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捜索(1)
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雷竜の捜索を始めて4日目――。
話によると、雷竜はアイズリークを滅ぼし、討伐部隊を壊滅させた後、この森の中へと身を潜めたという目撃情報が数件寄せられたらしい。その後、飛び立ったという話が出ていないため、まだこの森に住みついているのではないかとの見解から、早急に討伐クエストが発令されたとのことだ。
連合軍は4日経つ今もまだ雷竜の足取りを掴めず、足踏みをしている状態にあった。
この日もリーシャは雷竜の居場所を掴むため、エリアルと一緒に森の中のあちこちを捜索していた。
隠れるのに適している洞窟や背の高い草の生えた茂みなど、いろんな場所を念入りに捜索して回った。けれど雷竜の痕跡はどこにも見当たらない。
リーシャは手に持っている地図の、今自分たちが立っている辺りにバツ印をつけた。
「はぁ……」
「どうしたの?」
リーシャの憂鬱そうな様子に、エリアルは地図をひょっこりと覗き込んだ。
「うわぁ。すごいね、バツがいっぱいだ」
「ほんと、こんなに探してるのにね……痕跡すら見つからないなんて……もう別の場所に移動しちゃったのかな……」
バツ印は何の手掛かりも得られなかった場所。
リーシャは自分たちが探した場所の情報だけでなく、集合時に他のギルドから得た情報も書き入れていた。
どこのギルドも竜の痕跡を見つけだせずにいるため、近いうちにこの地図は真っ黒になるのではないかと思えるほど、おびただしい数のバツ印が書き込まれている。
(今までは隠れられそうな洞窟とか茂みとかを探してきたけど、見方を変えて探したほうがいいのかな。例えば……見晴らしがいい場所とか?)
リーシャは次にどの辺りを捜索しようかと地図に視線を落とし、試行錯誤を繰り返した。
集中していると手が地図の上を横切り、ある1点を指差した。
「ねぇねぇ。ここは? ここ、誰も調べに行ってなくない?」
エリアルの指は地図の北の方を差していた。そこは数週間前までこの国の王都、アイズリークがあった場所だ。
アイズリーク跡地は連合軍が立ち上げられる前に生存者の救出という名目で大規模な捜索が行われたらしい。けれど、竜が住みついている様子はなかったとのことだ。それ故に今回の捜索範囲からは除外されており、誰かが捜索に向かったという話も出ていない。
「一応、私たちが来る前に他の人が探しに行ってるらしいけど。見晴らしがよくなるくらい壊され尽くされてて、何の跡形も残ってないみたい。竜が隠れられるような場所はほとんどないから、住みついてたらすぐにわかるだろうとかなんとか言ってたような……ん?」
アイズリーク跡地の話を口に出していると、リーシャの頭にある考えが浮かんできた。
「どうしたの?」
「ちょっと待って、考えるから」
「うん?」
リーシャは頭の中で仮定を巡らせ始めた。
どんなに壊されたとしても、王都って呼ばれてた都市の建物は丈夫に造られているはずだから、人が隠れられる程度には瓦礫は残るんじゃないかな? 人の認識だって、かなりの間竜とのかかわりがなかったんだもん。捜索してた人の中に竜が体を小さくできるっていう事を知らない人だっていたかもしれない。知ってたとしても、捜索に来ていた人の想定より雷竜が体を小さく出来るとしたら? こんな場所に竜がいるわけないと思いながら捜索していたとしたら? もしかしたら見落としがあったかもしれない。
リーシャは何の手掛かりも得られず、捜索に厭きが生じ始めていた。このまま探し続けても見つけられる気がしなくなっていた。
そんな気持ちをリセットするためにも、引っ掛かりを解消しに跡地へ行ってみるのもいいかもしれない、リーシャはそう結論を出した。
「この場所に行ってみよっか。もしかしたらってこともあるかもだし」
「うん!」
拾った木の枝で近くの草むらをごそごそとかきわけていたエリアルは立ち上がった。
