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80話
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「……どうして……茜ちゃんは私のことが好きなんじゃないのっ」
茜に恋愛的な意味では好きではないということを言われた早苗はショックを受け、茜に抱き着きながら声を荒げる。
「早苗のことは好きだよ。でもあたしは早苗のこと恋愛的な意味では好きではない……と思う。だって今のままで十分だから」
もっと関係を進めたい早苗に対して、茜は現状維持を選んだ。
茜からすればこの関係が一番心地が良いのだろう。
だが、茜に拒絶されたと思った早苗はそうは思わなかった。
今は茜に何度『好き』と言われても嬉しくもなんともなかった。
「……じゃない」
「早苗?」
「だったら飯島先輩と付き合ったら良いじゃない。私なんて所詮、その程度ってことでしょ」
「違う、違うよ早苗。あたしは早苗のことが好きだよ。でも……」
「嫌い、茜ちゃんなんてだーい嫌い」
「……早苗」
自分の気持ちが伝わらなかった早苗は癇癪を起こし、茜に逆ギレをする。
本当はこんなこと思っていないのだが、拒絶された早苗は自分を自制することができなかった。
こんな暴言を吐かれたのにも関わらず、茜は早苗を嫌いにはならなかった。
しかし、子供のように感情的になった早苗は言ってはいけないことを言ってしまう。
それを聞いた茜は、物凄く傷ついた表情を浮かべる。
「……茜ちゃん」
「ごめんね早苗。一度お互い冷静になるために、少し離れよう」
傷ついた茜を見た早苗は、自分が言いすぎたことに気づくものの、時すでに遅し。
茜は早苗に文句を言うわけでもなく、そっと抱き着いている茜を引きはがし距離を取った。
茜の言う通り、今の早苗と茜は冷静ではなかった。
だから、茜の言っていることは正しい。
「……ごめん」
「……ううん。あたしこそごめん。全然早苗の気持ちに気づいてあげられなくて。……あたしは早苗のことが好きだよ」
早苗は言いすぎてしまったことを茜に謝罪する。
茜は早苗の気持ちに気づかなかったことと、理解できなかったことを謝罪する。
茜はなにも悪くないのに。
最後の方になにか言ったような気がするが声が小さすぎて、早苗は聞き取ることができなかった。
その後、昼休みが終わるチャイムが鳴り響き、この話はこれで終了した。
しかし、二人の間にはしこりが残り続け、その後は一切口を聞かなかった。
放課後も早苗は茜と一緒にいることが気まずくて先に帰り、茜も早苗の意図を汲み取り早苗が教室を出てからかなり経ってから教室を出た。
ミチルと渚がなにか言いたげな顔をしていたが、変に仲裁に入りこじれることを恐れたのかただ傍観しているだけだった。
高校に入って初めて一人で帰った通学路。
途中から雨が降り始め、カバンにいれていた折り畳み傘を取り出して差して帰った。
家に帰った後もまるでプログラミングされたロボットのように夕食を食べ、お風呂に入り、スマホをいじってからベッドで寝た。
早苗の頭は茜でいっぱいだった。
茜に恋愛的な意味では好きではないということを言われた早苗はショックを受け、茜に抱き着きながら声を荒げる。
「早苗のことは好きだよ。でもあたしは早苗のこと恋愛的な意味では好きではない……と思う。だって今のままで十分だから」
もっと関係を進めたい早苗に対して、茜は現状維持を選んだ。
茜からすればこの関係が一番心地が良いのだろう。
だが、茜に拒絶されたと思った早苗はそうは思わなかった。
今は茜に何度『好き』と言われても嬉しくもなんともなかった。
「……じゃない」
「早苗?」
「だったら飯島先輩と付き合ったら良いじゃない。私なんて所詮、その程度ってことでしょ」
「違う、違うよ早苗。あたしは早苗のことが好きだよ。でも……」
「嫌い、茜ちゃんなんてだーい嫌い」
「……早苗」
自分の気持ちが伝わらなかった早苗は癇癪を起こし、茜に逆ギレをする。
本当はこんなこと思っていないのだが、拒絶された早苗は自分を自制することができなかった。
こんな暴言を吐かれたのにも関わらず、茜は早苗を嫌いにはならなかった。
しかし、子供のように感情的になった早苗は言ってはいけないことを言ってしまう。
それを聞いた茜は、物凄く傷ついた表情を浮かべる。
「……茜ちゃん」
「ごめんね早苗。一度お互い冷静になるために、少し離れよう」
傷ついた茜を見た早苗は、自分が言いすぎたことに気づくものの、時すでに遅し。
茜は早苗に文句を言うわけでもなく、そっと抱き着いている茜を引きはがし距離を取った。
茜の言う通り、今の早苗と茜は冷静ではなかった。
だから、茜の言っていることは正しい。
「……ごめん」
「……ううん。あたしこそごめん。全然早苗の気持ちに気づいてあげられなくて。……あたしは早苗のことが好きだよ」
早苗は言いすぎてしまったことを茜に謝罪する。
茜は早苗の気持ちに気づかなかったことと、理解できなかったことを謝罪する。
茜はなにも悪くないのに。
最後の方になにか言ったような気がするが声が小さすぎて、早苗は聞き取ることができなかった。
その後、昼休みが終わるチャイムが鳴り響き、この話はこれで終了した。
しかし、二人の間にはしこりが残り続け、その後は一切口を聞かなかった。
放課後も早苗は茜と一緒にいることが気まずくて先に帰り、茜も早苗の意図を汲み取り早苗が教室を出てからかなり経ってから教室を出た。
ミチルと渚がなにか言いたげな顔をしていたが、変に仲裁に入りこじれることを恐れたのかただ傍観しているだけだった。
高校に入って初めて一人で帰った通学路。
途中から雨が降り始め、カバンにいれていた折り畳み傘を取り出して差して帰った。
家に帰った後もまるでプログラミングされたロボットのように夕食を食べ、お風呂に入り、スマホをいじってからベッドで寝た。
早苗の頭は茜でいっぱいだった。
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