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マンション編
八神医院
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「店長、すぐに病院へ……ッ、……そうだ! き、救急車っ! 救急車をっ!」
俺は慌ててポケットからスマホを引っ張り出した。急がないとと思うのに、手が震えて上手くタップできない。涙で視界がぼやける……しっかりしろ! 泣いてる場合か!
スマホを握る俺の手を、店長の手が掴んだ。
「救急車はダメ……傷の理由を説明できない、……事件の可能性があるって通報でもされたら面倒だ……」
苦し気な息を漏らしつつ、店長は血で汚れた手で自分のスマホを取り出し、俺に差し出す。
「八神医院って、連絡先があるから……、そこに電話して。僕の名前と場所を……伝えて、往診を頼んで……ごめん、ちょっと……、……」
言い終わると同時に店長は床に倒れ込み、目を閉じた。
「店長っ……!」
このまま店長が死んでしまうかもという恐怖に襲われながら、俺は震える指を叱責し、店長のスマホで『八神医院』という名前を探して通話ボタンを押す。
こんな深夜だというのに、驚くほど早く繋がった。
『どうした?』
耳に飛び込んで来たのは男性の声だった。
俺は縋るような思いで答えた。
「すっ、すみませんっ! 店長――…じゃない! 尾張さんが大ケガしちゃって、往診をお願いしますっ!」
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
「こりゃ、ずいぶん派手にやられたな……三ヵ所、いやここもか……四ヵ所は縫うぞ」
駆けつけてくれた八神医師は意識のない店長の状態を確認し、すぐに治療を始めてくれた。こんな時間にマンションの空き室で全身傷だらけ……普通なら、いったい何があったのかと疑問に思うだろうに、八神医師は何も聞かなかった。
店長が頼るくらいだから、きっと今までも何度かお世話になっていて、信頼のおける人物なのだろう。
「俺が持って来たカバンに縫合セットとガーゼ、消毒薬が入ってるから出してくれ」
「はいっ」
「暗い……カバンに懐中電灯が入ってるから、傷口を照らしてくれ」
「はいっ」
俺は完全に助手状態で、八神医師を手伝う。
三十代後半くらいだろうか、よれよれの白衣、寝ぐせ、眼鏡、無精ヒゲ……一見、冴えないオジサンだが、治療は手際よく、手早く、迷いもない。
「噛み傷みたいだな……何にやられた?」
「えっと……『管狐』だったと思います」
八神医師は小さく舌打ちした。
「ここ……脇腹だけは、どうやっても傷痕が残るな……」
えっ!? こんなに体中あちこち大ケガなのに、他は綺麗に治せるってことか!?
…………名医だ。
治療が終わった時には空が白み始めていた。
包帯だらけになってしまった店長の横で、八神医師は煙草を取り出し、ウマそうに一服する。
「ありがとうございました」
俺は改めて頭を下げた。
店長が死んでしまうのではないかと思った、あの時……本当に怖かった。
思い出すだけで手が震える。
「お前、名前は?」
「都築です。ムーンサイドでアシスタントとして働いてます」
「あぁ、尾張が言ってた『すごいアシスタント』ってやつか……」
八神医師はゆっくりと煙を吐き出した。
「尾張の手伝いは大変だろう……こいつ、性格悪いからな」
ふっと笑みを漏らし、店長の顔を見下ろす八神医師の瞳は、言葉に反してどこか優しい。
「そりゃ、店長は腹黒いし、お金大好きだし、秘密主義だし、何考えてるのか分からない時もあります……。でも! まかない飯は絶品だし! すっごく美人でお客さんにも人気だし! それに……それに、ちゃんと……優しい時も、……あります」
「っぷ、……はははっ、なるほど……そうかっ、……くくくッ……」
やけに楽しそうに八神医師は笑った。
どうして笑われてるのか分からないし、なんだか居心地が悪い。
「あの……店長は、大丈夫なんですよね?」
「そうだな、もしかしたら熱が出るかも知れん……こいつは何かあるとすぐに食べられなくなるから、栄養と抗生剤を点滴で入れたいし……二、三日うちに入院させるか」
俺は『入院』という単語に唇を噛んだ。横たわる店長の顔色は青白く、ほとんど生気を感じられない。……やっぱり重傷なんだな。
「……尾張の能力は強い。だからこそ、相手を下に見て油断する悪い癖がある。それで死にかけたことも、一度や二度じゃない……今回もそんなとこだろう? まったく、しょうがない奴だ」
「え……」
死にかけた!? 店長が!?
