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深淵編
旅路
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店長と俺、アレク、花山さんは橘の祓いの邪魔にならないよう壁際へ後退った。
橘は小さく深呼吸した。
右手で印を結び、左手でポケットから取り出した護符を人差し指と中指に挟んでぴしりと立てる。何やら呟いているように唇が動く。伏し目がちの横顔を俺はただ見守ることしかできない。
無駄のない動きはまるで神楽でも舞ってるようだ。
俺の隣でアレクが小さくヒュウッと口笛を吹いた。
「終わりました」
橘の言葉と同時に店長とアレクが動く。
絵画に近づいて観察するように二人は目を走らせた。
最初に口を開いたのはアレクだった。
「祓えてはいるな……しかし」
「あぁ、気配が消えていない」
頷く店長に、橘は申し訳なさそうに俯いてしまった。
「すみません。遠くにいるのは分かったのですが……届きませんでした」
「謝る必要はない。辿るのは無理だ」
「……はい」
それまで黙っていた花山さんが遠慮がちに声をあげる。
「あの、それで……結局のところ祓いは成功したんでしょうか?」
「いったんは遠ざけましたが元凶を滅したわけではないので、戻って来る可能性もあります」
店長の説明に、花山さんは困惑の表情を浮かべた。
俺が描いた手帳の絵に視線を落とした店長は少し考えてから口を開く。
「やはり、この場所へ行く必要がありそうだね」
俺はポケットからスマホを取りだした。
「ネットの地図機能で調べれば、似たような場所を割り出せると思いますよ」
橘は白い布を絵に被せなおしてから、俺の傍へ来る。
「さっき祓った感じでは、北の方角だと思います」
「北か、よし!」
方角が絞れただけでもありがたい。
俺は橘に笑顔で頷き、スマホを操作し始めた。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
「明日朝8時に駅の改札前に集合ということで、よろしく」
店長の言葉に、アレク、橘、俺の三人は頷いた。
スマホの地図機能で俺が見つけ出した場所は、今から行くには流石に遠かった。
車で行けない距離ではないが、運転手アレクの負担を考え、明日朝から改めて電車で向かう事になったのだ。
「橘、俺のアパート泊ればいいのに……」
「都築くんとこは狭すぎて無理だろ? 六畳一間じゃないか。泊まるならうちに……」
橘が店長に対してかなり委縮しちゃってること、店長は気づいてないのだろうか……。店長のとこなんかに泊まったら、橘の胃に穴が開くぞ。
「うちの教会にも客用の寝室があるから、そこに泊まってもいいんだぞ」
まさかアレクまで参戦してくるとは……!!
しかし橘は嬉しそうに首を振った。
「ありがとうございます。でも、うちの者がホテルを取ってくれたので……今日はそちらへ泊ります」
うちの者ってのは、おじさん陰陽師か……まるで執事みたいだな。
ちょっと名残惜しそうにタクシーに乗り込んだ橘を、俺は手を振って見送ったのだった。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
翌朝――…。
「あ! ここ四人席空いてますよ。店長、早く早く」
誰一人遅刻することなく集合した俺達は電車に乗り込み、絵画に描かれていた場所へと出発した。
橘とアレクはいつも通り元気いっぱいだが、店長だけはちょっと眠そうだ。そういえば、低血圧で朝は苦手だって言ってたな。
電車の四人席には、店長と俺、アレクと橘が隣同士で座る。
不謹慎かも知れないが、ちょっとした小旅行気分の俺のウエストバッグには、旅の必需品であるミカン、トランプ、飴がしっかりと入っている。
「そうそう、忘れないうちに渡しておこう」
アレクがカバンから小さな革表紙の本を取り出し、橘に差し出した。
「ありがとうございます」
橘は嬉しそうに受け取る。見れば表紙には十字架の刻印がしてあった。
俺は驚いてアレクと橘を見比べる。
「聖書?……まさかアレク、橘をカトリック信者にするつもりじゃないだろな」
「いやいや、専門外のことを勉強するのも大切なんだぞ。知識は多いに越したことはない。昨日話してたら、橘が聖書に興味を持ったから一冊進呈しようと思ってな。俺が橘にヘブライ語を教える代わりに橘から梵字を教わる約束もしたから、これから俺達はお互いに師であり弟子でもあるわけだ」
ちなみにヘブライ語というのは、俺が急性虫垂炎で死にかけた時に魔法陣に書いてあった文字だ。俺だって少しずつ勉強している。初心者丸出しの質問で恥をかく日々から早く卒業したい。
それにしても、ヘブライ語を勉強して聖書を読む陰陽師、そして梵字を覚えようとするエクソシスト……これ、世界観大丈夫か?
