73 / 99
73話
しおりを挟む
その後、ホームルームに遅刻するわけにもいかないので、早苗はホームルームギリギリで教室に入る。
すでに茜は自分の席に座っていたが、早苗はなにも話しかけなかった。
ガチで泣いてしまったため、目元が腫れている。
こんな姿、茜には見られたくなかったからわざと茜の方に顔を向けなかった。
茜も教室に早苗がやって来たことに安堵した表情を浮かべていたが、すぐにホームルームが始まったため、話しかけることができなかった。
ホームルームが終わるとすぐに茜が早苗に話しかけてくる。
「どうしたの早苗。先に教室に行ってるって言ったのに教室にいないし……って目、腫れてるじゃん。本当にどうしたのっ」
早苗の目が腫れていることに気づいた茜はさらに早苗を心配する。
本当に茜は心優しい幼馴染で女の子だ。
でもその優しさが辛い。
「……やっぱり、凄くモヤモヤして……胸が痛くて……」
「あたしと飯島先輩が話してるとやっぱり苦しいの」
「うん」
あの時は茜の隣に密樹がいたため、弱音を吐くことができなかった。
密樹にはなぜか泣き顔を見られたくはなかった。
また泣き出しそうな早苗を茜は早苗を抱きしめる。
茜の胸にうずくまる早苗。
茜の胸の柔らかさや体温が直接伝わり、落ち着く。
「少しは落ち着いた」
「うん」
「良かった」
茜も早苗が落ち着いたことに安堵の表情を浮かべている。
「どうしたの早苗。今日は珍しく茜と一緒じゃなかったじゃん。それにホームルームギリギリだったし……って本当にどうしたのっ。目、めっちゃ腫れてるけど」
「ホームルームが終わってすぐに抱き合ってると思ったら、これはなにかあったようだね。もし悩みがあれば相談に乗るよ」
茜と一緒に登校してこなかったことや、ホームルームギリギリに来たことにおかしさを感じたミチルは心配そうに早苗たちの方にやって来る。
そして目元が腫れていることに気づいたミチルはさらに驚き心配する。
ミチルと一緒にやって来た渚もすぐに状況を呑み込み、優しく手を差し伸べる。
「昨日から、ううん、最近早苗の様子がおかしくて。モヤモヤしたり胸が急に苦しくなることがあるんだって」
「そうなのね。それってどういう時になるの。今もモヤモヤしたり、胸が苦しかったりする?」
「ううん、今は大丈夫。茜ちゃんに抱きしめてもらってるから」
「う~ん、それは大丈夫って言うのかな~」
茜が最近の早苗の状態を二人に伝える。
ミチルはもっと詳しい状況を知るためにさらに突っ込んだ質問をする。
今度は早苗がミチルの質問に答える。
なぜか分からないが茜に抱きしめられると、さっきまでのモヤモヤが胸の苦しさが嘘のように消えていくのだ。
早苗の答えを聞いたミチルは複雑な表情で首を傾げていた。
すでに茜は自分の席に座っていたが、早苗はなにも話しかけなかった。
ガチで泣いてしまったため、目元が腫れている。
こんな姿、茜には見られたくなかったからわざと茜の方に顔を向けなかった。
茜も教室に早苗がやって来たことに安堵した表情を浮かべていたが、すぐにホームルームが始まったため、話しかけることができなかった。
ホームルームが終わるとすぐに茜が早苗に話しかけてくる。
「どうしたの早苗。先に教室に行ってるって言ったのに教室にいないし……って目、腫れてるじゃん。本当にどうしたのっ」
早苗の目が腫れていることに気づいた茜はさらに早苗を心配する。
本当に茜は心優しい幼馴染で女の子だ。
でもその優しさが辛い。
「……やっぱり、凄くモヤモヤして……胸が痛くて……」
「あたしと飯島先輩が話してるとやっぱり苦しいの」
「うん」
あの時は茜の隣に密樹がいたため、弱音を吐くことができなかった。
密樹にはなぜか泣き顔を見られたくはなかった。
また泣き出しそうな早苗を茜は早苗を抱きしめる。
茜の胸にうずくまる早苗。
茜の胸の柔らかさや体温が直接伝わり、落ち着く。