橘は店長のこと、日本でも数人しかいないくらいの能力者だって言ってた。そんな店長が何度も死にかけるなんて……。いや、橘の父親だって仕事中に足をもがれて亡くなったんだ。この『仕事』はあまりに『死』に近すぎる――…。
俯き、黙り込んでしまった俺の肩に、八神医師の手が置かれた。
顔を上げると、店長が小さく呻いた。
「……う゛……、……」
「店長っ!? 気が付いたんですね、良かった……!」
「ずっと前から気が付いてたよ……まったく、二人して僕の悪口ばっかり……」
掠れた声は苦し気だが、ちょっと拗ねたようないつも通りの物言いに、俺は思いっきり安堵した。
八神医師は咥え煙草で治療用具をカバンに片づけてから、店長の顔を覗き込んだ。
「聞いてたなら分かってるだろうが、二、三日入院してもらうぞ。歩けるか?」
店長はゆっくりと上体を起こし、包帯でぐるぐる巻きの体をげんなりした表情で見下ろした。
「歩ける。痛み止め打ってくれたんだろ、今はあまり辛くない」
「はははっ、痛み止めが切れたら泣いちゃうかもな~っ!」
「うるさい」
茶化す八神医師をジト目で睨んでから、店長は俺へと視線を移した。
「都築くん、色々と……その、ありがとう……。肩、貸してくれる?」
あれ? 何かちょっぴり照れくさそうな……店長、こんなしおらしい表情も出来るのか?
「はいっ!」
俺は店長の体を支えるようにして立ち上がらせた。痛み止めが効いてたって、辛くないわけない。店長は唇を引き結び、一歩ずつ足を引きずるように歩き出した。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
八神医師の車に乗せてもらい、店長と俺は八神医院へと移動した。
「え……」
車が停まり、外を見た俺は目をパチクリさせてしまった。
思わず小さく驚きの声が漏れる。
なんと、八神医院はムーンサイドの斜め向かいのビルだったのだ!
こ、こんな近く!? ご近所さんじゃないか!
「どうした? 着いたぞ。ほら、尾張を降ろしてやれ……このビルの三階と四階がうちの医院だ」
「は、はいっ」
ビルの一階はオサレなアジアン雑貨のお店。二階はオフィスで、そこの事務員さん達もムーンサイドの常連だ。その上の階なんて気にしたこともなかったが、見れば確かに『八神医院』という看板があった。
なるべく傷の場所に触れないよう、俺は店長が車から降りるのを手伝った。
八神医師に案内されてエレベーターに乗る。
大きな医療カバンを片手に、八神医師は四階へのボタンを押した。
「三階で外来の診察をしてる。四階が自宅兼入院施設だ……ま、入院施設っつっても病床は一つしかないんだが」
「一つだけ?」
「昼間は手伝いの看護師が一人いるが、夜は俺だけだから何人も看れないんだ。それに、こんなとこに入院したがる患者もほとんどいないしな。だから、怪我で来た奴が治療の後に一晩休憩してから帰るのに使うくらいだ」
エレベーターのドアが開く。八神医師に続いて、俺は店長を支えながら降りた。案内された部屋はベッドが一つだけのシンプルなものだった。掃除が行き届いていて、ベッドも真っ白のシーツがシワ一つなくピシリと張られている。
服装や身だしなみには無頓着そうな八神医師だが、この部屋を見るだけで医療に対してはすごく真面目な姿勢を感じる。
これなら安心して店長を任せられそうだ。
俺は店長をベッドに横たわらせた。店長はちょっと苦し気に大きく息を吐いて目を閉じる。やっぱり顔色が悪い。
「点滴の用意をしてくる。都築、枕元に入院着があるから着替えさせてやってくれ」
指示を出しつつ部屋を出ていく八神医師に、俺はしっかりと返事をした。
「はいっ!」
俺は慌ててポケットからスマホを引っ張り出した。急がないとと思うのに、手が震えて上手くタップできない。涙で視界がぼやける……しっかりしろ! 泣いてる場合か!