俺の心配をよそに、橘はもらった聖書をさっそくパラパラめくりだした。
「普段アレクが持ってるやつと違って、ずいぶん薄いし小さいんだな」
分厚さでいえば半分もなさそうだ。
「俺のは旧約聖書と新約聖書を一冊にまとめたものだ。橘に渡したのは旧約聖書だけなんだが、物語として読んでも面白いからまずはそこからと思ってな」
橘は興味津々といった様子で聖書に目を走らせている。
「旧約聖書と新約聖書って、物語の前後編みたいなものなのか?」
俺の問いに、窓の外を眺めていた店長が口を開いた。
「ちょっと違うね。簡単に言えば、旧約聖書の主役はヤハウェって神様。新約聖書の主役はイエスって人間」
「簡単に言い過ぎだぞ」
アレクは苦笑するが、訂正するわけじゃないからきっと「言い得て妙」なんだろな。
ふいに店長が何か思いついたように、聖書を読んでいる橘へ声をかける。
「橘くん、『書物占い』は知ってる?」
「びぶ……???」
俺と橘の声が被る。
二人並んでマヌケな顔をしてしまった。
「本を使った占いだよ。聖書でやることが多いけど他の本でも大丈夫。適当にページを開いて、最初に目についた文からインスピレーションで読み解くんだ。これを応用して面白い遊びができる」
店長は身を乗り出すと橘の手から聖書を取り上げ、パタンと閉じる。
「アレク、どこでもいい。一節くれ」
アレクは『ビブリ何とか』ってやつを知ってるらしく、楽しそうに笑みを零した。
「そうだな……『バビロンの王ネブカドネザルは、ユダの地に残しとどまらせた民の上に、シャパンの子アヒカムの子であるゲダリアを立てて総督とした』なんてどうだ?」
店長は聖書の表紙に額をあて、ほんの数秒で顔を上げるとパッとページを開いた。
「ここだ」
「え?……は???」
店長が指差す箇所を見ると、アレクが暗唱した文がそのままそこに書かれている。
一発でそのページを開いた!?
すっげぇぇえええ!!!!
これ、忘年会の一発芸でやったらめちゃくちゃ受けそう!!
「橘くんもやってごらん」
店長が橘の手に聖書を戻す。
「ちょ、店長! 無茶ぶりにもほどが――…っ……」
しかし橘は店長と同じように聖書を額にあて、真剣に取り組みだした。
マジでやる気か――…?
店長の五倍くらい時間をかけて橘は聖書を開いたが、残念ながら全く違うページだった。
「難しいです……」
落ち込む橘にアレクが苦笑する。
「初チャレンジで一発成功する奴なんかいない。俺でも出来るようになるのに一年かかったから、気長にチャレンジするといい」
アレクも出来るのか!?
霊能力者三人に囲まれて、一人一般人の俺はなんだか居心地悪い。
果敢に二度目のチャレンジをしようと聖書を額にあてる橘に、店長が声をかけた。
「コツは、言葉の音をちゃんと波動として認識して、それを探し出すこと。橘くんみたいなタイプにはこういう訓練が一番必要だと思う。十回やって八回以上当てられるようになったら次の課題を出してあげるよ」
「!! …――はい、頑張ります!」
聖書から顔を上げた橘の顔は、パアァッと嬉しそうに輝いた。
少しずつだが、店長と橘の距離が縮まってきてる気がする。
よし! さらに仲良くなってもらおうじゃないか! お楽しみのレクリエーションタイムだ!
