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第一章 時の守り人篇
第6話 卒業の日に
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私は小学校の高学年の頃からいじめられていた。「ブス」とか「気持ち悪い」などの悪口はもちろん、物を隠されたり壊されたり、あからさまに仲間外れにされたり。意味もなく集中的にいじめの標的にされていた。
その典型的ないじめは中学校に上がっても続いていた。
確かに私はお世辞にも美少女と言える顔ではなかったけど、好きでこんな顔に生まれてきたわけじゃない。
それなのにどうして私ばかりいじめられなければいけないのだろう。
数少なかった友達も離れていき、学校の先生も見て見ぬふり。両親すら私の辛さと心の痛みを分かってくれない。
私に味方と呼べる人は誰もいなかった。
どうして私は生まれてきたのだろう。誰からも必要とされていない、気持ち悪いただのゴミクズなのに。生まれてきた意味や生きる意味なんて私には存在しなかった。
私はこの世界の汚物なんだ。ゴミはゴミ箱に捨てなければならない。
中学校の卒業式の日。私は卒業式には出ず、立ち入り禁止の屋上に立っていた。卒業式だから生徒も先生もみんな体育館に集まっていたから、教務室にある屋上への鍵を盗ることは簡単だった。
「ねぇ、神様。どうして私は生まれてきたの?…生まれてきてごめんなさい、さようなら。」
その日私は、人生から卒業した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…そうか…君は……。」
迷える子羊の記憶を読み取ったジョーカーは、悲しげな表情を浮かべた。
「ヴォォォオォォオオ!」
化け物…いや、ストレイシープが暴れ始めた。ストレイシープの表情も悲しそうな、辛そうな顔をしているようにも見える。
大きな腕を振り回し暴れ回るストレイシープにジョーカーは優しく声をかける。
「落ち着くんだ、君の敵はもう居ない。君を傷付ける奴はここには居ないんだ。」
「ヴォオオ!!ヴォオオオォォオオオ!!!」
しかしジョーカーの声は届かない。振り回される腕を避けながら、彼女の正気を取り戻す方法を考える。
(やむを得ないか…。少し強引だが正気を取り戻させないと。)
持っていた仕込み刀の杖に手をかけ、抜こうとしたその時…。
「ジョーカー!!サブロー!!やっと追いついた……って何その化け物!?」
「士くん!?あそこで待っているように言ったはず━━━。」
「ヴォォォォオォォオオオォォ!!!」
走ってきた士に驚き、隙を作ってしまった。
ストレイシープが手を振りかざし、ジョーカーは大きく吹っ飛ばされた。
「がはっ!!」
「ジョーカー!!」
「パパ!!!」
「バウバウッ!!(気ぃ抜くな!!)。」
「くっ…今のはなかなか効いたよ…。」
頭を大きく打ち、少しフラフラするが力を振り絞り立ち上がる。
さぁ、彼女を解き放つ時だ。刀に手をかけ……ようとしたが、手元にない。
「か、刀がない…!?」
慌てて辺りを見回し刀を探す。あった、刀は士くんの足元に転がっていた。
それを士くんが拾い上げた。
「じ、ジョーカー!!これ探してるんだよね?」
「そう!ありがとう士くん!!その刀をこっちに投げて━━━━━━━━。」
「ヴゥゥォオオォォォオォォオオオォォ!!」
士くんに刀を投げるよう言い終える前に、ストレイシープが士くんに向かって襲いかかった。
「士くん!!逃げるんだ!!!」
「う、うわぁぁああぁあぁあ!!!」
逃げようにも恐怖で足が動かない士くん。
全力で走り出したが間に合うだろうか…。
サブローもイズナに付いていたため距離があり間に合いそうにない。
(あぁ死んだ。俺死んだ。)
そう思って死を覚悟した。というのは大嘘だが。ジョーカーを吹っ飛ばした化け物が襲いかかってくる、どうしようもない死という現実が迫ってきている。
ストレイシープが巨大な手を振り下ろしてきたその時だった。
ジョーカーの仕込み刀が激しく光輝いた。
「うわっ!?な、何の光ぃ!?」
激しい光は仕込み刀を包み込み、その形を変えた。
「形が……変わった…?」
「ヴヴゥ…ヴォオオ…!!!」
激しい光に化け物は怯んだように見えた。
そしてジョーカーが俺と化け物の間に入ってきた。
「士くん大丈夫か!!すまない、油断してしまった。」
「あ、いや……俺の方こそ言う事聞かなくてごめん…。」
「君が謝る必要はない、寧ろ時間を作ってくれてありがとう。…その刀は……。」
「あっ、何か光って形が変わって…。」
ジョーカーに形が変わってしまった仕込み刀を差し出す。するとジョーカーは真剣な眼差しで呟いた。
「…刀が新たな力を持ったのか…それとも……。」
「ジョーカー…?」
「あぁ…すまない士くん。この刀ちょっと借りるよ。」
そう言ってジョーカーは刀を手に取った。
「…え?今借りるって。」
「士くんは下がっていてくれ。近くにいたら危ないから。」
「あ…う、うん。分かった。」
ジョーカーに言われた通り少し距離をとった。刀を持ったジョーカーはとても穏やかな顔をしていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
杖のような形から、日本刀のような見た目になった刀。刀身も伸び、かなり長くなっている。
