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魔法学校

それぞれの成果(1)

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 怒涛の出来事から2週間。
 リーシャはステファニーの魔法指導を続けていた。目を覚ました翌日には完全復活し、何事もなかったかのように指導を再開した。
 そのかいもあり、ステファニーの魔力をコントロールする力は格段に上達した。
 そしてその過程で発覚した事実もあった。
 これまでステファニーの周りでは、謎の物音や高所からの突然の物の落下など、様々な怪奇現象が起きていたらしい。けれどそれらは、ステファニーが魔力を制御できるようになるにつれてその怪奇現象は鳴りを潜めた。
 どうやら制御できずに溢れ出した魔力で、無意識のうちに魔法を発動させていたようだ。
 魔力のコントロールを覚えたステファニーの今の実力は、リーシャと軽い模擬戦ができるほどになっていた。


 この日もリーシャとステファニーは模擬戦をする予定だった。2人は練習場の真ん中で距離を取り、向かい合って立っていた。
 離れた位置ではノア、ルシア、エリアル、そしてハンナが2人を見守っている。

「せんせー、いくよ!」
「うん、いいよ」

 ステファニーは今から楽しい事が始まるかのようにニッと口角を上げた。

「みずよ!」

 ステファニーはさっそく両手の先にいくつもの水の球を作り、リーシャに向けて飛ばした。
 発動速度もコントロールも申し分ない。
 リーシャはその攻撃を魔力で高められた身体能力で流れるようにかわした。

「うん。魔法自体はいい感じ。でもこんな単純な手じゃ私に攻撃は当たらないかなぁ」
「むうう……それなら」

 ステファニーはさらに速度を上げて水の球を放ち続けた。けれど、それでもリーシャには当たらない。
 むきになって放たれる攻撃は次第に単調化し、かわすのも容易になっていた。疲れも出ているようで、軌道が段々足元へと下がっていく。

(そろそろ仕掛けようかな)

 リーシャは反撃に出ようと地面を踏み込んだ。
 すると足元に違和感を感じた。

「へ?」

 リーシャは柔らかい地面に足を取られ、重心が後ろへと傾いた。
 勢いの強い水が地面に衝突し続けたことで、硬かった地面の一部にぬかるみが出来ていたようだ。
 ステファニーが嬉しそうな声を上げた。

「かかった!」
「しまった!」

 リーシャが倒れそうになっているさなか、ステファニーはすかさず地面へと手を付けた。

(何か仕掛けてくる!)

 そう思ったリーシャもすかさず地面に手をつき、魔力を流した。
 水気の少ない地面の奥らから土が押し上がり、リーシャはそれを踏み場にしてその位置から飛びのいた。
 地面に着地したリーシャはすぐに次の攻撃に備えて身構えた。
 けれど何も起こらない。
 起きている事と言えば、せいぜいぬかるんだ地面が異様に波打つような動きをしているだけだった。
 ステファニーもこの状況に戸惑っている様子だ。

(ああ、もしかして……)

 状況をなんとなく察したリーシャは、遠慮することなく微弱な雷の魔法を地面に放った。

「わっ!」

 ステファニーの足がピクリとわずかに痙攣し、そのまま後ろに仰け反り地面に尻もちをついた。
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