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第五十五話
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「幸せそうに寝てるわね」
「そうですね。本当に幸せそうです」
葵はバックミラーで幸せそうに眠っている二人を確認し、優も葵に同意する。
その声はどこか羨ましそうだった。
「幸せそうな瞳を見ていると私も高校生の間に彼氏を作っておけば良かったな~って思うわ」
「まだ一年、高校生活は残ってますよ。諦めるのはまだ早いです」
「もう一年しか残ってないのよ。それにもし高校生の間にお付き合いできたとしても、高校卒業したら遠距離恋愛になって自然消滅するのがオチだわ」
「私がもし楠先輩の彼氏だったら、遠距離恋愛になっても自然消滅なんてしないですよ。どんなに離れていても好きでい続ける自信がありますから。だってこんなにも魅力的な女性、他にいませんから」
「えっ……」
「……えっ」
運転中にも関わらず葵は優のことを見つめる。
その時の葵は驚きと照れと戸惑いが混ざり合った表情をしていた。
そしてその瞬間、優も自分でなにを言ってしまったのか理解し、思考がフリーズする。
これではまるで間接的に告白をしているようではないか。
別に優にその気がなくても、傍から聞けば百人中九十九人が告白と捉えてしまうだろう。
優も第三者なら、間違いなく告白だと捉える。
「楠先輩、前、前見てください。運転中によそ見は危ないです」
「あっ、そ、そうね。確かによそ見しながら運転するのは危険だったわ。ありがとう中村さん」
優はよそ見をしながら運転している葵に注意し、葵も自分が危険運転していることに気づき少し慌てた表情をしながら前を見る。
危険運転してしまうほど葵は動揺していた。
優は運転している葵の横顔を見る。
ほんのり顔が赤くなっているのは夕日に照らされているせいだろうか。
「すみません楠先輩。いくら仮定の話でも私が楠先輩の彼氏なんておこがましいですよね」
「そんなことないわっ。……別にそんなことない。中村さんは素敵な男性よ。私はそう思うわ」
「……ありがとうございます」
自分に自信がない優はいつものように自分のことを卑下すると、予想外なことに葵は大きな声を出して否定する。
その大きさに優は少しだけ畏縮する。
そして葵の予想外な評価に、優は照れながらお礼を言う。
まさか葵に素敵な男性と思われているなんて思わなかった。
その後は他愛もない会話が続き、寮に到着する。
「そうですね。本当に幸せそうです」
葵はバックミラーで幸せそうに眠っている二人を確認し、優も葵に同意する。
その声はどこか羨ましそうだった。
「幸せそうな瞳を見ていると私も高校生の間に彼氏を作っておけば良かったな~って思うわ」
「まだ一年、高校生活は残ってますよ。諦めるのはまだ早いです」
「もう一年しか残ってないのよ。それにもし高校生の間にお付き合いできたとしても、高校卒業したら遠距離恋愛になって自然消滅するのがオチだわ」
「私がもし楠先輩の彼氏だったら、遠距離恋愛になっても自然消滅なんてしないですよ。どんなに離れていても好きでい続ける自信がありますから。だってこんなにも魅力的な女性、他にいませんから」
「えっ……」
「……えっ」
運転中にも関わらず葵は優のことを見つめる。
その時の葵は驚きと照れと戸惑いが混ざり合った表情をしていた。
そしてその瞬間、優も自分でなにを言ってしまったのか理解し、思考がフリーズする。
これではまるで間接的に告白をしているようではないか。
別に優にその気がなくても、傍から聞けば百人中九十九人が告白と捉えてしまうだろう。
優も第三者なら、間違いなく告白だと捉える。
「楠先輩、前、前見てください。運転中によそ見は危ないです」
「あっ、そ、そうね。確かによそ見しながら運転するのは危険だったわ。ありがとう中村さん」
優はよそ見をしながら運転している葵に注意し、葵も自分が危険運転していることに気づき少し慌てた表情をしながら前を見る。
危険運転してしまうほど葵は動揺していた。
優は運転している葵の横顔を見る。
ほんのり顔が赤くなっているのは夕日に照らされているせいだろうか。
「すみません楠先輩。いくら仮定の話でも私が楠先輩の彼氏なんておこがましいですよね」
「そんなことないわっ。……別にそんなことない。中村さんは素敵な男性よ。私はそう思うわ」
「……ありがとうございます」
自分に自信がない優はいつものように自分のことを卑下すると、予想外なことに葵は大きな声を出して否定する。
その大きさに優は少しだけ畏縮する。
そして葵の予想外な評価に、優は照れながらお礼を言う。
まさか葵に素敵な男性と思われているなんて思わなかった。
その後は他愛もない会話が続き、寮に到着する。
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