「俺トランプ持ってきたんだ! ババ抜きしないか?」
ウエストバッグから取り出したトランプに、アレクが食いついた。
「いいじゃないか! ほら、尾張もやるぞ! 勝負だ!」
一瞬、面倒臭そうな顔をした店長をアレクが強引に誘ってくれる。『ビブリ何とか』に取り組んでいた橘も、カバンに聖書をしまってトランプに嬉しそうに笑顔をみせた。
「なんだか修学旅行みたいですね」
「橘は京都だよな、京都の学校って修学旅行はどこに行くんだ?」
俺の問いに、橘は笑顔のまま困ったように軽く首を傾げた。
「えっと……どこだったかな、中学の修学旅行。行ける予定だったんですが……急なお仕事が入っちゃって、僕は行けなかったので……」
「…――!!」
突然、アレクと俺に共通の使命感のようなものが燃え上った。
「ババ抜きしよう! 大富豪でも七並べでもとことん付き合うぞっ!!」
「俺ミカンも持ってきてるんだ! 橘、ミカン食え! 美味いぞっ!!」
「え? え? ……は、はいっ!」
こうして完全に旅行気分の俺達を乗せた電車は、目的地である山間部のとある駅へと向かったのだった。
橘は小さく深呼吸した。
右手で印を結び、左手でポケットから取り出した護符を人差し指と中指に挟んでぴしりと立てる。何やら呟いているように唇が動く。伏し目がちの横顔を俺はただ見守ることしかできない。
無駄のない動きはまるで神楽でも舞ってるようだ。
俺の隣でアレクが小さくヒュウッと口笛を吹いた。
「終わりました」
橘の言葉と同時に店長とアレクが動く。
絵画に近づいて観察するように二人は目を走らせた。
最初に口を開いたのはアレクだった。
「祓えてはいるな……しかし」
「あぁ、気配が消えていない」
頷く店長に、橘は申し訳なさそうに俯いてしまった。
「すみません。遠くにいるのは分かったのですが……届きませんでした」
「謝る必要はない。辿るのは無理だ」
「……はい」
それまで黙っていた花山さんが遠慮がちに声をあげる。
「あの、それで……結局のところ祓いは成功したんでしょうか?」
「いったんは遠ざけましたが元凶を滅したわけではないので、戻って来る可能性もあります」
店長の説明に、花山さんは困惑の表情を浮かべた。
俺が描いた手帳の絵に視線を落とした店長は少し考えてから口を開く。
「やはり、この場所へ行く必要がありそうだね」
俺はポケットからスマホを取りだした。
「ネットの地図機能で調べれば、似たような場所を割り出せると思いますよ」
橘は白い布を絵に被せなおしてから、俺の傍へ来る。
「さっき祓った感じでは、北の方角だと思います」
「北か、よし!」
方角が絞れただけでもありがたい。
俺は橘に笑顔で頷き、スマホを操作し始めた。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
「明日朝8時に駅の改札前に集合ということで、よろしく」
店長の言葉に、アレク、橘、俺の三人は頷いた。
スマホの地図機能で俺が見つけ出した場所は、今から行くには流石に遠かった。
車で行けない距離ではないが、運転手アレクの負担を考え、明日朝から改めて電車で向かう事になったのだ。
「橘、俺のアパート泊ればいいのに……」
「都築くんとこは狭すぎて無理だろ? 六畳一間じゃないか。泊まるならうちに……」
橘が店長に対してかなり委縮しちゃってること、店長は気づいてないのだろうか……。店長のとこなんかに泊まったら、橘の胃に穴が開くぞ。
「うちの教会にも客用の寝室があるから、そこに泊まってもいいんだぞ」
まさかアレクまで参戦してくるとは……!!
しかし橘は嬉しそうに首を振った。
「ありがとうございます。でも、うちの者がホテルを取ってくれたので……今日はそちらへ泊ります」
うちの者ってのは、おじさん陰陽師か……まるで執事みたいだな。
ちょっと名残惜しそうにタクシーに乗り込んだ橘を、俺は手を振って見送ったのだった。
☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;☆*:;;;:**:;;;:*☆
翌朝――…。
「あ! ここ四人席空いてますよ。店長、早く早く」
誰一人遅刻することなく集合した俺達は電車に乗り込み、絵画に描かれていた場所へと出発した。
橘とアレクはいつも通り元気いっぱいだが、店長だけはちょっと眠そうだ。そういえば、低血圧で朝は苦手だって言ってたな。
電車の四人席には、店長と俺、アレクと橘が隣同士で座る。
不謹慎かも知れないが、ちょっとした小旅行気分の俺のウエストバッグには、旅の必需品であるミカン、トランプ、飴がしっかりと入っている。
「そうそう、忘れないうちに渡しておこう」
アレクがカバンから小さな革表紙の本を取り出し、橘に差し出した。
「ありがとうございます」
橘は嬉しそうに受け取る。見れば表紙には十字架の刻印がしてあった。
俺は驚いてアレクと橘を見比べる。
「聖書?……まさかアレク、橘をカトリック信者にするつもりじゃないだろな」
「いやいや、専門外のことを勉強するのも大切なんだぞ。知識は多いに越したことはない。昨日話してたら、橘が聖書に興味を持ったから一冊進呈しようと思ってな。俺が橘にヘブライ語を教える代わりに橘から梵字を教わる約束もしたから、これから俺達はお互いに師であり弟子でもあるわけだ」
ちなみにヘブライ語というのは、俺が急性虫垂炎で死にかけた時に魔法陣に書いてあった文字だ。俺だって少しずつ勉強している。初心者丸出しの質問で恥をかく日々から早く卒業したい。
それにしても、ヘブライ語を勉強して聖書を読む陰陽師、そして梵字を覚えようとするエクソシスト……これ、世界観大丈夫か?
