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魔法学校

練習と勝負(1)

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 ステファニーと魔法の練習を始めて5日ほど経った日の事。
 リーシャの生徒は4人になっていた。その理由は、ノアたち3兄弟もこの練習に参加するようになったからだ。
 事の発端はルシアが言ったある一言だった。




「なあ。俺らってさ、もしかして魔法使えんじゃねぇのか?」

 ルシアはステファニーの魔法練習の様子を見ながらぼんやりと呟いた。
 リーシャはその考えに至っていなかった事に地味に驚いていた。

「まあ、使えるでしょ。竜ってもともと“息吹ブレス”っていう魔法に近い技を使えるんだから。個体によっては、魔法に分類されるようなのを使うのもいるし。それに種によって得意な属性があって、主にそればっかり使ってるけど、他の属性が使えないってわけじゃないみたいだよ」
「そっか」

 同じくステファニーの様子を見ていたリーシャの答えを聞くと、ルシアは考え始めた。おそらく自分も魔法の練習をしたいと思っているのだろう。

(どうせ考えても答えは変わらないんだから、やりたいってそのまま言えばいいのに)

 こういう場面に出くわす度に、リーシャはいつも思っていた。

「ルシアも一緒に練習したいの?」
「やってみたいけど、ほんとにできるようになんのかなぁって思ってさ。できないならやるだけ無駄だし」
「私は無駄ではないと思うけど。魔法使えるようにならなくても、ルシア頑張ったなぁ、ってみんなからの評価が上がると思うし」
「リーシャも?」
「うん」

 リーシャはルシアに絶対に魔法の練習をさせたかったわけではない。けれど少しでもやってみたいと思えたのなら、やらせてみたいとは思っていた。
 そんな思いから出た何気ない言葉がルシアの背中を押したようだ。
 ルシアは嬉しそうで悔しそうな何とも言えない表情でリーシャを見ていた。

「その言い方ずるくね?」
「え? 何が?」

 リーシャは何故そんな事を言われるのかわからず首を傾げた。
 その仕草に、ルシアは困り気味に言った。

「あー……うん。気づいてないならそれはそれでもいーか。ある意味それがリーシャって感じもするしさ」
「?」

 ますます意味がわからなかった。
 首を傾げるリーシャの傍らで、ルシアはふっと微笑んだ。

「そんじゃあ、俺も練習に混ざっていいか? 習得できるなら習得しときたい」
「! いいよ、大歓迎! ノアとエリアルは?」

 ルシアがやると言いだしたのなら、ノアとエリアルがやりたくないわけはないはずだ。むしろする事もなく、ただ練習の様子を見ているだけの彼らもうずきだしているに違いない。

「にいちゃんがやるなら僕もやるー!」
「俺にも、頼む」

 想定外の人物たちが生徒になり、それを嬉しく思ったリーシャはニッと笑った。

「わかった! ステファニーちゃんに教える合間になっちゃうけど、きちんと基礎から教えてあげるから、頑張ってよね」

 リーシャは別に教えるのが好きというわけではない。ノアたちがそこまで本気で魔法と向き合おうとしているわけではないのもわかっている。
 それでも彼らと共有できることが増えるのが、リーシャには嬉しかったのだ。
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