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魔法学校
それぞれの成果(2)
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「はい、しゅーりょー」
リーシャの宣言にステファニーの頬は膨らんだ。
「むぅぅぅぅぅ……せんせ! なんでわたしのあし、ピリピリしてるの⁉」
「それは、私が雷の魔法使ったからだよ。地面を伝って狙ったの」
「なんで⁉ かみなりのまほーってつちのまほーによわいんでしょ⁉ なんで⁉」
ステファニーは納得いかないと、駄々をこねるように言った。
確かに有属性魔法の優劣に関しては土の魔力に雷の魔力は効果が薄いと習う。
けれど自然の力が関わったり、魔力が複合された状態だったりするとその関係性は異なってくるものだ。
「たしかに土魔法、というか土の魔力を帯びたもの自体は電気を一切通さないし、逆に雷の魔法も普通の地面相手だと使い物にならないけど……」
リーシャはさっきまで自身がいたところからステファニーの足元までの地面を目でたどった。その視線の先をステファニーも一緒に辿った。それでもまだ気がつかない様子だった。
「これだけびしょびしょの地面だと簡単に電気は通るし、雷の魔法でできた電気なら行先もコントロールできちゃうんだよね」
「あっ……」
自分の足がしびれている原因に気がついたステファニーは口をぽかんと開けた。
それと、ステファニーが勝てなかった理由はもう1つあった。
「あと、ステファニーちゃん。私が転びそうになった時、土魔法で攻撃しようとしてたでしょ?」
「うん」
「それで地面の土を使おうとしたけど、うまく操れなかったんじゃない?」
「うん……」
「まあ、あれだけ地面がびしょびしょじゃねぇ……水に邪魔されて形を作れないから、こういう時は土魔法で土自体を作って攻撃に使うといいよ。それか土と水の合成魔法を使えばこの地面の土も操れるよ」
そうアドバイスをしたけれど、それでステファニーがリーシャに勝てる可能性が出てきたかというと、否ではあった。
魔法使いとしての知識量に実戦経験、そして魔力量に差がありすぎる。それに、リーシャはステファニーの実力に合わせて加減はしても、負ける気は一切なかった。
ステファニーの表情はどんどん崩れていく。そしてキッとリーシャに鋭い視線を向けた。
「もう1かい! せんせーもう1かい! つぎはちゃんとできるから!」
「ええっと……」
ステファニーの懇願に、リーシャは困った顔をした。
リーシャの方はこのままもう1戦しても問題ないのだけれど、小さいステファニーには今の模擬戦は体にそれなりの負荷がかかるものだっただろう。連続は避けた方がいい。
そんなリーシャの意図を汲んだハンナはステファニーの傍へやって来て、気持ちを落ち着かせるように背中をさすった。
「いっぱいにお水を飛ばしたんだから、少しお休みしないとだめよ? その後もう一度先生にお願いしましょう」
「イヤ! いますぐするの!」
「無理したって怪我をするだけだよ。だから、ね?」
「でも……がんばってるのにぜんぜんせんせーにあたらないし、ぜんぜんじょうずにまほーつかえるようにならないし……せっかくせんせーがおしえてくれてるのに、へたくそなままじゃきっときらわれちゃうから……もっとがんばらないといけないんだもん」
ステファニーは眉間にしわを寄せ、すぐにでも泣きそうな顔をしながら言った。
いじらしいステファニーのそんな姿に、リーシャは優しく笑いかけた。
「そんなことで嫌いになったりしないよ。それに地面に水をぶつけて足場を悪くする作戦は良かったと思う。しっかり魔力を込められてなかったらぬかるみは作れなかっただろうし、ステファニーちゃんはちゃんと成長してるよ」
「ほんと?」
「ほんとほんと」
リーシャの言葉でステファニーは落ち込んだ表情から、輝きを放っているような表情へ変わった。
リーシャの宣言にステファニーの頬は膨らんだ。
「むぅぅぅぅぅ……せんせ! なんでわたしのあし、ピリピリしてるの⁉」
「それは、私が雷の魔法使ったからだよ。地面を伝って狙ったの」
「なんで⁉ かみなりのまほーってつちのまほーによわいんでしょ⁉ なんで⁉」
ステファニーは納得いかないと、駄々をこねるように言った。
確かに有属性魔法の優劣に関しては土の魔力に雷の魔力は効果が薄いと習う。
けれど自然の力が関わったり、魔力が複合された状態だったりするとその関係性は異なってくるものだ。
「たしかに土魔法、というか土の魔力を帯びたもの自体は電気を一切通さないし、逆に雷の魔法も普通の地面相手だと使い物にならないけど……」
リーシャはさっきまで自身がいたところからステファニーの足元までの地面を目でたどった。その視線の先をステファニーも一緒に辿った。それでもまだ気がつかない様子だった。
「これだけびしょびしょの地面だと簡単に電気は通るし、雷の魔法でできた電気なら行先もコントロールできちゃうんだよね」
「あっ……」
自分の足がしびれている原因に気がついたステファニーは口をぽかんと開けた。
それと、ステファニーが勝てなかった理由はもう1つあった。
「あと、ステファニーちゃん。私が転びそうになった時、土魔法で攻撃しようとしてたでしょ?」
「うん」
「それで地面の土を使おうとしたけど、うまく操れなかったんじゃない?」
「うん……」
「まあ、あれだけ地面がびしょびしょじゃねぇ……水に邪魔されて形を作れないから、こういう時は土魔法で土自体を作って攻撃に使うといいよ。それか土と水の合成魔法を使えばこの地面の土も操れるよ」
そうアドバイスをしたけれど、それでステファニーがリーシャに勝てる可能性が出てきたかというと、否ではあった。
魔法使いとしての知識量に実戦経験、そして魔力量に差がありすぎる。それに、リーシャはステファニーの実力に合わせて加減はしても、負ける気は一切なかった。
ステファニーの表情はどんどん崩れていく。そしてキッとリーシャに鋭い視線を向けた。
「もう1かい! せんせーもう1かい! つぎはちゃんとできるから!」
「ええっと……」
ステファニーの懇願に、リーシャは困った顔をした。
リーシャの方はこのままもう1戦しても問題ないのだけれど、小さいステファニーには今の模擬戦は体にそれなりの負荷がかかるものだっただろう。連続は避けた方がいい。
そんなリーシャの意図を汲んだハンナはステファニーの傍へやって来て、気持ちを落ち着かせるように背中をさすった。
「いっぱいにお水を飛ばしたんだから、少しお休みしないとだめよ? その後もう一度先生にお願いしましょう」
「イヤ! いますぐするの!」
「無理したって怪我をするだけだよ。だから、ね?」
「でも……がんばってるのにぜんぜんせんせーにあたらないし、ぜんぜんじょうずにまほーつかえるようにならないし……せっかくせんせーがおしえてくれてるのに、へたくそなままじゃきっときらわれちゃうから……もっとがんばらないといけないんだもん」
ステファニーは眉間にしわを寄せ、すぐにでも泣きそうな顔をしながら言った。
いじらしいステファニーのそんな姿に、リーシャは優しく笑いかけた。
「そんなことで嫌いになったりしないよ。それに地面に水をぶつけて足場を悪くする作戦は良かったと思う。しっかり魔力を込められてなかったらぬかるみは作れなかっただろうし、ステファニーちゃんはちゃんと成長してるよ」
「ほんと?」
「ほんとほんと」
リーシャの言葉でステファニーは落ち込んだ表情から、輝きを放っているような表情へ変わった。
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