スマホを握る俺の手を、店長の手が掴んだ。
「救急車はダメ……傷の理由を説明できない、……事件の可能性があるって通報でもされたら面倒だ……」
苦し気な息を漏らしつつ、店長は血で汚れた手で自分のスマホを取り出し、俺に差し出す。
「八神医院って、連絡先があるから……、そこに電話して。僕の名前と場所を……伝えて、往診を頼んで……ごめん、ちょっと……、……」
言い終わると同時に店長は床に倒れ込み、目を閉じた。
「店長っ……!」
このまま店長が死んでしまうかもという恐怖に襲われながら、俺は震える指を叱責し、店長のスマホで『八神医院』という名前を探して通話ボタンを押す。
こんな深夜だというのに、驚くほど早く繋がった。
『どうした?』
耳に飛び込んで来たのは男性の声だった。
俺は縋るような思いで答えた。
「すっ、すみませんっ! 店長――…じゃない! 尾張さんが大ケガしちゃって、往診をお願いしますっ!」
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
「こりゃ、ずいぶん派手にやられたな……三ヵ所、いやここもか……四ヵ所は縫うぞ」
駆けつけてくれた八神医師は意識のない店長の状態を確認し、すぐに治療を始めてくれた。こんな時間にマンションの空き室で全身傷だらけ……普通なら、いったい何があったのかと疑問に思うだろうに、八神医師は何も聞かなかった。
店長が頼るくらいだから、きっと今までも何度かお世話になっていて、信頼のおける人物なのだろう。
「俺が持って来たカバンに縫合セットとガーゼ、消毒薬が入ってるから出してくれ」
「はいっ」
「暗い……カバンに懐中電灯が入ってるから、傷口を照らしてくれ」
「はいっ」
俺は完全に助手状態で、八神医師を手伝う。
三十代後半くらいだろうか、よれよれの白衣、寝ぐせ、眼鏡、無精ヒゲ……一見、冴えないオジサンだが、治療は手際よく、手早く、迷いもない。
「噛み傷みたいだな……何にやられた?」
「えっと……『管狐』だったと思います」
八神医師は小さく舌打ちした。
「ここ……脇腹だけは、どうやっても傷痕が残るな……」
えっ!? こんなに体中あちこち大ケガなのに、他は綺麗に治せるってことか!?
…………名医だ。
治療が終わった時には空が白み始めていた。
包帯だらけになってしまった店長の横で、八神医師は煙草を取り出し、ウマそうに一服する。
「ありがとうございました」
俺は改めて頭を下げた。
店長が死んでしまうのではないかと思った、あの時……本当に怖かった。
思い出すだけで手が震える。
「お前、名前は?」
「都築です。ムーンサイドでアシスタントとして働いてます」
「あぁ、尾張が言ってた『すごいアシスタント』ってやつか……」
八神医師はゆっくりと煙を吐き出した。
「尾張の手伝いは大変だろう……こいつ、性格悪いからな」
ふっと笑みを漏らし、店長の顔を見下ろす八神医師の瞳は、言葉に反してどこか優しい。
「そりゃ、店長は腹黒いし、お金大好きだし、秘密主義だし、何考えてるのか分からない時もあります……。でも! まかない飯は絶品だし! すっごく美人でお客さんにも人気だし! それに……それに、ちゃんと……優しい時も、……あります」
「っぷ、……はははっ、なるほど……そうかっ、……くくくッ……」
やけに楽しそうに八神医師は笑った。
どうして笑われてるのか分からないし、なんだか居心地が悪い。
「あの……店長は、大丈夫なんですよね?」
「そうだな、もしかしたら熱が出るかも知れん……こいつは何かあるとすぐに食べられなくなるから、栄養と抗生剤を点滴で入れたいし……二、三日うちに入院させるか」
俺は『入院』という単語に唇を噛んだ。横たわる店長の顔色は青白く、ほとんど生気を感じられない。……やっぱり重傷なんだな。
「……尾張の能力は強い。だからこそ、相手を下に見て油断する悪い癖がある。それで死にかけたことも、一度や二度じゃない……今回もそんなとこだろう? まったく、しょうがない奴だ」
「え……」
死にかけた!? 店長が!?
