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第二十三話
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授業中はさすがに違う学年なので葵はいない。
その代わり実乃里に頼んで、指が治ったらノートを写させて欲しいとお願いをした。
「もちろん、良いよ」
実乃里は嫌な顔一つせず承諾してくれた。
「ごめんね、中村さん」
「ううん。私がよそ見したせいだから全然気にしないで」
体育授業の終わりに優にパスをした同級生が謝罪しに来てくれたが、むしろこれは優のよそ見が原因なので、相手側は全く非がない。
「でも……」
「だからこの話はこれでお終い。だからもう気にしなくて大丈夫だからね」
相手側はあまり納得していない様子だったが怪我をした優が大丈夫ならなにも問題ない。
放課後。
「中村さん、もし私たちにもなにかできることがあったら言ってね」
「あたしを頼っても良いんだぞ~中村~。はい、チョコあげる」
「二人ともありがとう。木村さん、チョコいただくね」
「どうぞどうぞ、食べて食べて」
ホームルームが終わった後、優と特に仲が良いクラスメイト、実乃里と愛音が近づいてくる。
愛音はなぜかチョコレートをくれた。
優は甘党だったのでお言葉に甘えていただく。
口の中にチョコの甘さが広がる。
疲れた体や脳にはこれが一番効く。
「中村さんチョコ好きなんだね」
「うん。甘いの全般好きかな」
「だから中村はお菓子作りが好きなんだね」
「そうー」
優は甘い物が好きだからお菓子作りも好きになった。
自分で作るお菓子は売ってあるお菓子とはまた違うおいしさがある。
「中村さ~ん。迎えに来たよ~」
教室の入口から葵の大きな声が聞こえる。
まるで母親を待っていた子供のような感じがして優は恥ずかしかった。
「えっ、楠先輩」
「めっちゃ楠先輩美人」
「もしかして楠先輩と中村さんって仲が良いの。意外」
大声で呼ぶものだから、変な注目を浴びてしまう。
クラスメイトたちは優と葵を見ながらコソコソと話している。
「楠先輩、中村のこと本当に気に入ってるんだね」
「楠先輩、楽しそう」
愛音と実乃里は微笑ましそうに優と葵を見る。
「それじゃーあたし、先に帰るね」
「私も瞳ちゃんと約束してるから。バイバイ」
「バイバイ、二人とも」
愛音と実乃里はなにかを察したかのように帰っていく。
「お待たせ中村さん。それじゃー帰るわよ」
葵は優の机までやって来ると、自然な流れで優のカバンを持つ。
「ありがとうございます、楠先輩」
「全然気にしなくて良いわ。怪我が治るまで私に頼ってちょうだい」
さりげなくカバンを持ってくれたことにお礼を言う優に、葵は全く気にしてはいなかった。
その後、優は葵と一緒に寮へと帰る。
その代わり実乃里に頼んで、指が治ったらノートを写させて欲しいとお願いをした。
「もちろん、良いよ」
実乃里は嫌な顔一つせず承諾してくれた。
「ごめんね、中村さん」
「ううん。私がよそ見したせいだから全然気にしないで」
体育授業の終わりに優にパスをした同級生が謝罪しに来てくれたが、むしろこれは優のよそ見が原因なので、相手側は全く非がない。
「でも……」
「だからこの話はこれでお終い。だからもう気にしなくて大丈夫だからね」
相手側はあまり納得していない様子だったが怪我をした優が大丈夫ならなにも問題ない。
放課後。
「中村さん、もし私たちにもなにかできることがあったら言ってね」
「あたしを頼っても良いんだぞ~中村~。はい、チョコあげる」
「二人ともありがとう。木村さん、チョコいただくね」
「どうぞどうぞ、食べて食べて」
ホームルームが終わった後、優と特に仲が良いクラスメイト、実乃里と愛音が近づいてくる。
愛音はなぜかチョコレートをくれた。
優は甘党だったのでお言葉に甘えていただく。
口の中にチョコの甘さが広がる。
疲れた体や脳にはこれが一番効く。
「中村さんチョコ好きなんだね」
「うん。甘いの全般好きかな」
「だから中村はお菓子作りが好きなんだね」
「そうー」
優は甘い物が好きだからお菓子作りも好きになった。
自分で作るお菓子は売ってあるお菓子とはまた違うおいしさがある。
「中村さ~ん。迎えに来たよ~」
教室の入口から葵の大きな声が聞こえる。
まるで母親を待っていた子供のような感じがして優は恥ずかしかった。
「えっ、楠先輩」
「めっちゃ楠先輩美人」
「もしかして楠先輩と中村さんって仲が良いの。意外」
大声で呼ぶものだから、変な注目を浴びてしまう。
クラスメイトたちは優と葵を見ながらコソコソと話している。
「楠先輩、中村のこと本当に気に入ってるんだね」
「楠先輩、楽しそう」
愛音と実乃里は微笑ましそうに優と葵を見る。
「それじゃーあたし、先に帰るね」
「私も瞳ちゃんと約束してるから。バイバイ」
「バイバイ、二人とも」
愛音と実乃里はなにかを察したかのように帰っていく。
「お待たせ中村さん。それじゃー帰るわよ」
葵は優の机までやって来ると、自然な流れで優のカバンを持つ。
「ありがとうございます、楠先輩」
「全然気にしなくて良いわ。怪我が治るまで私に頼ってちょうだい」
さりげなくカバンを持ってくれたことにお礼を言う優に、葵は全く気にしてはいなかった。
その後、優は葵と一緒に寮へと帰る。
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