そして、リーシャとエリアルは捜索範囲外のアイズリーク跡地へ向かって歩き出した。
話によると、雷竜はアイズリークを滅ぼし、討伐部隊を壊滅させた後、この森の中へと身を潜めたという目撃情報が数件寄せられたらしい。その後、飛び立ったという話が出ていないため、まだこの森に住みついているのではないかとの見解から、早急に討伐クエストが発令されたとのことだ。
連合軍は4日経つ今もまだ雷竜の足取りを掴めず、足踏みをしている状態にあった。
この日もリーシャは雷竜の居場所を掴むため、エリアルと一緒に森の中のあちこちを捜索していた。
隠れるのに適している洞窟や背の高い草の生えた茂みなど、いろんな場所を念入りに捜索して回った。けれど雷竜の痕跡はどこにも見当たらない。
リーシャは手に持っている地図の、今自分たちが立っている辺りにバツ印をつけた。
「はぁ……」
「どうしたの?」
リーシャの憂鬱そうな様子に、エリアルは地図をひょっこりと覗き込んだ。
「うわぁ。すごいね、バツがいっぱいだ」
「ほんと、こんなに探してるのにね……痕跡すら見つからないなんて……もう別の場所に移動しちゃったのかな……」
バツ印は何の手掛かりも得られなかった場所。
リーシャは自分たちが探した場所の情報だけでなく、集合時に他のギルドから得た情報も書き入れていた。
どこのギルドも竜の痕跡を見つけだせずにいるため、近いうちにこの地図は真っ黒になるのではないかと思えるほど、おびただしい数のバツ印が書き込まれている。
(今までは隠れられそうな洞窟とか茂みとかを探してきたけど、見方を変えて探したほうがいいのかな。例えば……見晴らしがいい場所とか?)
リーシャは次にどの辺りを捜索しようかと地図に視線を落とし、試行錯誤を繰り返した。
集中していると手が地図の上を横切り、ある1点を指差した。
「ねぇねぇ。ここは? ここ、誰も調べに行ってなくない?」
エリアルの指は地図の北の方を差していた。そこは数週間前までこの国の王都、アイズリークがあった場所だ。
アイズリーク跡地は連合軍が立ち上げられる前に生存者の救出という名目で大規模な捜索が行われたらしい。けれど、竜が住みついている様子はなかったとのことだ。それ故に今回の捜索範囲からは除外されており、誰かが捜索に向かったという話も出ていない。
「一応、私たちが来る前に他の人が探しに行ってるらしいけど。見晴らしがよくなるくらい壊され尽くされてて、何の跡形も残ってないみたい。竜が隠れられるような場所はほとんどないから、住みついてたらすぐにわかるだろうとかなんとか言ってたような……ん?」
アイズリーク跡地の話を口に出していると、リーシャの頭にある考えが浮かんできた。
「どうしたの?」
「ちょっと待って、考えるから」
「うん?」
リーシャは頭の中で仮定を巡らせ始めた。
どんなに壊されたとしても、王都って呼ばれてた都市の建物は丈夫に造られているはずだから、人が隠れられる程度には瓦礫は残るんじゃないかな? 人の認識だって、かなりの間竜とのかかわりがなかったんだもん。捜索してた人の中に竜が体を小さくできるっていう事を知らない人だっていたかもしれない。知ってたとしても、捜索に来ていた人の想定より雷竜が体を小さく出来るとしたら? こんな場所に竜がいるわけないと思いながら捜索していたとしたら? もしかしたら見落としがあったかもしれない。
リーシャは何の手掛かりも得られず、捜索に厭きが生じ始めていた。このまま探し続けても見つけられる気がしなくなっていた。
そんな気持ちをリセットするためにも、引っ掛かりを解消しに跡地へ行ってみるのもいいかもしれない、リーシャはそう結論を出した。
「この場所に行ってみよっか。もしかしたらってこともあるかもだし」
「うん!」
拾った木の枝で近くの草むらをごそごそとかきわけていたエリアルは立ち上がった。
そして、リーシャとエリアルは捜索範囲外のアイズリーク跡地へ向かって歩き出した。
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