橘は店長のこと、日本でも数人しかいないくらいの能力者だって言ってた。そんな店長が何度も死にかけるなんて……。いや、橘の父親だって仕事中に足をもがれて亡くなったんだ。この『仕事』はあまりに『死』に近すぎる――…。
俯き、黙り込んでしまった俺の肩に、八神医師の手が置かれた。
顔を上げると、店長が小さく呻いた。
「……う゛……、……」
「店長っ!? 気が付いたんですね、良かった……!」
「ずっと前から気が付いてたよ……まったく、二人して僕の悪口ばっかり……」
掠れた声は苦し気だが、ちょっと拗ねたようないつも通りの物言いに、俺は思いっきり安堵した。
八神医師は咥え煙草で治療用具をカバンに片づけてから、店長の顔を覗き込んだ。
「聞いてたなら分かってるだろうが、二、三日入院してもらうぞ。歩けるか?」
店長はゆっくりと上体を起こし、包帯でぐるぐる巻きの体をげんなりした表情で見下ろした。
「歩ける。痛み止め打ってくれたんだろ、今はあまり辛くない」
「はははっ、痛み止めが切れたら泣いちゃうかもな~っ!」
「うるさい」
茶化す八神医師をジト目で睨んでから、店長は俺へと視線を移した。
「都築くん、色々と……その、ありがとう……。肩、貸してくれる?」
あれ? 何かちょっぴり照れくさそうな……店長、こんなしおらしい表情も出来るのか?
「はいっ!」
俺は店長の体を支えるようにして立ち上がらせた。痛み止めが効いてたって、辛くないわけない。店長は唇を引き結び、一歩ずつ足を引きずるように歩き出した。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
八神医師の車に乗せてもらい、店長と俺は八神医院へと移動した。
「え……」
車が停まり、外を見た俺は目をパチクリさせてしまった。
思わず小さく驚きの声が漏れる。
なんと、八神医院はムーンサイドの斜め向かいのビルだったのだ!
こ、こんな近く!? ご近所さんじゃないか!
「どうした? 着いたぞ。ほら、尾張を降ろしてやれ……このビルの三階と四階がうちの医院だ」
「は、はいっ」
ビルの一階はオサレなアジアン雑貨のお店。二階はオフィスで、そこの事務員さん達もムーンサイドの常連だ。その上の階なんて気にしたこともなかったが、見れば確かに『八神医院』という看板があった。
なるべく傷の場所に触れないよう、俺は店長が車から降りるのを手伝った。
八神医師に案内されてエレベーターに乗る。
大きな医療カバンを片手に、八神医師は四階へのボタンを押した。
「三階で外来の診察をしてる。四階が自宅兼入院施設だ……ま、入院施設っつっても病床は一つしかないんだが」
「一つだけ?」
「昼間は手伝いの看護師が一人いるが、夜は俺だけだから何人も看れないんだ。それに、こんなとこに入院したがる患者もほとんどいないしな。だから、怪我で来た奴が治療の後に一晩休憩してから帰るのに使うくらいだ」
エレベーターのドアが開く。八神医師に続いて、俺は店長を支えながら降りた。案内された部屋はベッドが一つだけのシンプルなものだった。掃除が行き届いていて、ベッドも真っ白のシーツがシワ一つなくピシリと張られている。
服装や身だしなみには無頓着そうな八神医師だが、この部屋を見るだけで医療に対してはすごく真面目な姿勢を感じる。
これなら安心して店長を任せられそうだ。
俺は店長をベッドに横たわらせた。店長はちょっと苦し気に大きく息を吐いて目を閉じる。やっぱり顔色が悪い。
「点滴の用意をしてくる。都築、枕元に入院着があるから着替えさせてやってくれ」
指示を出しつつ部屋を出ていく八神医師に、俺はしっかりと返事をした。
「はいっ!」
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