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魔法学校
新しい生徒(1)
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「あれ?」
誰かが何かに気が付いたような声を出した。その声がしたのはリーシャの背後からだった。
「どうしたの、エリアル?」
エリアルは不思議そうにリーシャとハンナの顔を交互に見比べていた。そして両腕を体の前で組み、眉間に皺を寄せた。
「うーん? リーシャねぇちゃんとハンナのねぇちゃん、なんか……似てる?」
「え?」
エリアルの言葉にリーシャはハンナと顔を見合わせた。
誰がどう見ても2人は顔も似てないし、性格も似ていない。少なくともリーシャはそう思っているし、ハンナも同じように思っているようだ。
顔立ちは性格をそのまま表していて、黙って立っていたとしてもリーシャは元気な女の子、ハンナはおしとやかな女性という印象。
何故エリアルは似ていると思えたのかがわからなかった。
そして、2人は似ていないと思ったのはリーシャとハンナだけではなかった。
「いや、似てねぇだろ。2人が似てるっつったら髪が黒いことぐらいじゃねぇか?」
エリアルはルシアの言葉に首を大きく振って答えた。
「顔とかそういうのじゃなくて、なんか、こう……なんとなくそんな気がするってだけで……なにがってわけじゃなくて……」
「直感的にそう思っただけってことか?」
「うーん、よくわかんないからそうなのかも。ほんとに、似てるなぁって突然思っただけだから……」
顔や雰囲気以外となると、他にリーシャとハンナが似ている点と言えば、1つしかない。その特徴から、2人が似てると思わせる何かを感じ取ったのかもしれない。
リーシャはエリアルに尋ねてみることにした。
「もしかしたら、私たちは魔道具がなくても魔法使えるって共通点があるからかもしれないね。魔法を具現化するための器官に似てるって思える何かがあるのかも。ねぇ、エリアル。そこに隠れてる子も似てるって思うんじゃないの?」
リーシャが視線を向けた先にいるのは、ハンナの後ろに隠れている少女。様子を窺うようにリーシャたちを見ていた。
けれど少女はいきなり話題を振られると、すぐにハンナの後ろに消えた。そして恐る恐る再び顔を半分だけ覗かせた。
エリアルはそんな少女をじっと見つめた。
「たしかにそんな感じはするけど、ねぇちゃんたちほどじゃないような……うーん……よくわかんないから、やっぱり気のせいなのかな?」
エリアルは自分の感覚をうまく表現できる言葉を見つけることができず、考えることを諦めたようだ。
本人がそれで納得するのなら、それはそれで問題ない。無理に話を終わらせようとすると不機嫌まっしぐらになってしまうのだから。
「私も気のせいだと思うけど……もしわかったら教えてね」
「うん! また何か気がついたら教えてあげる!」
答えにはたどり着けなかったけれど、エリアルは満足げだった。リーシャに頼られているようで嬉しかったのだろう。
エリアルの無邪気な笑顔にリーシャの顔も綻んだ。
「おねがいね。で、本題に入りたいんだけどいいかな?」
「本題?」
リーシャの問いかけにルシアが疑問形で返してきた。きちんと目的を伝えていたのに、完全に抜け落ちていたようだ。ルシアらしいと言えばルシアらしい。
「何しにここに来たと思ってるわけ……」
「んん? ああ! そういうことか。そういえばリーシャは先生をしにこの学校に来たんだったな」
「そういうこと」
リーシャはしゃがみこむと、今回ここへ来た目的の相手、今まで放置状態にされていた少女に目線の高さを合わせた。
誰かが何かに気が付いたような声を出した。その声がしたのはリーシャの背後からだった。
「どうしたの、エリアル?」
エリアルは不思議そうにリーシャとハンナの顔を交互に見比べていた。そして両腕を体の前で組み、眉間に皺を寄せた。
「うーん? リーシャねぇちゃんとハンナのねぇちゃん、なんか……似てる?」
「え?」
エリアルの言葉にリーシャはハンナと顔を見合わせた。
誰がどう見ても2人は顔も似てないし、性格も似ていない。少なくともリーシャはそう思っているし、ハンナも同じように思っているようだ。
顔立ちは性格をそのまま表していて、黙って立っていたとしてもリーシャは元気な女の子、ハンナはおしとやかな女性という印象。
何故エリアルは似ていると思えたのかがわからなかった。
そして、2人は似ていないと思ったのはリーシャとハンナだけではなかった。
「いや、似てねぇだろ。2人が似てるっつったら髪が黒いことぐらいじゃねぇか?」
エリアルはルシアの言葉に首を大きく振って答えた。
「顔とかそういうのじゃなくて、なんか、こう……なんとなくそんな気がするってだけで……なにがってわけじゃなくて……」
「直感的にそう思っただけってことか?」
「うーん、よくわかんないからそうなのかも。ほんとに、似てるなぁって突然思っただけだから……」
顔や雰囲気以外となると、他にリーシャとハンナが似ている点と言えば、1つしかない。その特徴から、2人が似てると思わせる何かを感じ取ったのかもしれない。
リーシャはエリアルに尋ねてみることにした。
「もしかしたら、私たちは魔道具がなくても魔法使えるって共通点があるからかもしれないね。魔法を具現化するための器官に似てるって思える何かがあるのかも。ねぇ、エリアル。そこに隠れてる子も似てるって思うんじゃないの?」
リーシャが視線を向けた先にいるのは、ハンナの後ろに隠れている少女。様子を窺うようにリーシャたちを見ていた。
けれど少女はいきなり話題を振られると、すぐにハンナの後ろに消えた。そして恐る恐る再び顔を半分だけ覗かせた。
エリアルはそんな少女をじっと見つめた。
「たしかにそんな感じはするけど、ねぇちゃんたちほどじゃないような……うーん……よくわかんないから、やっぱり気のせいなのかな?」
エリアルは自分の感覚をうまく表現できる言葉を見つけることができず、考えることを諦めたようだ。
本人がそれで納得するのなら、それはそれで問題ない。無理に話を終わらせようとすると不機嫌まっしぐらになってしまうのだから。
「私も気のせいだと思うけど……もしわかったら教えてね」
「うん! また何か気がついたら教えてあげる!」
答えにはたどり着けなかったけれど、エリアルは満足げだった。リーシャに頼られているようで嬉しかったのだろう。
エリアルの無邪気な笑顔にリーシャの顔も綻んだ。
「おねがいね。で、本題に入りたいんだけどいいかな?」
「本題?」
リーシャの問いかけにルシアが疑問形で返してきた。きちんと目的を伝えていたのに、完全に抜け落ちていたようだ。ルシアらしいと言えばルシアらしい。
「何しにここに来たと思ってるわけ……」
「んん? ああ! そういうことか。そういえばリーシャは先生をしにこの学校に来たんだったな」
「そういうこと」
リーシャはしゃがみこむと、今回ここへ来た目的の相手、今まで放置状態にされていた少女に目線の高さを合わせた。
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