6 / 6
常々日々シュガーチップver.short (side 尚)
しおりを挟む
「おかえり、泰知」
扉の空く音に、洗っていた手を乱暴にタオルで拭って玄関へと駆け寄る。
泰知の喜ぶ顔を想像しながら毎日料理をして、泰知が美味しいって言ってくれるお菓子を作って。
嬉しそうに食べてくれるだけでこの上なく幸せだったのに、最近はもっともっと甘い。
辿り着いた玄関で、鍵をかけていた泰知が振り返って。
ああ、今日も格好いいなってぼうっと見ていた視線が絡んで。
気付いた時には腕がぐいっと引かれたと思ったら、既に泰知に捕えられてて。
「ただいま、尚」
頭の上からキスが降ってくる。
ああ、なんて。
ドキドキして、ふわふわして、そわそわして、もうほーっと呆ける。
表面だけ冷えた泰知の体温が、じんわりと温かくなって。
なんども髪や肌に落ちる唇があまりに甘くて。
ぎゅっと泰知の胸元に縋りつく。
毎日、毎日、こうやって。簡単に泰知に陥落して全部差し出す。
ううん、本当は、差し出したいんだと思う。
少しでも泰知のものになりたい。
だって。
見ているだけでも嬉しくて。話ができれば舞い上がって。
触れることなんかあれば、もうずっと頭の中はそのことばかり思い出して。
仲良くなって、距離が近づいたとしても、泰知は俺の中でずっと憧れの人。
慣れる訳なんかないし、毎日いつか覚める夢なんじゃないかって思う。
夢じゃないって信じてても。
泰知がこんなに近くにいて、おんなじ想いで求めてくれるなんて。
持て余すくらい、くらくらする。
「尚、いい匂い」
頭の上で泰知の笑い声が揺れて。
ほうっと蕩けきった顔を上げて、我に返る。泰知の優しくて余裕気な笑みを見るとまた忘れそうになるけど、忘れちゃダメだった。
「あ、うん、ご飯できたよ!」
茹った身体に喝を入れて、踏ん張って身を離す。
もう一度身体がくいっと引かれて、しっかりと唇が合わさった。
ああもう、格好いいなぁ!
投げ出したい。溺れたい。もう蕩けたままでいい。
だけど、とりあえず、ひとまずは。
「すぐに用意するね」
泰知のための料理から、食べて貰わないと。
落ち着かない浮ついた足でキッチンへと駆けこむ。
きっと真っ赤だし、感情なんて溢れすぎてどんな顔してるかわかんないし。
でも、でも、またすぐに顔を合わせて。
顔を合わせるたびにあまいあまい、ハート形のカラフルなシュガーチップが降ってきて。
毎日が、常に、こんなにも甘くて幸せ。
扉の空く音に、洗っていた手を乱暴にタオルで拭って玄関へと駆け寄る。
泰知の喜ぶ顔を想像しながら毎日料理をして、泰知が美味しいって言ってくれるお菓子を作って。
嬉しそうに食べてくれるだけでこの上なく幸せだったのに、最近はもっともっと甘い。
辿り着いた玄関で、鍵をかけていた泰知が振り返って。
ああ、今日も格好いいなってぼうっと見ていた視線が絡んで。
気付いた時には腕がぐいっと引かれたと思ったら、既に泰知に捕えられてて。
「ただいま、尚」
頭の上からキスが降ってくる。
ああ、なんて。
ドキドキして、ふわふわして、そわそわして、もうほーっと呆ける。
表面だけ冷えた泰知の体温が、じんわりと温かくなって。
なんども髪や肌に落ちる唇があまりに甘くて。
ぎゅっと泰知の胸元に縋りつく。
毎日、毎日、こうやって。簡単に泰知に陥落して全部差し出す。
ううん、本当は、差し出したいんだと思う。
少しでも泰知のものになりたい。
だって。
見ているだけでも嬉しくて。話ができれば舞い上がって。
触れることなんかあれば、もうずっと頭の中はそのことばかり思い出して。
仲良くなって、距離が近づいたとしても、泰知は俺の中でずっと憧れの人。
慣れる訳なんかないし、毎日いつか覚める夢なんじゃないかって思う。
夢じゃないって信じてても。
泰知がこんなに近くにいて、おんなじ想いで求めてくれるなんて。
持て余すくらい、くらくらする。
「尚、いい匂い」
頭の上で泰知の笑い声が揺れて。
ほうっと蕩けきった顔を上げて、我に返る。泰知の優しくて余裕気な笑みを見るとまた忘れそうになるけど、忘れちゃダメだった。
「あ、うん、ご飯できたよ!」
茹った身体に喝を入れて、踏ん張って身を離す。
もう一度身体がくいっと引かれて、しっかりと唇が合わさった。
ああもう、格好いいなぁ!
投げ出したい。溺れたい。もう蕩けたままでいい。
だけど、とりあえず、ひとまずは。
「すぐに用意するね」
泰知のための料理から、食べて貰わないと。
落ち着かない浮ついた足でキッチンへと駆けこむ。
きっと真っ赤だし、感情なんて溢れすぎてどんな顔してるかわかんないし。
でも、でも、またすぐに顔を合わせて。
顔を合わせるたびにあまいあまい、ハート形のカラフルなシュガーチップが降ってきて。
毎日が、常に、こんなにも甘くて幸せ。
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説



そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる