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89話
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「ならこの先、私と武田さん、どっちの隣にいたい」
「えっ……」
密樹の予想外の質問に茜は戸惑いの表情を浮かべる。
日本語で言われているのに、意味が分からなかった。
「それ、どういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ。もしこの先私の隣にいたいか、武田さんの隣にいたいか。茜さんはどっちの隣にいたい?」
密樹の言っていることを理解できなかった茜は、密樹に聞き返すと密樹はもっと具体的に質問をする。
この先、早苗の隣にいたいか、それとも密樹の隣にいたいか。
そんなの決まってる。
「あたしは早苗の隣にも密樹先輩の隣にもいたいです。このまま友達としてはダメなんですか」
「ダメなんだよ茜さん。だって私と武田さんは茜さんに恋をしてるから、もう友達の関係では満足できないんだ。それに二人とも茜さんの彼氏にはなれないし、それは私が嫌だ。私は茜さんの彼氏になりたい。彼氏になって私は茜さんと一緒にこれからの人生を歩んで行きたし、二人で幸せになりたいし、……茜さんとの子供もほしい。私は茜さんと友達以上の関係になりたいんだ」
早苗のことも密樹のことも好きな茜は、二人の隣にいたいということを伝えるが密樹に否定されてしまう。
密樹の話を聞いて、密樹が本気で茜の彼氏になりたいことが伝わってくる。
でなかったらこんなにも心に響かないだろう。
「……」
密樹の本気に圧倒され、なにも言葉が出なかった茜。
「さっきの質問は抽象的だったよね。だったらこんな風に考えてみたらどうかな。私と武田さん、もう二度と会えなくなるならどっちが辛い?」
「早苗……あっ」
「……それが答えなんじゃないのかな。茜さんの」
密樹は空元気を浮かべながら、さらに踏み込んだ質問をする。
その質問は迷うことなく答えが出た。
その瞬間、茜は申し訳ない気持ちになる。
それは実質、密樹を振ったということだからだ。
対面に座っていた密樹は一瞬悲しそうな表情を浮かべるものの、なぜか穏やかな表情を浮かべながら茜を見つめる。
いや、それは諦めた表情だったのかもしれない。
もし、早苗と密樹、もう二度と会えなくなるなら早苗の方が辛い。
もう一度言うが、茜は早苗のことも密樹のことも好きだ。
それでも比べるまでもなく早苗の方が辛い。
密樹は確かに好きだが、もし会えなくても寂しさは感じるが辛くはない。
だが、もし早苗ともう二度と会えなくなると想像した瞬間、心に穴が開いたかのように辛く耐えられなかった。
茜にとって早苗は隣にいるのが当たり前の存在だ。
その早苗がいなくなるということは、半身を失うのと同義だった。
それに茜はこれから先も一生早苗の隣にいると思っていた。
早苗が隣で笑い、それを茜がいつまでも見守る。
茜にとって早苗はかけがえのない存在だった。
「えっ……」
密樹の予想外の質問に茜は戸惑いの表情を浮かべる。
日本語で言われているのに、意味が分からなかった。
「それ、どういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ。もしこの先私の隣にいたいか、武田さんの隣にいたいか。茜さんはどっちの隣にいたい?」
密樹の言っていることを理解できなかった茜は、密樹に聞き返すと密樹はもっと具体的に質問をする。
この先、早苗の隣にいたいか、それとも密樹の隣にいたいか。
そんなの決まってる。
「あたしは早苗の隣にも密樹先輩の隣にもいたいです。このまま友達としてはダメなんですか」
「ダメなんだよ茜さん。だって私と武田さんは茜さんに恋をしてるから、もう友達の関係では満足できないんだ。それに二人とも茜さんの彼氏にはなれないし、それは私が嫌だ。私は茜さんの彼氏になりたい。彼氏になって私は茜さんと一緒にこれからの人生を歩んで行きたし、二人で幸せになりたいし、……茜さんとの子供もほしい。私は茜さんと友達以上の関係になりたいんだ」
早苗のことも密樹のことも好きな茜は、二人の隣にいたいということを伝えるが密樹に否定されてしまう。
密樹の話を聞いて、密樹が本気で茜の彼氏になりたいことが伝わってくる。
でなかったらこんなにも心に響かないだろう。
「……」
密樹の本気に圧倒され、なにも言葉が出なかった茜。
「さっきの質問は抽象的だったよね。だったらこんな風に考えてみたらどうかな。私と武田さん、もう二度と会えなくなるならどっちが辛い?」
「早苗……あっ」
「……それが答えなんじゃないのかな。茜さんの」
密樹は空元気を浮かべながら、さらに踏み込んだ質問をする。
その質問は迷うことなく答えが出た。
その瞬間、茜は申し訳ない気持ちになる。
それは実質、密樹を振ったということだからだ。
対面に座っていた密樹は一瞬悲しそうな表情を浮かべるものの、なぜか穏やかな表情を浮かべながら茜を見つめる。
いや、それは諦めた表情だったのかもしれない。
もし、早苗と密樹、もう二度と会えなくなるなら早苗の方が辛い。
もう一度言うが、茜は早苗のことも密樹のことも好きだ。
それでも比べるまでもなく早苗の方が辛い。
密樹は確かに好きだが、もし会えなくても寂しさは感じるが辛くはない。
だが、もし早苗ともう二度と会えなくなると想像した瞬間、心に穴が開いたかのように辛く耐えられなかった。
茜にとって早苗は隣にいるのが当たり前の存在だ。
その早苗がいなくなるということは、半身を失うのと同義だった。
それに茜はこれから先も一生早苗の隣にいると思っていた。
早苗が隣で笑い、それを茜がいつまでも見守る。
茜にとって早苗はかけがえのない存在だった。
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