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病院編
コーヒーとココア
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「いった~い! エクソシストって、ほんっと脳筋ばっかなんだから!」
アレクの手を振りほどいた万里は、白々しく痛そうに顔をしかめた。エクソシストを十把一絡げに「脳筋」呼ばわり……どうしてこう、いちいち感じ悪いんだ?
「ま、いいや……俺もそんな暇じゃないし、行くよ。またね、都築」
「…………」
できればもうあまり会いたくない……俺は「またな」と返す気にもならなかった。
しかし万里は全く気にする様子もなく、ひらりとコートを翻して病院内へと入ってゆく。
「アレク……一佳ちゃんも、大丈夫か?」
万里の背中をじっと見ているアレクに、俺は遠慮がちに声をかけた。
「あぁ、大丈夫だ……都築、病室へ戻ろう」
「うん」
俺は再び車椅子を押し、病室へと戻った。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
「じゃあ、また来るから……」
俺はアレクと一佳ちゃんに笑顔で手を振り、病室を出た。
やっぱり見えない子を居るものとして接するのはかなり難易度が高い。イマジネーションでカバーするにも限界がある。俺は久々に「見えない」不便さを痛感していた。
ナースステーションの前を通り過ぎ、エレベーターがやって来るのを待つ。
然るべき時がきたら……アレクは本当に一佳ちゃんを浄霊することが出来るんだろうか。
いや、アレクだってプロなんだ。
俺はギュッと拳を握りしめた。
エレベーターに乗り込み、階層パネルに並ぶボタンへ手を伸ばすも、俺の指がとまる。
「…………」
俺は地下三階のボタンを押した。『関わるな』と店長から釘を刺されたのを忘れたわけじゃない。でも俺は、どうしても「そこ」に行かなくてはならないような気がした。
チ――――――ン……
ドアが開いた。
関係者以外立ち入り禁止ということもあり、人気もなく静まり返っている。地下だから窓もなく、照明も心なしか薄暗い気がする。
廊下の壁には案内プレートがあり、俺は少し迷ってから「霊安室」への矢印に従って歩きだした。
靴音がやけに大きく響く。
廊下の角を曲がると人影が見えた。
万里を探してここまで来たのに、いざその姿を見つけるとドキッと大きく鼓動が跳ねる。
「あ――…、え~っと……」
どう声をかければいいのか分からない。
そんな俺に気づいた万里は不思議そうに首を傾げた。
「都築? こんな場所でどうしたの?」
「お、お前こそっ……、……母親の見舞いなんて言っといて、ここは関係者以外立ち入り禁止なんだぞ。何やってんだよ」
責めるような問い詰めるような口調になってしまった。しかし万里は怯む様子もなく、霊安室のドアへと視線を戻す。
「俺は、研究だよ。今……色々と試行錯誤中なんだ」
「けんきゅう? 霊安室でいったい何の研究……」
俺と話しながらも、万里はどこか上の空だ。
何か他のことを考えているのは一目瞭然、視線は霊安室のドアではなくその向こうを見つめている。
万里はゆっくりと口を開いた。
「式神を、ね……人間の霊を、式神として使役できないかと思って……」
「え――…?」
言葉の意味は分かるのに、その内容が理解できず、俺は小さく呟くように問い返した。
万里は手を伸ばし、霊安室のドアを辿るようにそっと撫でる。
「ここなら、実験に使える霊がいるかと思って……何度か来てるんだけど、タイミングが悪いみたい。病院って言っても、そんなにしょっちゅう人が亡くなるわけじゃないんだね……」
「お、まえ……なにを、言って……っ?」
自分の声が震えているのが分かる。
ふと、何か思い出したように万里がこちらを見た。
「さっき、女の子の霊と一緒にいたよね。あの霊、俺にくれない?」
式神っていうのは呪術の一種で、霊との契約だと理解している。
店長や千代ちゃんから教えてもらった事を、俺は思い出した。動物霊を使うのが一般的だと聞いた……それを、人間の霊でやるって? しかも一佳ちゃんを!?