「少しは落ち着いた」
「うん」
「良かった」
茜も早苗が落ち着いたことに安堵の表情を浮かべている。
「どうしたの早苗。今日は珍しく茜と一緒じゃなかったじゃん。それにホームルームギリギリだったし……って本当にどうしたのっ。目、めっちゃ腫れてるけど」
「ホームルームが終わってすぐに抱き合ってると思ったら、これはなにかあったようだね。もし悩みがあれば相談に乗るよ」
茜と一緒に登校してこなかったことや、ホームルームギリギリに来たことにおかしさを感じたミチルは心配そうに早苗たちの方にやって来る。
そして目元が腫れていることに気づいたミチルはさらに驚き心配する。
ミチルと一緒にやって来た渚もすぐに状況を呑み込み、優しく手を差し伸べる。
「昨日から、ううん、最近早苗の様子がおかしくて。モヤモヤしたり胸が急に苦しくなることがあるんだって」
「そうなのね。それってどういう時になるの。今もモヤモヤしたり、胸が苦しかったりする?」
「ううん、今は大丈夫。茜ちゃんに抱きしめてもらってるから」
「う~ん、それは大丈夫って言うのかな~」
茜が最近の早苗の状態を二人に伝える。
ミチルはもっと詳しい状況を知るためにさらに突っ込んだ質問をする。
今度は早苗がミチルの質問に答える。
なぜか分からないが茜に抱きしめられると、さっきまでのモヤモヤが胸の苦しさが嘘のように消えていくのだ。
早苗の答えを聞いたミチルは複雑な表情で首を傾げていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ウザい先輩と可愛げのない後輩
黒姫百合
恋愛
「本当に君は可愛げのない後輩だな」
高校一年生の春、北野真希(きたのまき)は高校三年生の鈴木紗那(すずきさな)に絡まれる。
紗那は真希と仲良くなりたいと思うものの、他人に興味がない真希は紗那をウザがる。
でも何度も話しかけられるたびに真希の方も無視するよりも適当に相手にする方が、時間を浪費しなくて済むことに気づき、少しずつ紗那との交流が増えていく。
そんなある日、紗那とキスをしてしまい……。
ウザイ先輩と可愛げのない後輩が紡ぐ、ラブコメが今、始まる。
柊瑞希は青春コンプレックス
黒姫百合
恋愛
「何度も言うが私は青春が嫌いだ」
高校一年生の男の娘、柊瑞希は青春が大嫌いだ。
理由はそんな安っぽい言葉で自分の人生や苦悩を語ってほしくないからである、
青春なんていらない。
瑞希はそう思っていた。
部活も時間の無駄だと思った瑞希は帰宅部にしようとするものの、この学校には帰宅部はなく瑞希はどこかの部活に入るように先生に言われる。
それと同じタイミングで瑞希と同様部活は時間の無駄だと考える少女が先生と言い争っていた。
その後、瑞希は部活をしない部活を創立し、二人の女子と交流を持つようになり……。
ひねくれ男の娘が少しずつ大切なものを知っていく物語が今、始まる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
楠葵先輩は頼られたい
黒姫百合
恋愛
「これからはもっとたくさん楠先輩と思い出を作っていきたいです」
教室に友達がいなかった高校一年生の男の娘、中村優(なかむらゆう)は居心地が悪くなり当てもなく廊下を歩いていると一人の少女にぶつかる。その少女は高校三年生の女の子でもあり生徒会長でもある楠葵(くすのきあおい)だった。
葵と出会った放課後、優は葵に助けられたお礼をするためにシュガーラクスを持っていく。葵は優の作ったシュガーラクスを気に入り、また作って来てほしいとお願いする。
それをきっかけに優は葵とどんどん交流を重ね、しまいにはお泊り会も?
後輩に頼られたい女の子と友達作りが苦手な男の娘のラブコメが今、始まる。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる