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巨大な訪問者
後日談(3)
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横で黙って2人の話を聞いていたエリアルがリーシャの顔を覗き込んだ。
「お話終わったの?」
「うん。スコッチさんも竜王様のことはわからないみたいだし、もういいよ」
リーシャは竜王、というより白い体の竜についての情報を得たかった。けれど、その存在は人間には知られていないし、知っている可能性のあったスコッチも知らない事。
他に聞くとするならば竜王本人かファイドラスと名乗っているあの火竜に聞くしかないけれど、彼らとコンタクトを取る方法はない。会えるかどうかもわからないのだから八方塞がりというものだ。
リーシャが溜め息をつくと、スコッチが面白がるような声で話しかけた。
「で? その竜の何が知りたかったんだい? もしかしてまた告白でもされた? リーシャちゃんも隅に置けないねぇ」
「違うから」
「なんだ、残念。泥沼の愛憎劇の始まりかと思ったんだけどなぁ」
スコッチは心の底から残念がっているようだ。
リーシャには前々から思っていた事があった。今も話をして感じていた。ずっと池の底で暮らしていたわりにはスコッチは言葉を知りすぎている。
「愛憎劇って……そんな言葉どこで覚えてくるのよ……」
リーシャがボソッと言った言葉をスコッチは耳聡く聞いていた。
「それは秘密。長年生きているとね、いろんなことがあるのさ。池の中に人間が落っこちてきたり、愚痴のはけ口になってあげてみたり。それこそ君たちみたいな珍しい関係を築き上げている子たちと仲良くなったり、なんてね」
「それって、実際にあったこと?」
スコッチからの返事はなかった。
言いたくないというより、答えを濁しつつも無言で肯定をしているような気がする。リーシャにはスコッチが笑顔を向けている、そんな風に見えていた。
「まあ、私のことはいいじゃないか。リーシャちゃんは竜王とやらの事が知りたくて僕を呼んだんだろ? 話を戻そうよ。で、君は竜王のどんな事を知りたかったの? もし昔ここに来たのが本当に彼だったなら、知りたいことの内容によっては多少なりとも答えられるかもしれない」
「ほんと⁉」
諦めかけていたところにもしかしたらという期待が再び膨らみ始め、リーシャは目を輝かせた。
「性格とかそんなのはわからないけど、魔力に関することならもしかしたらわかるかもね」
ろくに関わったことのない相手の事が何故わかるのかという疑問もあった。けれど、そんな事よりも、気になり続けていた事がわかるかもしれないと思ったリーシャは、はやる気持ちを抑えられなかった。
「そう! そういう感じの話が聞きたかったの‼ 1番聞きたかったのは竜王の能力について。帰り際の飛び去る姿を見て、どうしても気になる事があったんだ。竜の頂点に君臨するような竜だし、もしかしたらあの竜も異質な存在なんじゃないかって、そんな気がして……」
リーシャが考え込むように難しい顔すると、スコッチも竜王に対して思うところがあったのか、今までの明るい態度から一変し、冷静な声音で問いかけた。
「何が気になった?」
「竜王様の体の色が白かったの」
「白だと何か問題でもあるのかい?」
人の間ではずいぶんと知られている事ではあるのだけれど、魔物であり陸に上がれないスコッチが知っているわけがなかった。
スコッチは頭を少し傾けていた。
「あのね、竜は体の色で得意としている魔法とか戦い方がある程度わかるんだ。赤なら炎の魔法を得意とするとか黄色なら雷の魔法を得意とするとか。けどね、白い竜は存在自体が知られてない。どんな能力を持ってるのか、何を得意とするかわからない未知の存在なの」
「なるほどね。体の色とか能力とかの関係は私にはよくわからないけど、たしかにあの竜の魔力は他にない感じがしたね」
「魔法が発動されてなくてもわかるの?」
「うん、わかっちゃうんだよね、これが」
リーシャは驚いた。
魔力を見ることができる人であっても、魔法を使わずただそこにいるだけの相手の魔力を見ることは出来ない。
魔力は魔法を使おうとしなければ魔力は体外には漏れ出ることはない。そもそも体内で生成されたばかりの魔力は全て無属性の魔力でしかないため、どんな有属性魔法を得意としているかなどわかるはずはない。
リーシャは実際に竜王が魔法を使う姿を見たわけではないため、竜王の持つ魔力を感じ取ることは出来なかった。 だから、リーシャは竜王の能力について悶々と考えていたのだ。
もしかしたらスコッチは魔力そのものを見ているのではなく、他の要因からそう言っているのかもしれない。
