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王都で祝祭
グレイスの魔道具屋(1)
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グレイスの店は人通りの多い道から外れた、比較的静かな通路にある、緑に囲まれた建物だ。
リーシャとルシアがグレイスの店に着いた時、店先を掃いている女性が1人いた。グレイスだ。
「グレイスさん」
名前を呼ぶと、グレイスはリーシャたちの方を見て微笑んだ。
「あらぁ、リーシャちゃんじゃない! 祝祭に来たのね! どう、楽しんでる?」
「はい。エリアルに引き回されて、いろいろなお店を回りました。食べ物の出店ばっかりなんですけど」
「あらまぁ。エリアルくんは食べ盛りなのねぇ。ところで、そのエリアルくんは?」
グレイスはリーシャの隣を歩いてきたルシアへ視線を向けた。見かけない顔だったせいか、怪しい人物を見るかのような視線だ。
自分に向けられている視線に気がついたルシアは、その視線の意味など考えもせず人当たりのよさそうな雰囲気の笑顔を見せた。
「こんにちは」
「……こんにちは」
けれどその笑顔は、すでにルシアへの不信感を抱いていたグレイスには逆効果だったようで、余計に怪しまれていた。
(うーん……ルシアって元々軽そうな人のイメージあるからなぁ。羽目を外した顔だけいい男に付き纏われてるんじゃないかって、思われてそうな気が……)
本当にそんな誤解をされているのなら、ルシアがかわいそうだ。リーシャは、誤解されているのなら今のうちに解いてこうと思い、口を開いた。
「エリアルはさっき寝ちゃって。1番上の兄に先に連れて帰ってもらったんです。こっちはルシアといって、2番目の兄です」
「まぁ、お兄さんだったの。ごめんなさいね。てっきりリーシャちゃんが可愛いから、付きまとわれてるんじゃないかと思っちゃって」
思った通りの誤解をルシアは受けていた。
けれどルシアはそんなことなど気にするような性格ではない。そんな事よりもリーシャに関する話題の方が重要だったらしい。
「リーシャが可愛いってのは同意だな。虫が寄ってこないように気を付けとかないとなんないし、気が気じゃねぇ」
「そうよね、そこは頑張ってちょうだいね」
「ああ、任せといてくれ」
ルシアが怪しい人物ではないとわかったグレイスは、いつもの優しそうなおばさんに戻っていた。グレイスはルシアに向かってにっこりと笑った。
「それにしても……エリアルくんは可愛らしいけど、お兄さんは男前なのね。私惚れちゃそ」
「はは……ど、どうも」
グレイスが冗談を言った途端、ルシアの顔は引きつった。
グレイスはルシアの事をかなり気に入ったようであれこれ質問攻めにしていた。ルシアは後ずさりをし、引き気味になっている。
弟のエリアルはグレイスのことを気に入っていたけれど、反対にルシアにとってグレイスは苦手なタイプのようだ。
質問を一通りしたのかグレイスは、突然忘れていたことを思い出したかのような声を出した。
「そうそう! ちょうど今日、戦闘向けの新しい魔道具が入ったのよ! ちょっと見ていきなさいよ」
「ほんとですか? 是非!」
リーシャは目を輝かせた。
前回来た時からいつも以上に期間が空いている。まだ御目にかかれていない魔道具とのたくさんの出会いがあるかもしれないと、リーシャは胸を躍らせた。
グレイスが扉を開き、リーシャたちを店の中へ招き入れた。
リーシャは促されるまま、ルシアを連れて意気揚々と店の中へと足を進めた。
リーシャとルシアがグレイスの店に着いた時、店先を掃いている女性が1人いた。グレイスだ。
「グレイスさん」
名前を呼ぶと、グレイスはリーシャたちの方を見て微笑んだ。
「あらぁ、リーシャちゃんじゃない! 祝祭に来たのね! どう、楽しんでる?」
「はい。エリアルに引き回されて、いろいろなお店を回りました。食べ物の出店ばっかりなんですけど」
「あらまぁ。エリアルくんは食べ盛りなのねぇ。ところで、そのエリアルくんは?」
グレイスはリーシャの隣を歩いてきたルシアへ視線を向けた。見かけない顔だったせいか、怪しい人物を見るかのような視線だ。
自分に向けられている視線に気がついたルシアは、その視線の意味など考えもせず人当たりのよさそうな雰囲気の笑顔を見せた。
「こんにちは」
「……こんにちは」
けれどその笑顔は、すでにルシアへの不信感を抱いていたグレイスには逆効果だったようで、余計に怪しまれていた。
(うーん……ルシアって元々軽そうな人のイメージあるからなぁ。羽目を外した顔だけいい男に付き纏われてるんじゃないかって、思われてそうな気が……)
本当にそんな誤解をされているのなら、ルシアがかわいそうだ。リーシャは、誤解されているのなら今のうちに解いてこうと思い、口を開いた。
「エリアルはさっき寝ちゃって。1番上の兄に先に連れて帰ってもらったんです。こっちはルシアといって、2番目の兄です」
「まぁ、お兄さんだったの。ごめんなさいね。てっきりリーシャちゃんが可愛いから、付きまとわれてるんじゃないかと思っちゃって」
思った通りの誤解をルシアは受けていた。
けれどルシアはそんなことなど気にするような性格ではない。そんな事よりもリーシャに関する話題の方が重要だったらしい。
「リーシャが可愛いってのは同意だな。虫が寄ってこないように気を付けとかないとなんないし、気が気じゃねぇ」
「そうよね、そこは頑張ってちょうだいね」
「ああ、任せといてくれ」
ルシアが怪しい人物ではないとわかったグレイスは、いつもの優しそうなおばさんに戻っていた。グレイスはルシアに向かってにっこりと笑った。
「それにしても……エリアルくんは可愛らしいけど、お兄さんは男前なのね。私惚れちゃそ」
「はは……ど、どうも」
グレイスが冗談を言った途端、ルシアの顔は引きつった。
グレイスはルシアの事をかなり気に入ったようであれこれ質問攻めにしていた。ルシアは後ずさりをし、引き気味になっている。
弟のエリアルはグレイスのことを気に入っていたけれど、反対にルシアにとってグレイスは苦手なタイプのようだ。
質問を一通りしたのかグレイスは、突然忘れていたことを思い出したかのような声を出した。
「そうそう! ちょうど今日、戦闘向けの新しい魔道具が入ったのよ! ちょっと見ていきなさいよ」
「ほんとですか? 是非!」
リーシャは目を輝かせた。
前回来た時からいつも以上に期間が空いている。まだ御目にかかれていない魔道具とのたくさんの出会いがあるかもしれないと、リーシャは胸を躍らせた。
グレイスが扉を開き、リーシャたちを店の中へ招き入れた。
リーシャは促されるまま、ルシアを連れて意気揚々と店の中へと足を進めた。
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