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王の決断(1)
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リーシャがノアたちを連れて玉座の間に戻ると、先ほどまではいなかった第2王子、フェンリルが国王の座る玉座の横に立っていた。彼はリーシャと会うのは初めてだと言わんばかりの、素知らぬ顔をしている。
国王との謁見前に顔を合わせた際、フェンリルはリーシャの味方のような口ぶりで話していた。おそらく、リーシャが不利になるような発言はしないだろう。
そうは思いつつも、リーシャは目の前の王族が増えた事に緊張してしまい、頭の中が真っ白になりながら先ほど自分が立っていたシルバーの横へ足を進めた。
ノア、ルシア、エリアルもリーシャの横に一列に並んだ。
今のノアたち3兄弟は人間姿だ。
騒ぎに駆けつけることができず、ずっとこの場に留まっていた騎士たちは、ノアたちが本当に竜なのか静かに疑いの目を向けていた。
その静寂を破るように、国王は声を発した。
「これで関係している者は全て集まったな。竜の子たちよ、よく来た」
声の大きさの割に、どこか柔らかを感じる声が響き渡った。
一瞬歓迎されているように感じたけれど、これから行われるのはリーシャたちへの判決だ。誰もが判決の行方を聞き逃すまいと気を引き締め直した。
そんな中、ノアは周りの雰囲気など一切気にすることなく1歩踏み出し、胸に手を当てると堂々と一礼した。
「お初にお目にかかります。私、ノア・ドラゴノイド、と名乗らせていただいております」
「ほう、遠き国での竜の呼び名を使っておるのだな」
「はい、その通りです」
リーシャは突然のノアの行動は不敬に当たるのではと思い、心臓が止まりそうな思いをしていた。
騎士たちは突然国王へと近づいたノアを取り押さえるような事はしなかったけれど、いつでも切りかかれるよう神経をとがらせた。続けて不審な動きを見せれば、国王を守るためと剣を向けそうな雰囲気だ。
そんな騎士たちの突き刺すような視線を向けられても、ノアは堂々とした態度を変えなかった。むしろ余裕すら感じ取れる。
一見礼を尽くしているように見えるけれど、畏まる様子もなく堂々とした態度で話すノアの姿に、国王は興味を持ったようだ。国王の口が面白そうなものを見つけたかのように、わずかに弧を描いた。
「では、ノア・ドラゴノイドよ。その名の通り、そなたたちが竜であるというのは本当か? 私はそなたが竜から人になる姿を見ておらんのでな。にわかには信じられぬのだ」
「はい。その通りでございます」
「この場で竜の姿になれるか?」
「可能です」
ノアの言葉に騎士たちの顔がこわばった。
先ほどまでは、ノアたちにいつでも剣を向けられるぞというような視線を向けていたにもかかわらず、今では恐怖という感情が騎士たちの表情に紛れ込んでいた。
ノアはそんな周りの変化に構うことなく続けた。
「ですが、骨格が変わってしまうため、姿を変えると衣類が裂けてしまいます。私はかまわないのですが、この場で竜の姿に戻るということは後に不適切な姿をお見せすることになります」
「そうか……それは残念だな」
国王の声は心底残念そうだった。王としてノアたちが本当に竜であるかの確認をしたかっただけではなく、自身が竜という生き物をまじかで見たかったのかもしれない。国王は好奇心が強い人物のようだ。
国王が残念がっている事に気が付いたノアは、国王からの心証を良くするのに丁度いいと思ったのだろう。ある提案を持ち出した。
「……特定の部分だけ戻す、ということも可能です」
国王は「ほう」と目を輝かせた。
すると突然、剣をノアの首元へ近づける者が現れた。レイモンドだった。
国王との謁見前に顔を合わせた際、フェンリルはリーシャの味方のような口ぶりで話していた。おそらく、リーシャが不利になるような発言はしないだろう。
そうは思いつつも、リーシャは目の前の王族が増えた事に緊張してしまい、頭の中が真っ白になりながら先ほど自分が立っていたシルバーの横へ足を進めた。
ノア、ルシア、エリアルもリーシャの横に一列に並んだ。
今のノアたち3兄弟は人間姿だ。
騒ぎに駆けつけることができず、ずっとこの場に留まっていた騎士たちは、ノアたちが本当に竜なのか静かに疑いの目を向けていた。
その静寂を破るように、国王は声を発した。
「これで関係している者は全て集まったな。竜の子たちよ、よく来た」
声の大きさの割に、どこか柔らかを感じる声が響き渡った。
一瞬歓迎されているように感じたけれど、これから行われるのはリーシャたちへの判決だ。誰もが判決の行方を聞き逃すまいと気を引き締め直した。
そんな中、ノアは周りの雰囲気など一切気にすることなく1歩踏み出し、胸に手を当てると堂々と一礼した。
「お初にお目にかかります。私、ノア・ドラゴノイド、と名乗らせていただいております」
「ほう、遠き国での竜の呼び名を使っておるのだな」
「はい、その通りです」
リーシャは突然のノアの行動は不敬に当たるのではと思い、心臓が止まりそうな思いをしていた。
騎士たちは突然国王へと近づいたノアを取り押さえるような事はしなかったけれど、いつでも切りかかれるよう神経をとがらせた。続けて不審な動きを見せれば、国王を守るためと剣を向けそうな雰囲気だ。
そんな騎士たちの突き刺すような視線を向けられても、ノアは堂々とした態度を変えなかった。むしろ余裕すら感じ取れる。
一見礼を尽くしているように見えるけれど、畏まる様子もなく堂々とした態度で話すノアの姿に、国王は興味を持ったようだ。国王の口が面白そうなものを見つけたかのように、わずかに弧を描いた。
「では、ノア・ドラゴノイドよ。その名の通り、そなたたちが竜であるというのは本当か? 私はそなたが竜から人になる姿を見ておらんのでな。にわかには信じられぬのだ」
「はい。その通りでございます」
「この場で竜の姿になれるか?」
「可能です」
ノアの言葉に騎士たちの顔がこわばった。
先ほどまでは、ノアたちにいつでも剣を向けられるぞというような視線を向けていたにもかかわらず、今では恐怖という感情が騎士たちの表情に紛れ込んでいた。
ノアはそんな周りの変化に構うことなく続けた。
「ですが、骨格が変わってしまうため、姿を変えると衣類が裂けてしまいます。私はかまわないのですが、この場で竜の姿に戻るということは後に不適切な姿をお見せすることになります」
「そうか……それは残念だな」
国王の声は心底残念そうだった。王としてノアたちが本当に竜であるかの確認をしたかっただけではなく、自身が竜という生き物をまじかで見たかったのかもしれない。国王は好奇心が強い人物のようだ。
国王が残念がっている事に気が付いたノアは、国王からの心証を良くするのに丁度いいと思ったのだろう。ある提案を持ち出した。
「……特定の部分だけ戻す、ということも可能です」
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すると突然、剣をノアの首元へ近づける者が現れた。レイモンドだった。
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