俺の心配をよそに、橘はもらった聖書をさっそくパラパラめくりだした。
「普段アレクが持ってるやつと違って、ずいぶん薄いし小さいんだな」
分厚さでいえば半分もなさそうだ。
「俺のは旧約聖書と新約聖書を一冊にまとめたものだ。橘に渡したのは旧約聖書だけなんだが、物語として読んでも面白いからまずはそこからと思ってな」
橘は興味津々といった様子で聖書に目を走らせている。
「旧約聖書と新約聖書って、物語の前後編みたいなものなのか?」
俺の問いに、窓の外を眺めていた店長が口を開いた。
「ちょっと違うね。簡単に言えば、旧約聖書の主役はヤハウェって神様。新約聖書の主役はイエスって人間」
「簡単に言い過ぎだぞ」
アレクは苦笑するが、訂正するわけじゃないからきっと「言い得て妙」なんだろな。
ふいに店長が何か思いついたように、聖書を読んでいる橘へ声をかける。
「橘くん、『書物占い』は知ってる?」
「びぶ……???」
俺と橘の声が被る。
二人並んでマヌケな顔をしてしまった。
「本を使った占いだよ。聖書でやることが多いけど他の本でも大丈夫。適当にページを開いて、最初に目についた文からインスピレーションで読み解くんだ。これを応用して面白い遊びができる」
店長は身を乗り出すと橘の手から聖書を取り上げ、パタンと閉じる。
「アレク、どこでもいい。一節くれ」
アレクは『ビブリ何とか』ってやつを知ってるらしく、楽しそうに笑みを零した。
「そうだな……『バビロンの王ネブカドネザルは、ユダの地に残しとどまらせた民の上に、シャパンの子アヒカムの子であるゲダリアを立てて総督とした』なんてどうだ?」
店長は聖書の表紙に額をあて、ほんの数秒で顔を上げるとパッとページを開いた。
「ここだ」
「え?……は???」
店長が指差す箇所を見ると、アレクが暗唱した文がそのままそこに書かれている。
一発でそのページを開いた!?
すっげぇぇえええ!!!!
これ、忘年会の一発芸でやったらめちゃくちゃ受けそう!!
「橘くんもやってごらん」
店長が橘の手に聖書を戻す。
「ちょ、店長! 無茶ぶりにもほどが――…っ……」
しかし橘は店長と同じように聖書を額にあて、真剣に取り組みだした。
マジでやる気か――…?
店長の五倍くらい時間をかけて橘は聖書を開いたが、残念ながら全く違うページだった。
「難しいです……」
落ち込む橘にアレクが苦笑する。
「初チャレンジで一発成功する奴なんかいない。俺でも出来るようになるのに一年かかったから、気長にチャレンジするといい」
アレクも出来るのか!?
霊能力者三人に囲まれて、一人一般人の俺はなんだか居心地悪い。
果敢に二度目のチャレンジをしようと聖書を額にあてる橘に、店長が声をかけた。
「コツは、言葉の音をちゃんと波動として認識して、それを探し出すこと。橘くんみたいなタイプにはこういう訓練が一番必要だと思う。十回やって八回以上当てられるようになったら次の課題を出してあげるよ」
「!! …――はい、頑張ります!」
聖書から顔を上げた橘の顔は、パアァッと嬉しそうに輝いた。
少しずつだが、店長と橘の距離が縮まってきてる気がする。
よし! さらに仲良くなってもらおうじゃないか! お楽しみのレクリエーションタイムだ!
「俺トランプ持ってきたんだ! ババ抜きしないか?」
ウエストバッグから取り出したトランプに、アレクが食いついた。
「いいじゃないか! ほら、尾張もやるぞ! 勝負だ!」
一瞬、面倒臭そうな顔をした店長をアレクが強引に誘ってくれる。『ビブリ何とか』に取り組んでいた橘も、カバンに聖書をしまってトランプに嬉しそうに笑顔をみせた。
「なんだか修学旅行みたいですね」
「橘は京都だよな、京都の学校って修学旅行はどこに行くんだ?」
俺の問いに、橘は笑顔のまま困ったように軽く首を傾げた。
「えっと……どこだったかな、中学の修学旅行。行ける予定だったんですが……急なお仕事が入っちゃって、僕は行けなかったので……」
「…――!!」
突然、アレクと俺に共通の使命感のようなものが燃え上った。
「ババ抜きしよう! 大富豪でも七並べでもとことん付き合うぞっ!!」
「俺ミカンも持ってきてるんだ! 橘、ミカン食え! 美味いぞっ!!」
「え? え? ……は、はいっ!」
こうして完全に旅行気分の俺達を乗せた電車は、目的地である山間部のとある駅へと向かったのだった。
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