リーシャの驚きを他所に、スコッチは自身の見解を述べ始めた。
「お話終わったの?」
「うん。スコッチさんも竜王様のことはわからないみたいだし、もういいよ」
リーシャは竜王、というより白い体の竜についての情報を得たかった。けれど、その存在は人間には知られていないし、知っている可能性のあったスコッチも知らない事。
他に聞くとするならば竜王本人かファイドラスと名乗っているあの火竜に聞くしかないけれど、彼らとコンタクトを取る方法はない。会えるかどうかもわからないのだから八方塞がりというものだ。
リーシャが溜め息をつくと、スコッチが面白がるような声で話しかけた。
「で? その竜の何が知りたかったんだい? もしかしてまた告白でもされた? リーシャちゃんも隅に置けないねぇ」
「違うから」
「なんだ、残念。泥沼の愛憎劇の始まりかと思ったんだけどなぁ」
スコッチは心の底から残念がっているようだ。
リーシャには前々から思っていた事があった。今も話をして感じていた。ずっと池の底で暮らしていたわりにはスコッチは言葉を知りすぎている。
「愛憎劇って……そんな言葉どこで覚えてくるのよ……」
リーシャがボソッと言った言葉をスコッチは耳聡く聞いていた。
「それは秘密。長年生きているとね、いろんなことがあるのさ。池の中に人間が落っこちてきたり、愚痴のはけ口になってあげてみたり。それこそ君たちみたいな珍しい関係を築き上げている子たちと仲良くなったり、なんてね」
「それって、実際にあったこと?」
スコッチからの返事はなかった。
言いたくないというより、答えを濁しつつも無言で肯定をしているような気がする。リーシャにはスコッチが笑顔を向けている、そんな風に見えていた。
「まあ、私のことはいいじゃないか。リーシャちゃんは竜王とやらの事が知りたくて僕を呼んだんだろ? 話を戻そうよ。で、君は竜王のどんな事を知りたかったの? もし昔ここに来たのが本当に彼だったなら、知りたいことの内容によっては多少なりとも答えられるかもしれない」
「ほんと⁉」
諦めかけていたところにもしかしたらという期待が再び膨らみ始め、リーシャは目を輝かせた。
「性格とかそんなのはわからないけど、魔力に関することならもしかしたらわかるかもね」
ろくに関わったことのない相手の事が何故わかるのかという疑問もあった。けれど、そんな事よりも、気になり続けていた事がわかるかもしれないと思ったリーシャは、はやる気持ちを抑えられなかった。
「そう! そういう感じの話が聞きたかったの‼ 1番聞きたかったのは竜王の能力について。帰り際の飛び去る姿を見て、どうしても気になる事があったんだ。竜の頂点に君臨するような竜だし、もしかしたらあの竜も異質な存在なんじゃないかって、そんな気がして……」
リーシャが考え込むように難しい顔すると、スコッチも竜王に対して思うところがあったのか、今までの明るい態度から一変し、冷静な声音で問いかけた。
「何が気になった?」
「竜王様の体の色が白かったの」
「白だと何か問題でもあるのかい?」
人の間ではずいぶんと知られている事ではあるのだけれど、魔物であり陸に上がれないスコッチが知っているわけがなかった。
スコッチは頭を少し傾けていた。
「あのね、竜は体の色で得意としている魔法とか戦い方がある程度わかるんだ。赤なら炎の魔法を得意とするとか黄色なら雷の魔法を得意とするとか。けどね、白い竜は存在自体が知られてない。どんな能力を持ってるのか、何を得意とするかわからない未知の存在なの」
「なるほどね。体の色とか能力とかの関係は私にはよくわからないけど、たしかにあの竜の魔力は他にない感じがしたね」
「魔法が発動されてなくてもわかるの?」
「うん、わかっちゃうんだよね、これが」
リーシャは驚いた。
魔力を見ることができる人であっても、魔法を使わずただそこにいるだけの相手の魔力を見ることは出来ない。
魔力は魔法を使おうとしなければ魔力は体外には漏れ出ることはない。そもそも体内で生成されたばかりの魔力は全て無属性の魔力でしかないため、どんな有属性魔法を得意としているかなどわかるはずはない。
リーシャは実際に竜王が魔法を使う姿を見たわけではないため、竜王の持つ魔力を感じ取ることは出来なかった。 だから、リーシャは竜王の能力について悶々と考えていたのだ。
もしかしたらスコッチは魔力そのものを見ているのではなく、他の要因からそう言っているのかもしれない。
リーシャの驚きを他所に、スコッチは自身の見解を述べ始めた。
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