「ふざけるなっ! 一佳ちゃんはアレクがちゃんと浄霊する! あの子に手を出すなっ!」
衝動的に万里の胸倉を掴み、壁にドンッ! と押し付けて万里を睨んだ。
しかし万里は余裕の表情……どころか、バカにしたように笑う。
「なに怒ってんの? 都築だって、犬神連れてんじゃん……犬はいいけど人間はダメって、どういう理屈?」
「――…っ!!」
俺は言葉を失った。そこで唐突に万里が驚きの声をあげる。
「えっ!? なに? どうしてっ!?」
「な、なんだよっ!?」
万里は急に俺たちの周囲を見回してから、俺の顔をまじまじと見てくる。
「結界? 守護的な何か……いや、違う……何も、ない……え? ええ? どういうこと?」
めちゃくちゃ混乱している万里を見て、俺は察した。ジト目で睨みつける。
「お前、今……俺になにか霊的な攻撃しただろ?」
「どうして? なんで都築は平気なの? どうなってんの? どういう仕組み? 都築って何者っ!?」
急に興味津々といった様子で、万里は瞳をキラキラさせて早口で質問してくる。まるで好奇心旺盛な子供だ。
俺は変に納得いってしまった。
ずっと気になってた不躾な態度も、遠慮ない物言いも……そうだ、こいつはただの「子供」なんだ。
イラついてたのが馬鹿らしくさえ思える。
「俺は霊感がないんだよ」
「霊感がない? そんな人間いるわけ――…って、え? マジで???」
目をパチクリさせる万里に、俺は頷いた。
霊能力者たちに特異体質を説明する度に、なんとも複雑な気分になる。
「す、ご――…っ、……それって、自分が霊体になったらどうなるの? ちょっと幽体離脱させてみていい?」
は!? そんな気軽に幽体離脱なんかさせられてたまるかっ!!
新しい玩具でも見つけたかのような食いつきの良さに、俺は慌てて両手をブンブン振って全力で拒否を示した。
「ちょっと待てっ! ストップ! 落ち着け!」
好奇心旺盛で研究熱心なのは悪いことじゃないが、とにかく何でも限度ってもんがある!
俺は万里の手を掴み、強引に引っ張って廊下を歩き出した。
「とにかく、ちょっと来い!」
ここに万里一人置いていくわけにはいかない。
「え? なに? 都築?」
不思議そうな声をあげながらも、万里は抵抗することなくついて来る。俺は万里を連れてエレベーターに乗り込み、病院の受付がある一階ホールへと戻った。
長椅子が並ぶ待合いスペースを通り抜け、売店横の自動販売機でポケットから小銭を取り出した。
何か飲んで、ちょっと落ち着こう。
自分用に「あったか~い」コーヒーのボタンを押す。
「お前は何飲む?」
「奢ってくれるの? なら、ホットココア」
橘なら絶対に選ばないような飲み物チョイスに、俺はもう違和感を感じることもなくココアのボタンを押した。ガシャン! と出てきた缶を取り出して万里に渡す。
「ありがと……あちちっ……、……」
万里は熱そうに缶を受け取り、すぐ横のベンチに座った。
ちゃんと礼だって言えるじゃないか。万里はやっぱり嫌な奴でもイヤミな奴でもなく、ただの子供なんだ。
俺も缶コーヒーを手に万里の隣に座った。
万里は嬉しそうにプルトップをプシュッ! と開け、ゆっくりとココアを口に運ぶ。
「ん、甘くて美味しー……やっぱ冬はココアかコンポタだよね」
俺もコーヒーを飲んでホッと一息つく。
「好奇心旺盛なのも悪い事じゃねーけど、あんまり無茶すんなよ……ちょっとは相手の気持ちとか考えてだな……」
ガラにもなく説教臭いことを言ってしまう。
しかし万里はいまいちピンと来ないようで、軽く首を捻った。
「うーーーーん…………、他人の気持ちとか考えてもさ、しょうがないじゃん。人生一回きりなのに、我慢してたらあっという間におじいちゃんになっちゃうよ? 自分が『楽しい』とか『好き』って思える事をしなきゃ……自分を一番楽しませてくれるのも、一番大事にしてくれるのも、自分なんだし」
「お前、ほんとに橘とは全然違うんだな……」
「でも、顔と声は一緒だよ? ……ついでに言うと、たぶん身長と体重も一緒。別々に暮らしてるのに、こんなに似てるなんて、双子って面白いよね」
万里はココアをこくりと飲み、ふぅ……と小さく息を吐いた。
「だよなぁ……俺、初めてお前を見た時、橘のドッペルゲンガーかと思ったもん」
「ドッペルゲンガー? ぷぷっ、……やっぱ都築って面白いなぁ」
手の中のココア缶に視線を落として笑う万里の横顔は、どこか寂し気だ。
「都築……知ってる? ドッペルゲンガーってさ、どっちか片方しか生き残れないんだよ」
アレクの手を振りほどいた万里は、白々しく痛そうに顔をしかめた。エクソシストを十把一絡げに「脳筋」呼ばわり……どうしてこう、いちいち感じ悪いんだ?
