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魔法学校
魔法授業の開始(2)
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「リーシャねぇちゃんはすごいよ! ラディウスのにぃちゃんを倒しちゃうくらい強いんだから」
「らでぃうす? だぁれ? わかんない」
ステファニーは首を傾げた。
「すっごく強いにぃちゃんなんだ! きっと世界で一番強い剣士なんだよ。ねぇちゃんはその人に魔法で勝ったんだ。なんかね、魔法って使うのに時間かかるから、1対1じゃ剣士の人に勝つのは難しいんだって! それなのに勝ったんだよ! すごいでしょ!」
そこからはエリアルによるリーシャの自慢話大会だった。ステファニーはそれを興味津々で聞いている。
目の前で自身の武勇伝を聞かされ続けるリーシャの方は、だんだん恥ずかしくなって顔を赤く染め始めた。
「エリアル……もうそういう話はやめてくれないかな? というか勘弁して……」
「えー。まだまだいっぱいあるのに」
エリアルは口を尖らせた。まだ話し足りないようだ。
リーシャの話を聞かされたステファニーはというと、期待の眼差しでリーシャのことを見ていた。
「せんせ。わたし、せんせーのまほーもっとみたい!」
ステファニーは目を輝かせた。エリアルも同じような瞳でリーシャのことを見ている。
そしてステファニーは甘えるような声で切望した。
「ダメですか? せんせー?」
「ダメじゃないけど……」
こんな可愛いお願いを無下にすることは、リーシャにはできそうになかった。さらにはエリアルも追い打ちをかけてくる。
「リーシャねぇちゃん。僕もねぇちゃんのすごい魔法見たいなぁ」
「……わかった、いいよ。あんまり大きいのは使えないけど」
「やったぁ!」
ステファニーとエリアルは揃って喜んだ。
(とは言ってみたものの、どんな魔法を見せたらいいかなぁ)
考えながら見上げた先には、良く晴れた青空が広がっている。
(ただ炎や土を使った魔法を見せても、ステファニーちゃんのやる気に繋がるかわからないし。もっと大きな土人形……は面白みに欠けるかな。威力とか大きな魔法じゃなくて、できればやる気に繋がってくれるような……)
雲で隠れていた太陽が顔を出し光が降り注ぐ。リーシャはまぶしくて目を細めた。
「そうだ!」
リーシャは両手を空に掲げ、魔力を集めた。
手の数センチメートル上空に、無理やり形をとどめさせられて安定しない、透明で大きな物体が大きさを増しながら揺蕩い始めた。
どんどん大きくなり、大きさが2メートルを超えたくらいで止まった。
そしてリーシャは大きな声で言った。
「はじけろ!」
透明な球体は、空へ降り注ぐ激しい雨のようにはじけた。ほんの数秒の間の出来事だ。
「うわぁ‼」
ステファニーとエリアル2人の驚く声が重なる。
視線の先、空には虹がかかっていた。
「せんせーすごーい‼」
気持ちの高ぶったステファニーは跳ね回った。
「せんせ、せんせ! 私もせんせーみたいにすごいまほーつかえるようになるかなぁ?」
「うん。ちゃんと練習すれば上手になれると思うよ」
ステファニーはこの上ないほど顔をほころばせながら、リーシャに輝くような視線を向けていた。
この短い時間の間に、リーシャはステファニーの憧れの存在になれたようだ。
「せんせー! わたし、がんばる‼」
「うん。じゃあ、私も頑張ってステファニーちゃんに魔法を教えてあげなきゃだね!」
「リーシャせんせ、よろしくおねがいします!」
「こちらこそ、よろしくね」
ステファニーはとても嬉しそうだった。
(やる気になってくれてよかった)
リーシャの口元も嬉しそうに弧を描いていた。
「らでぃうす? だぁれ? わかんない」
ステファニーは首を傾げた。
「すっごく強いにぃちゃんなんだ! きっと世界で一番強い剣士なんだよ。ねぇちゃんはその人に魔法で勝ったんだ。なんかね、魔法って使うのに時間かかるから、1対1じゃ剣士の人に勝つのは難しいんだって! それなのに勝ったんだよ! すごいでしょ!」
そこからはエリアルによるリーシャの自慢話大会だった。ステファニーはそれを興味津々で聞いている。
目の前で自身の武勇伝を聞かされ続けるリーシャの方は、だんだん恥ずかしくなって顔を赤く染め始めた。
「エリアル……もうそういう話はやめてくれないかな? というか勘弁して……」
「えー。まだまだいっぱいあるのに」
エリアルは口を尖らせた。まだ話し足りないようだ。
リーシャの話を聞かされたステファニーはというと、期待の眼差しでリーシャのことを見ていた。
「せんせ。わたし、せんせーのまほーもっとみたい!」
ステファニーは目を輝かせた。エリアルも同じような瞳でリーシャのことを見ている。
そしてステファニーは甘えるような声で切望した。
「ダメですか? せんせー?」
「ダメじゃないけど……」
こんな可愛いお願いを無下にすることは、リーシャにはできそうになかった。さらにはエリアルも追い打ちをかけてくる。
「リーシャねぇちゃん。僕もねぇちゃんのすごい魔法見たいなぁ」
「……わかった、いいよ。あんまり大きいのは使えないけど」
「やったぁ!」
ステファニーとエリアルは揃って喜んだ。
(とは言ってみたものの、どんな魔法を見せたらいいかなぁ)
考えながら見上げた先には、良く晴れた青空が広がっている。
(ただ炎や土を使った魔法を見せても、ステファニーちゃんのやる気に繋がるかわからないし。もっと大きな土人形……は面白みに欠けるかな。威力とか大きな魔法じゃなくて、できればやる気に繋がってくれるような……)
雲で隠れていた太陽が顔を出し光が降り注ぐ。リーシャはまぶしくて目を細めた。
「そうだ!」
リーシャは両手を空に掲げ、魔力を集めた。
手の数センチメートル上空に、無理やり形をとどめさせられて安定しない、透明で大きな物体が大きさを増しながら揺蕩い始めた。
どんどん大きくなり、大きさが2メートルを超えたくらいで止まった。
そしてリーシャは大きな声で言った。
「はじけろ!」
透明な球体は、空へ降り注ぐ激しい雨のようにはじけた。ほんの数秒の間の出来事だ。
「うわぁ‼」
ステファニーとエリアル2人の驚く声が重なる。
視線の先、空には虹がかかっていた。
「せんせーすごーい‼」
気持ちの高ぶったステファニーは跳ね回った。
「せんせ、せんせ! 私もせんせーみたいにすごいまほーつかえるようになるかなぁ?」
「うん。ちゃんと練習すれば上手になれると思うよ」
ステファニーはこの上ないほど顔をほころばせながら、リーシャに輝くような視線を向けていた。
この短い時間の間に、リーシャはステファニーの憧れの存在になれたようだ。
「せんせー! わたし、がんばる‼」
「うん。じゃあ、私も頑張ってステファニーちゃんに魔法を教えてあげなきゃだね!」
「リーシャせんせ、よろしくおねがいします!」
「こちらこそ、よろしくね」
ステファニーはとても嬉しそうだった。
(やる気になってくれてよかった)
リーシャの口元も嬉しそうに弧を描いていた。
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