積年日々チョコレート

ちえ。

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常々日々シュガーチップver.short (side 尚)

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「おかえり、泰知」
 扉の空く音に、洗っていた手を乱暴にタオルで拭って玄関へと駆け寄る。
 泰知の喜ぶ顔を想像しながら毎日料理をして、泰知が美味しいって言ってくれるお菓子を作って。
 嬉しそうに食べてくれるだけでこの上なく幸せだったのに、最近はもっともっと甘い。

 辿り着いた玄関で、鍵をかけていた泰知が振り返って。
 ああ、今日も格好いいなってぼうっと見ていた視線が絡んで。
 気付いた時には腕がぐいっと引かれたと思ったら、既に泰知に捕えられてて。
「ただいま、尚」
 頭の上からキスが降ってくる。

 ああ、なんて。
 ドキドキして、ふわふわして、そわそわして、もうほーっと呆ける。
 表面だけ冷えた泰知の体温が、じんわりと温かくなって。
 なんども髪や肌に落ちる唇があまりに甘くて。
 ぎゅっと泰知の胸元に縋りつく。
 毎日、毎日、こうやって。簡単に泰知に陥落して全部差し出す。
 ううん、本当は、差し出したいんだと思う。
 少しでも泰知のものになりたい。

 だって。
 見ているだけでも嬉しくて。話ができれば舞い上がって。
 触れることなんかあれば、もうずっと頭の中はそのことばかり思い出して。
 仲良くなって、距離が近づいたとしても、泰知は俺の中でずっと憧れの人。
 慣れる訳なんかないし、毎日いつか覚める夢なんじゃないかって思う。
 夢じゃないって信じてても。
 泰知がこんなに近くにいて、おんなじ想いで求めてくれるなんて。
 持て余すくらい、くらくらする。

「尚、いい匂い」
 頭の上で泰知の笑い声が揺れて。
 ほうっと蕩けきった顔を上げて、我に返る。泰知の優しくて余裕気な笑みを見るとまた忘れそうになるけど、忘れちゃダメだった。
「あ、うん、ご飯できたよ!」
 茹った身体に喝を入れて、踏ん張って身を離す。
 もう一度身体がくいっと引かれて、しっかりと唇が合わさった。

 ああもう、格好いいなぁ!
 投げ出したい。溺れたい。もう蕩けたままでいい。
 だけど、とりあえず、ひとまずは。
「すぐに用意するね」
 泰知のための料理から、食べて貰わないと。

 落ち着かない浮ついた足でキッチンへと駆けこむ。
 きっと真っ赤だし、感情なんて溢れすぎてどんな顔してるかわかんないし。
 でも、でも、またすぐに顔を合わせて。
 顔を合わせるたびにあまいあまい、ハート形のカラフルなシュガーチップが降ってきて。
 毎日が、常に、こんなにも甘くて幸せ。
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