「ま、いいや……俺もそんな暇じゃないし、行くよ。またね、都築」
「…………」
できればもうあまり会いたくない……俺は「またな」と返す気にもならなかった。
しかし万里は全く気にする様子もなく、ひらりとコートを翻して病院内へと入ってゆく。
「アレク……一佳ちゃんも、大丈夫か?」
万里の背中をじっと見ているアレクに、俺は遠慮がちに声をかけた。
「あぁ、大丈夫だ……都築、病室へ戻ろう」
「うん」
俺は再び車椅子を押し、病室へと戻った。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
「じゃあ、また来るから……」
俺はアレクと一佳ちゃんに笑顔で手を振り、病室を出た。
やっぱり見えない子を居るものとして接するのはかなり難易度が高い。イマジネーションでカバーするにも限界がある。俺は久々に「見えない」不便さを痛感していた。
ナースステーションの前を通り過ぎ、エレベーターがやって来るのを待つ。
然るべき時がきたら……アレクは本当に一佳ちゃんを浄霊することが出来るんだろうか。
いや、アレクだってプロなんだ。
俺はギュッと拳を握りしめた。
エレベーターに乗り込み、階層パネルに並ぶボタンへ手を伸ばすも、俺の指がとまる。
「…………」
俺は地下三階のボタンを押した。『関わるな』と店長から釘を刺されたのを忘れたわけじゃない。でも俺は、どうしても「そこ」に行かなくてはならないような気がした。
チ――――――ン……
ドアが開いた。
関係者以外立ち入り禁止ということもあり、人気もなく静まり返っている。地下だから窓もなく、照明も心なしか薄暗い気がする。
廊下の壁には案内プレートがあり、俺は少し迷ってから「霊安室」への矢印に従って歩きだした。
靴音がやけに大きく響く。
廊下の角を曲がると人影が見えた。
万里を探してここまで来たのに、いざその姿を見つけるとドキッと大きく鼓動が跳ねる。
「あ――…、え~っと……」
どう声をかければいいのか分からない。
そんな俺に気づいた万里は不思議そうに首を傾げた。
「都築? こんな場所でどうしたの?」
「お、お前こそっ……、……母親の見舞いなんて言っといて、ここは関係者以外立ち入り禁止なんだぞ。何やってんだよ」
責めるような問い詰めるような口調になってしまった。しかし万里は怯む様子もなく、霊安室のドアへと視線を戻す。
「俺は、研究だよ。今……色々と試行錯誤中なんだ」
「けんきゅう? 霊安室でいったい何の研究……」
俺と話しながらも、万里はどこか上の空だ。
何か他のことを考えているのは一目瞭然、視線は霊安室のドアではなくその向こうを見つめている。
万里はゆっくりと口を開いた。
「式神を、ね……人間の霊を、式神として使役できないかと思って……」
「え――…?」
言葉の意味は分かるのに、その内容が理解できず、俺は小さく呟くように問い返した。
万里は手を伸ばし、霊安室のドアを辿るようにそっと撫でる。
「ここなら、実験に使える霊がいるかと思って……何度か来てるんだけど、タイミングが悪いみたい。病院って言っても、そんなにしょっちゅう人が亡くなるわけじゃないんだね……」
「お、まえ……なにを、言って……っ?」
自分の声が震えているのが分かる。
ふと、何か思い出したように万里がこちらを見た。
「さっき、女の子の霊と一緒にいたよね。あの霊、俺にくれない?」
式神っていうのは呪術の一種で、霊との契約だと理解している。
店長や千代ちゃんから教えてもらった事を、俺は思い出した。動物霊を使うのが一般的だと聞いた……それを、人間の霊でやるって? しかも一佳ちゃんを!?