「君とは1000年近く過ごしたけど、とうとう新しい主人を見つけたんだな。私も君には沢山お世話になったからな、卒業の時だ。今までありがとう、最後にもう少しだけ力を貸してくれ。影切丸。」
そう刀に挨拶をして、居合いの構えをとる。
その典型的ないじめは中学校に上がっても続いていた。
確かに私はお世辞にも美少女と言える顔ではなかったけど、好きでこんな顔に生まれてきたわけじゃない。
それなのにどうして私ばかりいじめられなければいけないのだろう。
数少なかった友達も離れていき、学校の先生も見て見ぬふり。両親すら私の辛さと心の痛みを分かってくれない。
私に味方と呼べる人は誰もいなかった。
どうして私は生まれてきたのだろう。誰からも必要とされていない、気持ち悪いただのゴミクズなのに。生まれてきた意味や生きる意味なんて私には存在しなかった。
私はこの世界の汚物なんだ。ゴミはゴミ箱に捨てなければならない。
中学校の卒業式の日。私は卒業式には出ず、立ち入り禁止の屋上に立っていた。卒業式だから生徒も先生もみんな体育館に集まっていたから、教務室にある屋上への鍵を盗ることは簡単だった。
「ねぇ、神様。どうして私は生まれてきたの?…生まれてきてごめんなさい、さようなら。」
その日私は、人生から卒業した。
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「…そうか…君は……。」
迷える子羊の記憶を読み取ったジョーカーは、悲しげな表情を浮かべた。
「ヴォォォオォォオオ!」
化け物…いや、ストレイシープが暴れ始めた。ストレイシープの表情も悲しそうな、辛そうな顔をしているようにも見える。
大きな腕を振り回し暴れ回るストレイシープにジョーカーは優しく声をかける。
「落ち着くんだ、君の敵はもう居ない。君を傷付ける奴はここには居ないんだ。」
「ヴォオオ!!ヴォオオオォォオオオ!!!」
しかしジョーカーの声は届かない。振り回される腕を避けながら、彼女の正気を取り戻す方法を考える。
(やむを得ないか…。少し強引だが正気を取り戻させないと。)
持っていた仕込み刀の杖に手をかけ、抜こうとしたその時…。
「ジョーカー!!サブロー!!やっと追いついた……って何その化け物!?」
「士くん!?あそこで待っているように言ったはず━━━。」
「ヴォォォォオォォオオオォォ!!!」
走ってきた士に驚き、隙を作ってしまった。
ストレイシープが手を振りかざし、ジョーカーは大きく吹っ飛ばされた。
「がはっ!!」
「ジョーカー!!」
「パパ!!!」
「バウバウッ!!(気ぃ抜くな!!)。」
「くっ…今のはなかなか効いたよ…。」
頭を大きく打ち、少しフラフラするが力を振り絞り立ち上がる。
さぁ、彼女を解き放つ時だ。刀に手をかけ……ようとしたが、手元にない。
「か、刀がない…!?」
慌てて辺りを見回し刀を探す。あった、刀は士くんの足元に転がっていた。
それを士くんが拾い上げた。
「じ、ジョーカー!!これ探してるんだよね?」
「そう!ありがとう士くん!!その刀をこっちに投げて━━━━━━━━。」
「ヴゥゥォオオォォォオォォオオオォォ!!」
士くんに刀を投げるよう言い終える前に、ストレイシープが士くんに向かって襲いかかった。
「士くん!!逃げるんだ!!!」
「う、うわぁぁああぁあぁあ!!!」
逃げようにも恐怖で足が動かない士くん。
全力で走り出したが間に合うだろうか…。
サブローもイズナに付いていたため距離があり間に合いそうにない。
(あぁ死んだ。俺死んだ。)
そう思って死を覚悟した。というのは大嘘だが。ジョーカーを吹っ飛ばした化け物が襲いかかってくる、どうしようもない死という現実が迫ってきている。
ストレイシープが巨大な手を振り下ろしてきたその時だった。
ジョーカーの仕込み刀が激しく光輝いた。
「うわっ!?な、何の光ぃ!?」
激しい光は仕込み刀を包み込み、その形を変えた。
「形が……変わった…?」
「ヴヴゥ…ヴォオオ…!!!」
激しい光に化け物は怯んだように見えた。
そしてジョーカーが俺と化け物の間に入ってきた。
「士くん大丈夫か!!すまない、油断してしまった。」
「あ、いや……俺の方こそ言う事聞かなくてごめん…。」
「君が謝る必要はない、寧ろ時間を作ってくれてありがとう。…その刀は……。」
「あっ、何か光って形が変わって…。」
ジョーカーに形が変わってしまった仕込み刀を差し出す。するとジョーカーは真剣な眼差しで呟いた。
「…刀が新たな力を持ったのか…それとも……。」
「ジョーカー…?」
「あぁ…すまない士くん。この刀ちょっと借りるよ。」
そう言ってジョーカーは刀を手に取った。
「…え?今借りるって。」
「士くんは下がっていてくれ。近くにいたら危ないから。」
「あ…う、うん。分かった。」
ジョーカーに言われた通り少し距離をとった。刀を持ったジョーカーはとても穏やかな顔をしていた。
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杖のような形から、日本刀のような見た目になった刀。刀身も伸び、かなり長くなっている。
「君とは1000年近く過ごしたけど、とうとう新しい主人を見つけたんだな。私も君には沢山お世話になったからな、卒業の時だ。今までありがとう、最後にもう少しだけ力を貸してくれ。影切丸。」
そう刀に挨拶をして、居合いの構えをとる。
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