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76話
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「全然分からないんだけど。病気なのに病院に行っても治らない病気ってどういう意味?」
考えても分からない早苗はミチルに答えを求める。
「いい早苗。落ち着いて聞いてちょうだい」
ミチルは真剣な表情で早苗に話しかける。
その迫力に圧倒された早苗は思わず生唾を飲み込む。
ミチルは早苗を落ち着かせるために、一拍置いてから早苗に衝撃の事実を伝える。
「早苗のそれはズバリ、嫉妬だよ。早苗は飯島先輩に嫉妬してるの。別の言い方をすると焼きもちを妬いてるの」
「……しっと……やきもち……」
予想外の答えに早苗は上手く脳でミチルが言ったことを処理できなかった。
「そう。早苗は嫉妬しているの。だから茜と飯島先輩が話しているのを見るとモヤモヤしたり、胸が苦しくなったり痛くなったりするよ」
ミチルは早苗のことを思い、あえてもう一度真実を叩きつける。
「嫉妬なんてしてないよ。だって私、二人の恋を応援してるから……あれ、涙が、なんで。止まらない。……止まらないよ」
茜が幸せなら、それで良いと思っていた。
だけど茜がどんどん密樹と仲良くなるたびに、早苗の心は荒んでいった。
自分がだんだん除け者にされているようで嫌だった。
もちろん茜も密樹も早苗のことを除け者だとは一度も思ったことがないだろう。
だけどもう限界だった。
自分だけを見てほしい。
自分の隣にずっといてほしい。
自分に一番、笑顔を向けてほしい。
その瞬間、早苗は本当の気持ちに気づいた。
「……私……茜ちゃんのことが好きなんだ。幼馴染としてではなく恋愛的な意味で」
「そうだよ早苗。早苗はずっと前から茜のことが好きだったんだよ」
ずっと前から好きだったのだ。
早苗は、茜を。
恋愛的な意味で。
泣きじゃくる早苗を制服が汚れることもいとわずに、抱きしめるミチル。
その優しさと温かさが、唯一の救いだった。
その後、どのくらい泣いていたのだろう。
「どう、少しは落ち着いた」
「……うん、ありがとうミチルちゃん。それとごめんね、制服汚しちゃって」
「まっ、しょうがないでしょ。全然気にしなくて良いから」
少し落ち着いた早苗に向かって、ミチルが優しく声をかける。
泣いてスッキリした早苗は、慰めてくれたミチルにお礼を言い、涙や鼻水で制服を汚してしまったことを謝罪する。
ミチルは気にしていないらしく、怒ってはおらず、むしろスッキリした早苗の表情を見て安堵していた。
考えても分からない早苗はミチルに答えを求める。
「いい早苗。落ち着いて聞いてちょうだい」
ミチルは真剣な表情で早苗に話しかける。
その迫力に圧倒された早苗は思わず生唾を飲み込む。
ミチルは早苗を落ち着かせるために、一拍置いてから早苗に衝撃の事実を伝える。
「早苗のそれはズバリ、嫉妬だよ。早苗は飯島先輩に嫉妬してるの。別の言い方をすると焼きもちを妬いてるの」
「……しっと……やきもち……」
予想外の答えに早苗は上手く脳でミチルが言ったことを処理できなかった。
「そう。早苗は嫉妬しているの。だから茜と飯島先輩が話しているのを見るとモヤモヤしたり、胸が苦しくなったり痛くなったりするよ」
ミチルは早苗のことを思い、あえてもう一度真実を叩きつける。
「嫉妬なんてしてないよ。だって私、二人の恋を応援してるから……あれ、涙が、なんで。止まらない。……止まらないよ」
茜が幸せなら、それで良いと思っていた。
だけど茜がどんどん密樹と仲良くなるたびに、早苗の心は荒んでいった。
自分がだんだん除け者にされているようで嫌だった。
もちろん茜も密樹も早苗のことを除け者だとは一度も思ったことがないだろう。
だけどもう限界だった。
自分だけを見てほしい。
自分の隣にずっといてほしい。
自分に一番、笑顔を向けてほしい。
その瞬間、早苗は本当の気持ちに気づいた。
「……私……茜ちゃんのことが好きなんだ。幼馴染としてではなく恋愛的な意味で」
「そうだよ早苗。早苗はずっと前から茜のことが好きだったんだよ」
ずっと前から好きだったのだ。
早苗は、茜を。
恋愛的な意味で。
泣きじゃくる早苗を制服が汚れることもいとわずに、抱きしめるミチル。
その優しさと温かさが、唯一の救いだった。
その後、どのくらい泣いていたのだろう。
「どう、少しは落ち着いた」
「……うん、ありがとうミチルちゃん。それとごめんね、制服汚しちゃって」
「まっ、しょうがないでしょ。全然気にしなくて良いから」
少し落ち着いた早苗に向かって、ミチルが優しく声をかける。
泣いてスッキリした早苗は、慰めてくれたミチルにお礼を言い、涙や鼻水で制服を汚してしまったことを謝罪する。
ミチルは気にしていないらしく、怒ってはおらず、むしろスッキリした早苗の表情を見て安堵していた。
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