わかってるって」
一瞬にして張り詰めた空気が解けてリーシャはほっとした。
フェンリルも安堵の息をこぼした。そしてソファに座り直すと、改めてリーシャの事を見た。
「そういう対抗手段って意味もあって、リーシャ。お前に力を貸してほしい」
「わかった。けどあんまり期待しないでね。襲ってくる竜たちと接点があるわけじゃないから」
「ああ。わかってる。推測でもいい。違うと思ったら違うと言ってくれ」
「うん。それで、何を知りたいの?」
リーシャは座り直すと2人の王子の事を真っすぐと見た。
リーシャは王家に仕えているわけでもない、ただの国民だ。部外者に何故わざわざこんな情報を与えたのかという疑問が浮かんだ。
「そんな重要事項、何で私たちに聞かせるんでしょうか?」
リーシャが首をかしげていると、フェンリルが地図越しに机をトントンと叩いた。先ほどまでのお気楽な様子から打って変わった、気難しそうな顔をしている。
「お前、これ見てどう思う?」
「どうって……なんで私に聞くんで……聞くの?」
「簡単な事だろう。リーシャ、お前が誰よりも竜との接点を持ち、竜の事を理解しているからだ。ノアたちと生活を共にし、野生の竜とも接触し、会話までしている」
「それはそうだけど。フェンリルが知りたがってるような答えなんて私にはからないよ?」
「別に完璧な答えなんざ求めてねぇよ。ただ、俺たち王族は国を守るために現状を打開する方法を探らないとならない。が、悲しいことに何が起きてるのか全く分からない。だから何らかの情報を持っている可能性のあるリーシャ、お前に恥を忍んで頭を下げるんだ……頼む」
フェンリルは突然立ち上がると、本当に深々と頭を下げた。
あまりに突然の、予想外のその行動にリーシャも慌てて立ち上がった。
「フェンリル! 私なんかに頭下げたらダメだよ! 頭を上げて、協力するから」
「ありがとう」
上げられたフェンリルの笑顔は曇っていた。まるで自分のふがいなさに耐えているような表情だ。
いつも軽い人間のように振る舞ってはいるけれど、国のために恥を忍んで真剣に頭を下げるフェンリルに、リーシャは報いたいと思った。
ただ、それに報えるほどの物を自分が持っているのかという疑問はある。
そんな心配をしていると、突然フェンリルが眉を下げて弱々しく笑い始めた。
「つーかお前、今自分の事を私なんかっつったけど、城の中ではわりとお前、重要人物扱いになってるからな」
「えぇ⁉」
思いもよらない事実にリーシャは目を丸くした。
「そりゃそうだろ。お前だけでどんだけの戦力抱えてると思ってんだ。非常識レベルの魔法を使うお前が、竜を3匹も連れてんだぜ? 危険人物とか言われて暗殺されてもおかしくないくらいだぞ」
「うそ……」
リーシャの顔から血の気が引いた。まさかそこまで大ごとになっているとは全く思っていなかったのだ。
横で今の話を聞き、リーシャの危機だと感じ取ったノアとエリアルは咄嗟に身構えた。今にもフェンリルたちに襲い掛かりそうなまでの殺気を放っている。
2人のあまりの気迫にフェンリルも焦ったようだ。ノアたちのリーシャへの異常な執着をよく知っているからこそ、余計に危機を感じたのだろう。
フェンリルは慌ててノアを諭そうとしていた。
「待てって! そんなことはしねぇし、させねぇよ! 竜に対抗できる戦力をみすみす殺させるわけないだろう。お前らが何かしでかしてるわけでもねぇんだ」
ノアは一瞬疑わしそうな目を向けた。けれど最終的にはフェンリルの言葉を信用したしらしく、ソファへ座り直した。
「それならいい。リーシャに何かしようものなら覚悟しておけ」
「わかってるって」
一瞬にして張り詰めた空気が解けてリーシャはほっとした。
フェンリルも安堵の息をこぼした。そしてソファに座り直すと、改めてリーシャの事を見た。
「そういう対抗手段って意味もあって、リーシャ。お前に力を貸してほしい」
「わかった。けどあんまり期待しないでね。襲ってくる竜たちと接点があるわけじゃないから」
「ああ。わかってる。推測でもいい。違うと思ったら違うと言ってくれ」
「うん。それで、何を知りたいの?」
リーシャは座り直すと2人の王子の事を真っすぐと見た。
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