「ふざけるなっ! 一佳ちゃんはアレクがちゃんと浄霊する! あの子に手を出すなっ!」
衝動的に万里の胸倉を掴み、壁にドンッ! と押し付けて万里を睨んだ。
しかし万里は余裕の表情……どころか、バカにしたように笑う。
「なに怒ってんの? 都築だって、犬神連れてんじゃん……犬はいいけど人間はダメって、どういう理屈?」
「――…っ!!」
俺は言葉を失った。そこで唐突に万里が驚きの声をあげる。
「えっ!? なに? どうしてっ!?」
「な、なんだよっ!?」
万里は急に俺たちの周囲を見回してから、俺の顔をまじまじと見てくる。
「結界? 守護的な何か……いや、違う……何も、ない……え? ええ? どういうこと?」
めちゃくちゃ混乱している万里を見て、俺は察した。ジト目で睨みつける。
「お前、今……俺になにか霊的な攻撃しただろ?」
「どうして? なんで都築は平気なの? どうなってんの? どういう仕組み? 都築って何者っ!?」
急に興味津々といった様子で、万里は瞳をキラキラさせて早口で質問してくる。まるで好奇心旺盛な子供だ。
俺は変に納得いってしまった。
ずっと気になってた不躾な態度も、遠慮ない物言いも……そうだ、こいつはただの「子供」なんだ。
イラついてたのが馬鹿らしくさえ思える。
「俺は霊感がないんだよ」
「霊感がない? そんな人間いるわけ――…って、え? マジで???」
目をパチクリさせる万里に、俺は頷いた。
霊能力者たちに特異体質を説明する度に、なんとも複雑な気分になる。
「す、ご――…っ、……それって、自分が霊体になったらどうなるの? ちょっと幽体離脱させてみていい?」
は!? そんな気軽に幽体離脱なんかさせられてたまるかっ!!
新しい玩具でも見つけたかのような食いつきの良さに、俺は慌てて両手をブンブン振って全力で拒否を示した。
「ちょっと待てっ! ストップ! 落ち着け!」
好奇心旺盛で研究熱心なのは悪いことじゃないが、とにかく何でも限度ってもんがある!
俺は万里の手を掴み、強引に引っ張って廊下を歩き出した。
「とにかく、ちょっと来い!」
ここに万里一人置いていくわけにはいかない。
「え? なに? 都築?」
不思議そうな声をあげながらも、万里は抵抗することなくついて来る。俺は万里を連れてエレベーターに乗り込み、病院の受付がある一階ホールへと戻った。
長椅子が並ぶ待合いスペースを通り抜け、売店横の自動販売機でポケットから小銭を取り出した。
何か飲んで、ちょっと落ち着こう。
自分用に「あったか~い」コーヒーのボタンを押す。
「お前は何飲む?」
「奢ってくれるの? なら、ホットココア」
橘なら絶対に選ばないような飲み物チョイスに、俺はもう違和感を感じることもなくココアのボタンを押した。ガシャン! と出てきた缶を取り出して万里に渡す。
「ありがと……あちちっ……、……」
万里は熱そうに缶を受け取り、すぐ横のベンチに座った。
ちゃんと礼だって言えるじゃないか。万里はやっぱり嫌な奴でもイヤミな奴でもなく、ただの子供なんだ。
俺も缶コーヒーを手に万里の隣に座った。
万里は嬉しそうにプルトップをプシュッ! と開け、ゆっくりとココアを口に運ぶ。
「ん、甘くて美味しー……やっぱ冬はココアかコンポタだよね」
俺もコーヒーを飲んでホッと一息つく。
「好奇心旺盛なのも悪い事じゃねーけど、あんまり無茶すんなよ……ちょっとは相手の気持ちとか考えてだな……」
ガラにもなく説教臭いことを言ってしまう。
しかし万里はいまいちピンと来ないようで、軽く首を捻った。
「うーーーーん…………、他人の気持ちとか考えてもさ、しょうがないじゃん。人生一回きりなのに、我慢してたらあっという間におじいちゃんになっちゃうよ? 自分が『楽しい』とか『好き』って思える事をしなきゃ……自分を一番楽しませてくれるのも、一番大事にしてくれるのも、自分なんだし」
「お前、ほんとに橘とは全然違うんだな……」
「でも、顔と声は一緒だよ? ……ついでに言うと、たぶん身長と体重も一緒。別々に暮らしてるのに、こんなに似てるなんて、双子って面白いよね」
万里はココアをこくりと飲み、ふぅ……と小さく息を吐いた。
「だよなぁ……俺、初めてお前を見た時、橘のドッペルゲンガーかと思ったもん」
「ドッペルゲンガー? ぷぷっ、……やっぱ都築って面白いなぁ」
手の中のココア缶に視線を落として笑う万里の横顔は、どこか寂し気だ。
「都築……知ってる? ドッペルゲンガーってさ、どっちか片方しか生き残れないんだよ」
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